藍介ともしもの世界
居間で主人様と話し合いをして後日内容をまとめ他の長達に伝えることになりました。
魔王さんは八翼の一人、フローゼラーさんという方から手紙が送られ、エルフの国王が城へ訪問してきたから早く帰ってこいとの事でした。イデアさんは主人様にへばりつきクティスもまた主人様から離れようとしませんでしたが、アさんの協力によってイデアさんとクティスを拘束、その後、荷車にゴウライさん一家とイデアさんクティス、オビリオンさんを乗せて、魔王さんが荷車を引き、国へ帰っていきました。
それは、もう、慌しく私もお昼ご飯のお弁当を作り、主人様はお土産に魔石を何個か渡していました。
青雷とラックルさんは森を探検したいという事でもう少し滞在するそうです。
チェルーシルさんはアビーサさんと2人でラヒートさんのお世話をしていました。
黄結姫はチェルーシルさんにメイドの心得を教わっており、たまに、長い髪が掃除の邪魔をして私の仕事を増やしたり、皿を割ったり、私は黄結姫の後始末に追われていましたからね。だから、主人様と2人で話せる時間が無く、未だに私と人間の国へ行く人が決まってませんでした。
そして、慌ただしい1日も終わり、私は布団に入り眠ろうとしました。
花茶はこの頃、アさんと一緒に寝ているため、この広い家で一人寂しく寝ています。
「紅姫さんだと体が大きすぎますし、白桜は私の話を聞かなそうでダメですね。そしたら、黄結姫さん? いや、無理です無理。私の仕事が倍増します。過労死待った無しですね。やはり、灰土さんにお願いするしかないですね。ふぁ〜あ。もう、寝ましょう」
私は眠りにつきました。そして、私は紫水の力で世界が滅ぶ夢を見たのでした。
その次の日も、次の日も、紫水が怒り狂い世界が紫の雨によって生物全てが生き絶える夢を何度も、何度も、一体これはどういうことなのでしょうか。
その夢は私と主人様が結婚式を開き、誓いの口付けをする時から始まります。私は紫水に殺され、洞窟の仲間たちも次々に紫水に殺され、最後には主人様と灰土さんが生き残り、灰土さんは全力で紫水を止めようとするのですが、彼の力でも叶わず、最終的に主人様も死に、世界でたった1人、そう、紫水だけが生きている紫の雨が降る死の世界となる夢。
初めてその夢を見てから、1週間、私はその夢を見続けました。主人様にこの夢を説明したら、紫水には言わないでと言われました。紫水によって私は殺させるのですから、本人には言えませんよ。
そして、現在私と家で主人様と人間の国へ潜入するための話をやっとする事ができたのです。
おまけ『アビーサと銀次のオセロ対決』
魔王達が国へ帰り、それから何日か経ち、アビーサは森へ散策に出かけていた。
すると、森で銀次が金色丸と大きな切り株を机にしてオセロをしていた。
「きんじぃ、少しはオラに勝たせてくれよぉ」
「金色丸は詰めが甘いぞ、ほれ、儂の勝ちじゃな」
金色丸は白、銀次は黒そして、盤面は白2個しかなくほとんど真っ黒状態であった。
「ぎんじぃ、オラ教わったばっかだから少しは手加減してもいいじゃないか」
「手加減も何も、金色丸が弱すぎるのじゃよ。何度も角は取られるなと言っておるのに、儂は何度も角を取れるチャンスがあったが、何度も無視をして、金色丸が取るまで我慢してたというのに、全く気付かないんじゃ意味がないじゃろ!」
「くぅー。言い返せないだぁ」
アビーサは初めて見るボートゲームに興味を示し、2人の会話に入ることにした。
「なぁ、儂もそれに混ぜてくれんかのぉ?」
「アビーサさんオセロはやった事がおわりで?」
「いや、儂は今初めてじゃ」
「それでしたら、金色丸と一緒にやってみてはいかがですか。金色丸であれば、初めてであっても勝てますとも」
「ぎんじぃ酷いだ! オラ一応オセロ何度かやってるのに!」
「そうか、そうか、それじゃ、金色丸。儂とオセロをやろうかのぉ」
「しかたいないべ、例え初めてでもオラは手加減しないだ!」
そして、金色丸とアビーサはオセロをして、結果は銀次の言った通り、アビーサが勝った。
「納得いかねぇだ!」
「わーはぁっ!はぁ!はぁー!!! オセロなかなか面白いのぉ!!!」
アビーサは金色丸に勝ち、喜んでいてた。
「それじゃあ、アビーサさん、儂とも戦ってくれんかのぉ」
「おー! いいぞ! 金色丸だと頭使わんくても勝てるからのぉ!」
「ひ、酷いだぁ」
アビーサと銀次のオセロ対決は見応えのある戦いで、最終的には1個差で銀次が勝った。
「くぅー! 一個の差かぁ! 悔しいのぉ!悔しいのぉ!」
「初めてで、ここまでお強いとは儂驚きましたじゃ」
「ふむ、お主の教え方が良いからじゃ! なぁ、もう一戦やらんか?」
「その前に休憩しませんかのぉ? 菊姫がクッキーを作ってくれのぉ。この頃、菊姫はお菓子作りにハマったみたいで、自身が食べれない程の量を作るようになってから儂にお裾分けと言うなのお菓子処分係にされてしまって、儂、こんなに食えないのじゃよ。いつもなら、チェルーシルさんが喜んで食べてくれるのじゃが、今日は予定があるのでクッキーを食べれないと嘆いておってな」
「そうなのか、それならクッキーを貰おうかのぉ」
「ほれ、金色丸も一緒に食べよう」
「ぎんじぃ! クッキーありがとう! でも、なんで、菊姫はクッキーをオラにはくれねぇんだ?」
「さぁの、そこまでは儂じゃ分からんから、菊姫に直接聴いてみればいいんじゃないか?」
「分かった、後で聞いてみるだ!」
森の陽だまりの中、大きな切り株にはオセロそしてハチミツの良い匂いがするクッキーを囲い、金色丸と銀次、アビーサは仲良くクッキーを食べるのでした。
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