藍介の護衛担当
居間で主人様と藍介が途方に暮れていると、チェルーシルと一緒に主人様の家の台所でお皿洗いをしていた黄結姫がガッシャーンと音を立てた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
黄結姫の謝る声が聞こえた。
「あっ、黄結姫お皿割ったわね」
「はぁー、主人様このままじゃ家のお皿が全て新品に変わってしまいますね」
「もうそろそろ、お皿作ろうかしら」
「その方がよろしいかと」
数分後、黄結姫がお盆にお茶を載せて、2人のいる居間でお茶を机に置こうとした。その時、黄結姫が盛大に転び、お盆は宙を舞い、お茶が前に溢れ、主人様と藍介は慣れた手つきでお茶の脅威から自身を守った。
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
黄結姫は何度も2人に謝った。
「黄結姫さんには申し訳ないですけど、黄結姫さんメイドを志すのは難しいのではないでしょうか?」
「うぐっ」
黄結姫は藍介に言われ、精神ダメージを負った。
すると、チェルーシルがお茶を持って居間にやってきた。
「黄結姫さんの課題は髪をコントロールする事が重要課題ですね」
「髪をコントロール?」
「はい、黄結姫さんがドジ、ではなくて彼女の髪がドジっ子なのです」
「髪がドジっ子? 余計訳わからなくなったわ」
「黄結姫さんは髪を操ることが出来ますが、緊張すると、髪を操ることができずに髪が勝手に動いてしまいそれで、皿を割ったり、何も無いところで転んだりしているのです」
「私のドジって髪のせいだったのね! それなら、主人様! この髪をばっさり切ってください!」
主人様は即答した。
「無理よ。何度も黄結姫の髪を切ろうとしたけどダメだったじゃない」
「そうですけど」
黄結姫は悲しそうに髪を触った。
「そういえば、黄結姫には聞いてなかったわね」
「あっ! 主人様、黄結姫には荷が重いのでダメです!」
「主人様? 私に何を聞くのですか?」
「それはね」
主人様は今まで藍介と話してきた事を黄結姫とチェルーシルに話した。
「藍介さんが人間の国へ、紫水が言っていたことは本当だったのね。あの、よろしければ、私が藍介さんの護衛を担当したいです」
「えっ! いいの!?」
「すみませんが、黄結姫さんのその心意気だけで結構です。黄結姫さん人間の国では何もかも自分で出来なきゃ意味がないです。何度も皿を割り、お盆をひっくり返す人とは、私の計画に狂いが生じる可能性があります」
「そんなぁ。私主人様のお役に立ちたいです」
「じゃあ、黄結姫、自分の力をアピールしましょうか」
「アピールですか?」
「そう、藍介に私はこんな事が出来ますって伝えるのよ」
「えーと、私ができること、できること」
黄結姫は考え込み、10分ほど経過した。
「そうです! 藍介さんは人間の国でどうやって主人様と連絡を取り合うのですか? 私から離れすぎてしまいますと思念伝達によっての連絡だと時間がかかってしまいますよ」
「主人様からもらったこの魔道具でいつでも連絡可能です」
藍介は腕時計を黄結姫に見せた。
「あの、人間の国にはそのような魔道具がないですよね?」
「えぇ、主人様がスキルを使用して作り出した魔道具ですから人間が作れるわけないですね」
「でしたら、その魔道具を身につけるのは危険なのではないですか?」
「黄結姫、いいところつくじゃない!」
「これを私の発明と話し広めれば大丈夫。いや、人間の国で連絡手段を広めてしまうのは危険ですね」
「そこで、私が藍介さんの護衛となれば、藍介さんが主人様に伝えたいことを私を通じて思念伝達で主人様にお伝えする事ができるのです!」
「でも、私から藍介に話をするのには時間がかかるようになるのよね?」
「はい、藍介さんが私に主人様に繋げて欲しいと私に直接言ってもらえれば、直ぐに主人様と思念伝達を繋げられます。が、自身の思念伝達を使って私に話し、その後に私が繋げるのだと、自身の思念伝達の力によって時間が生じてしまいます」
「それなら、黄結姫が藍介のそばにいた方が安心ね」
「それに、私なら藍介さんより強いので藍介さんを守ることだってできます! 主人様! 私を藍介さんの護衛にしてください!」
「うーん、どうする藍介? 私は黄結姫が適任かもって思えてきたわ」
「えぇ、まさか、黄結姫さんがここまで考えられるとは思いもしませんでした。が、黄結姫さん分かってますね。あなたを連れて行くにはデメリットがありますよね?」
「私の髪がドジっこなので」
「黄結姫さん、髪のせいにしてはいけませんよ」
「うっ、ごめんなさい」
「よし! 私は黄結姫を藍介の護衛として任命するわ!」
「えっ!? 主人様!? 私の負担が倍に膨らんだんですがぁぁあ!!!」
「藍介なら大丈夫! それに、黄結姫がこれだけやりたいと言うのならやらせてあげたいし、黄結姫なら藍介よりも腕っぷしは強いからね!」
「主人様!!! 私! 精一杯頑張ります!!!」
「主人様がそう仰るのなら、黄結姫を連れていくことにします」
「黄結姫様、良かったですね」
「はい! チェルーシルさんもありがとうございます!」
「はぁー。それでしたら、黄結姫は私のメイドという事にしますか」
「はい! 藍介さんの身の回りのお世話もしますね!」
「そこは、私の方が得意なので、私に任せてください」
「じゃあ、藍介の護衛も決まった事で、今回の話は終わりね! 少し小腹空いたからおやつ食べたいわ!」
「それでしたら、ハチミツクッキーを作ったので持ってきますね」
「私もお手伝いします!」
チェルーシルと黄結姫は台所に戻ったのでした。
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