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おまけ 『クティスと愉快なマスコット達』

 とある日、クティスは凪とイデアの腕時計を使って連絡をしていました。


「ガウガ! ガウディ! ガウエスト!!!」


 クティスは自分が考えた言葉が通じない相手にも頑張ったことを現すポーズを披露していた。


「クティス頑張ったのね。偉いわ、偉いわよ」


「ガウエスト!!!」


 肉球を前面に出し、頑張ったよアピール。クティスは凪に褒められるのが好きであった。


「そうそう、草爛ちゃん元気にしてるかしらね」


「ガウ? ガウグルルガウ?(ん? どうして草爛が出てくるの?)」


 隣にいたイデアがクティスの言葉を翻訳してくれた。


「いや、クティスも可愛いけどあの豚さん達も可愛かったなって」


「ガウゥゥ!!!!」


 クティスは自分が凪にとって一番可愛いと考えていた為、とてつもなくショックを受けた。


 そして、それから何日か経ち、クティスは可愛いマスコット的な存在を集めてみようと考えた。


「ガウガ、ガウガルルルガウガ(イデア、僕の代わりに手紙を書いて欲しいんだけど)」


 書類を精査していたイデアがキョトンとした顔でクティスに尋ねた。


「え? クティスが手紙を? 誰に出すのですか?」


「ガウガガウガウガ。グルルルルガウグルルルガ(僕と同じくらい可愛い存在に手紙を書いて欲しいんだ。出来ればここに来れる人たちがいいかな)」


「うーん、この前の凪さんの言葉が余程ショックだったのですね。分かりました。私が選りすぐりの可愛いマスコット達を連れてきます!!!クティス、 私が集めている間にこの書類に判子をお願いしますね!」


「ガウ!? ガウクガルルガ!? ガウガガバァ!!!(え!? この書類に判子!? イデアのバカァ!!!)」


 クティスは仕方なくイデアに言われた通りに書類に判子を押し始めた。


 そして、何日か経ち、イデアの手紙はエルフの国、人魚の国、鬼の国に送られ、エルフの国では誰が自身の精霊を参加させるのかを言い争いが起こっていた。


 エルフの国でその争いに終止符を打ったのが、ハリヌンと契約しているタキンであった。


「ハリヌンこそ! 可愛さナンバーワン!!!」


 タキンはハリヌンを高らかに持ち上げた。


「ハリヌン! ナンバーワン!」


 その他のエルフ達はハリヌンこそがマスコット界隈で最カワであることを主張し始めた。


「きゅぅ! きゅっきゅっきゅぅー!」


 ハリヌンは僕こそが一位と言わんばかりに手を挙げた。


「そうだ。ハリヌンこそがナンバーワン!」


「タキン何してるのよ。って面白そうなことしてるじゃない! 私のバーニンちゃんも参加しようかしら!」


 ヘイルは熊のバーニンちゃんを召喚した。


 大きな巨体の熊であり、彼はフリフリのピンクの服を着させられていた。


「ブホォア! バウバウ!」


 バーニンは着せられている服を脱ごうと暴れ始めた。


「あら、バーニンちゃん暴れないの! 折角の可愛いお洋服が台無しになっちゃうでしょ!」


 バーニンはオスである為、可愛い服を着るのが嫌いであった。その後も暴れに暴れ、最終的にはハリヌンがバーニンを怖がり始めたので、タキンがバーニンを羽交締めにして物理的に大人しくさせた。


「バーニンも参加だな。ヘイル、魔王城へ向かうぞ!」


「おー!」


 エルフの国からはタキンとヘイルが代表として向かった。他に参加したい者がいたが、タキンのハリヌンへの愛が深すぎて彼に敵うものがいなかった。


 鬼の国では絶華が手紙を受け取り、草爛が参加する事になった。


 人魚の国では、何故かフローゼラーが参加すると発表した。


 クティスが知らないうちにいつの間にか大事になり、集まった時には見物客がイデアの屋敷に詰め寄った。


 そして、ついにクティス主催の誰が可愛いマスコットかを討論する事になった。


「ガウガ! グルルガウガ! ガウ、ガグルガガウガウガ。(おはよう! みんな集まってくれてありがとう! それじゃ、誰が一番可愛いか決めようか)」


 イデアがクティスの言葉を翻訳しながら参加者に伝えた。


「クティス様には申し訳ないですが、この世界で一番可愛いのはハリヌンです!」


「きゅっ! きゅうううきゅっ!」


 ハリヌンを高らかに持ち上げ、当のハリヌンはドヤ顔を披露していた。


「ぷっきゅ! ぷっきゅうう!!!」


 草爛は盾護の頭に乗っかっており、彼の頭をベシベシと叩いていた。


「わかりました、分かりましたから、ハリヌンさんも可愛らしいですが、やはり、草爛こそ1番可愛いのです!」


「ぶっぎゅ!」


 草爛は当然とばかりに胸を張った。


「あら、2人とも可愛いわね! バーニンちゃん! こっちも負けてられないわね!」


 ヘイルは話に入ろうとしていたが、ピンクのフリルとリボンが所かしこに散りばめられている服を着させられているバーニンは早く家に帰りたがっていた。


 魔王城からは青雷とラックルが参加し、青雷の頭にはピンク色のリボンが一つ付いており、ラックルは青と白のゴスロリ服を着ていた。


「青雷君! 僕達も負けてないですよね!」


「僕よりも、ラックル君の方が可愛いと思うな。どうして、男なのにその服似合うんだろう?」


「白桜ちゃんが言ってたじゃないですが! 男の娘って!」


「男の子だけどさ、なんかねぇちゃんの言い方に違和感があるんだような」


 人魚の国からはフローゼラーが参加していた。


「儂こそが可愛い、なんじゃろ、ラックルの方が可愛くないか? 女である儂よりも可愛いとか、儂、応援するのじゃ!」


 結局フローゼラーはラックルを応援し始めたのでした。


 そして、討論が激化し、最終的には、クティスがそれぞれの国で一番可愛いから良いのではないかと締め括った。


 クティスの本心は、こんな大事になるとは考えてなかった為、早めに切り上げるために終わらせたのであった。


 後日、凪に報告すると、凪は笑い転げながらことの顛末を楽しそうに聞いてくれていた。


 クティスは凪が笑ってくれるから大変だったけど、いい思い出となった。そして、エルフの国では国を上げての精霊自慢大会が開催されていたのでした。

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― 新着の感想 ―
「風が吹くと桶屋が儲かる」という言葉があります。ウッカリ言うととんでもない事になるんですよ(笑) 「可愛い」で集まったはず……違う種類が紛れ込んでいますね。 「男の娘」にフリルのクマさん。今度すると…
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