表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

369/590

魔王の師匠参上!

 魔王は解呪が成功したラヒートの側で彼女が目覚めるのを待っていた。


「ラヒート、目覚めてくれないか。俺はまだ君のそばにいたい」


 部屋には魔王様とラヒート以外に2人いた。その2人というのが、チェルーシルとオビリオンであった。


「魔王様、ラヒート様の事は私にお任せください。さぁ! 国へ戻り仕事にお戻りください」


「やだ! ラヒートが目覚めるまで俺はここにいるんだーい!」


「魔王様、流石にもうそろそろ帰らないと国の運営に支障をきたします。それに、エルフの王子のあの様子じゃ、めんどくさい事を吹っ掛けて来るに違いません。さぁ、国へ戻りその対応を議論しなくては」


「嫌だ!嫌だ嫌だ!!!!」


 魔王がラヒートの側で駄々を捏ねていると、老人の声が部屋に鳴り響いた。


『何やったらんじゃ馬鹿弟子! お前さんの国へはよ戻らんかい!!!』


「師匠!?」


 魔王が声に驚いた瞬間、寝ているラヒートから黒い魔法陣が出現し、小さな老人が現れ、魔王の顔面をぶん殴った。


「ぐへっほぉ!!!」


 老人は背丈が小さく、通常の男性の腰の位置までしかなく、立派に生えた白い髭、身長に合わない長い棒、その棒の先端には青白い光を放つ提灯が付いていた。


「し、し、師匠!? 出てきちゃダメじゃないですか! だれが、深淵を見守るのですか! 早く帰ってください!」


「んな、寂しいこと言うとは、師匠泣かせなやつだな、儂わな、1人で寂しくて、寂しくて、温泉入りたいんじゃ!!!」


「温泉目当てかよ!」


「だまらっしゃい!!!」


 小さな老人は魔王の腹に飛び蹴りをした。


「ぶっふぁはっ!」


 魔王は吹き飛ばされ、襖が一枚ダメになってしまった。


「まぁ、これは、凪様がお怒りになってしまいますわね」


「あの、アビーサ様。どうして、深淵から離れたのですか?」


 オビリオンはアビーサに質問をした。


「それはのぉ、お前達ばかり楽しい思いをしているのを見ていて、儂も体験したくなったのじゃ。それに、青雷にもお願いしたらいつでも遊びに来ていいと行っておったし、儂は温泉に入りたいのじゃ。それに、馬鹿弟子が帰らないのは女が心配だからじゃろ、それなら、儂がその女を守れば安心して帰れるじゃろ」


「ラヒートのお世話を師匠が!? 絶対にダメ! それなら、チェルーシルだけに任せた方があんし」


「黙らっしゃい!!!」


 魔王はまた腹に一撃を喰らった。


「こ、こんな、暴力ジジイが、ラヒートの側になんか、いさせるかぁ!!!」


 魔王は老人に掴み掛かろうとしたが、提灯の付いた棒で軽くあしらわれてしまった。


「こやつ、鍛錬を怠っておるな。オビリオン、儂はお主にこの馬鹿を甘やかすなと言ったのを覚えているか? その甘やかしがこの馬鹿を弱くしてしまっている」


「申し訳ございません。アビーサ様、魔王様はこの100年ほど国務に追われていたので」


「はぁー、ほら、この馬鹿を連れて国へ帰るのじゃ、この女は儂が見よう。儂もこの女から聞きたいことがあるのでな、儂が側についていれば安心じゃろうて」


「はい、アビーサ様がラヒートをお守りしたいだたけるのでしたら、とても心強いです」


「じゃろ!そうじゃろ! さぁ、帰れ。後は儂に任せるのじゃ」


「魔王様、帰りますよ」


「俺は、ラヒートの側に」


「さぁ! 帰るのです!」


 オビリオンはボロボロになった魔王を連れて部屋から出ていった。


「チェルーシルは初めましてじゃな、儂の名前はアビーサ。深淵の司るあの馬鹿弟子の師匠じゃ。これから、よろしくなのじゃ」


「はい、よろしくお願いいたします」


「それで、この洞窟の主人さんに話がしたいのじゃか、彼女の所まで案内してくれないかのぉ?」


「それでは、ラヒート様の側を離れてしまうことになってしまいますが」


「構わん、儂の炎に彼女を守らせよう」


 提灯が青白い光を強く放ち、丸い青い炎と黒い炎が浮かび上がった。


「お主立ち2人に彼女の護衛を任せる。何かあったらすぐに儂を呼ぶのじゃぞ」


 青い炎と黒い炎はアビーサの言葉に反応してラヒートの上でプカプカ浮かび始めた。


「これで大丈夫じゃろ、さぁ、儂を主人の元へ案内してくれ」


「かしこまりました。洞窟の主人凪様はご自宅にいらっしゃいます」


「主人の家に出発じゃあ! 久しぶりの地上。我ながらワクワクしてきたのぉ!」


 アビーサはチェルーシルの後について行きながら、洞窟の主人の元へ向かった。

ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
暇なお爺ちゃんの登場。……カメのおじいさんかツルのおじいさんのどっちかな? 温泉は良いですよね♪お酒を浮かべての1杯なんて特に(私は飲めないけど) こうして魔王は退場しました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ