藍介の侵略計画 前編
「藍介、私は貴方と結婚をすると、この世界が終わるってことなの?」
「そうなのかもしれません。ですが、私は主人様と結婚したいです!」
「げほっ!げほ!」
主人様が飲んでいたお茶が変な所に入ってしまったみたいで咳き込んでいました。
「あー! 死ぬかと思った」
「主人様、お茶が変な所に入って死ぬなんてやめてくださいね。主人様の死因はお茶が原因ですなんて言いたくないです」
「ごめんって、で、急に結婚したいってどうしたのよ」
「私の侵略計画で必要なことなのです」
「侵略計画って悪の組織みたいね」
「そりゃあ、あっちにとっては勇者教が正義、奴隷制度が正義なのですから、私達が行うことはあっちにとって悪そのものですからね」
「それもそうね。で、その計画の内容はどうな感じなの?」
「私の計画では3年程かかってしまいますが、まず最初に私が人間の国へ行き商人、そして魔道具技師の資格を保有します」
「魔道具技師ねぇ?」
「主人様には魔道具制作で必要な魔石の供給をお願いしたいのです。そして、貴族と接点を持つなら手っ取り早いのが商人。というわけで、私が作り出す魔道具を商会を作り出し販売するのです。私の中で1年もあれば王族が手出しが出来ないほどの商会を作り出せます」
「いや、流石に1年で出来るわけないじゃない。そもそも、3年もかかるなんて魔王さん達もそこまで待ってられないんじゃない?」
「そう思うのも当然ですが、内側から崩壊させるためにも後ろ盾が必要なのです。そこで、私が凪教を広めるために凪教の後ろ盾となる権力を保有しなくてはいけません。そして、その権力は王族が無闇に手出しが出来ないほどの権力です」
「うん。私の頭じゃスケールが大きすぎて分からん」
「最初の資金源は主人様の魔石になってしまうのですが、魔石を何個が頂けないでしょうか?」
「そこは任せて、魔石なら無限に作り出せるわよ!」
「そして、私は商会での従業員として奴隷を買い、密かに彼らを故郷へ返します」
「そう言うことね。それなら、魔王さん達も今すぐに人間との戦争はしないわけね」
「はい、彼らを解放したという実績があれば、魔王さんも時間がかかっても強行な手段は取れないと思います。そして、禁足地であるここの土地を私が買い取ります」
「ん? ここは禁足地なんだから土地を買う理由なんてなくない? そもそも、ここは人間の国に保有なんてされてないでしょ?」
「いいえ、私の調べによると、何処がの馬鹿貴族が所有権を得ているみたいですね。元々は王族の管理地域だったみたいですが、大枚を叩いてここを国から勝ったみたいですよ」
「へぇー、アさんが知ったら激怒するわね。でも、藍介、その情報はどうやって調べたの?」
「それは、王都に住む仲間を侵入させて調べさせてきました」
「はえ? 侵入って、そもそも仲間って誰なの?」
「私は6層目の長ですよ。仲間といえば、主人様お分かりになりますよね」
「ゴキちゃん達が調べてくれたのね!」
「はい、千ほど送り込み王都の情報を調べさせました」
「偉いわ! 侵入した子達にはご褒美をあげないとね!」
「そうですね。私達の同胞も王都で暮らしているみたいなので、情報が直ぐに入ってきて私も驚きましたよ」
「うんうん。ゴキちゃん情報網さえあればいろんな情報を掴めるわね!」
「まぁ、彼らの言葉を理解するには知能が低いものもいるので、黄結姫に翻訳を何度がお願いしましたね」
「黄結姫にも翻訳お疲れ様ご褒美が必要ね!」
「はい、この情報網を使い商売に有効活用したいと考えています。そして、商人になり、私が扱い商品は裕福層をターゲットにしますので、貴族との関係を作ることができるのですが、私がこの計画を進めていく上で面倒なのも貴族なのですよ」
「面倒な理由は何?」
「簡単ですよ。貴族といっても階級があり、土地が貧しければ貴族もまた貧しい。そして、私みたいな若い金のなる木を知ったら下位貴族達はどのような手に出るでしょうか?」
「うーん、わからん!」
「簡単ですよ。娘がいる貴族なら私と結婚させようとしてくるでしょう」
「なるほど! 娘と結婚させて、藍介を貴族にさせる代わりに援助しろってことね」
「はい、あの国の商人は実績を得て貴族になるか、貴族との娘と結婚するかの二択です。私は前者をとりますが、私に来る話は全て後者が多いでしょう」
「で、既婚者であればその話を断ることができるってわけね」
「そういうことです。だから、主人様には人間の国では私の妻になってもらわなくてはいけません」
「うん。藍介が私と結婚したい理由は分かったわ。私との結婚が必要なら私はそれを受け入れるわ」
その時、私の頬に涙が流れた。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。