おまけ ネルガルの料理
長達が繭になっている時のお話。
凪はご飯を食べなくても生きていける体になっているが、やはり、ご飯を食べることに喜びを感じるので、昼食を1人で作っていた。
凪は台所の冷蔵庫の中を確認していた。
「今日は、うーん、お肉と生姜あるし、藍介特性醤油を使って生姜焼きなんて良いかしらね」
すると、バタバタと廊下を走ってくる音がした。
「主人さん! ネルガルの馬鹿に料理を教えてやってくれ!!!」
走ってきたのはライネルだった。
「急に何よ、ネルガルも料理作れるんでしょ? 私が教えることなんて無いわ」
「いいや、あいつの料理はやばい、レシピ通りに作ると思いきや変な物まで投入して、まずい料理が完成しちまうんだ!」
藍介が繭になってしまったので、凪とネルガルとライネルは藍介が戻るまで食事は自分達で作る事に決めていた。
「主人さん、もしかして、これから豚焼くのか?」
「ふふふ、お昼ご飯は生姜焼きよ」
「俺も手伝うから食わせてくれねぇか?」
「いいわよ。じゃ、手を洗ってね」
「はいよ」
ライネルは手を洗い凪と一緒に豚の生姜焼きを作り始めた。
ライネルはキャベツを千切りにし、凪は生姜を使ったソースを作っていた。
「凪さん!!! 俺がせっかく昼ごはん作ったのにあいつ食わないんだ!!!」
ネルガルが廊下を走り、台所にいる凪の元へ駆け寄ってきた。
「んな! おい! どうして、俺が昼飯作ってやったのに凪さんと料理作ってるんだよ!」
「うるせぇな、あんなの料理じゃねぇんだわ」
「はぁ? 俺が丹精込めて作ったんだぞ!」
「ねぇ、ネルガルは今回何を作ったの?」
「今日の昼飯は、オムライスだ!」
「オムライスいいわね」
「普通のオムライスなら良いんだが、ネルガルのやつのは」
「俺が仕留めた魚入りだ!」
「美味しそうなんじゃない?」
「それなら、ネルガル昼飯持ってこいよ」
「俺の飯は天下一品なんだぜ! 持ってくるから待っててくれよな!」
ネルガルは走り出し、自身が作った魚入りオムライス2人前を持ってきた。
そのオムライスの見た目はチキンライスの上にオムレツが乗っかっているもので、見た目は美味し、ではなく、そこまでの見た目は美味しそうに感じられるのに何故か、生魚が直立でチキンライスとオムレツの真ん中に刺さっていた。
「どうして、生魚が刺さってるの?」
「魚は生で食べるのが美味いんだよ!」
「これのせいで、俺は腹を壊した事もあるんだよ」
「生魚美味しいわよね。お寿司や刺身。うん、お寿司食べないな。私、マグロとサーモン好きだし、お寿司屋さんの茶碗蒸し好きなのよね。つい、頼んじゃうのよ」
「お寿司? 刺身?」
「多分、ネルガルが好きそうな料理ね」
「おい、まてよ。主人さん魚を生で食べたことあるのかよ!!!」
「あるわよ。美味しいわよ」
「ほれ!見たことか! 凪さんは俺の味方って事だな!」
「でも、オムライスに生魚を刺すのはよろしくないわね。そもそも、下処理とかしているの?」
「魚は丸齧りで食べるだろ?」
「はい? 内臓とか取り出さないの?」
「魚はそのまんまが美味いんだよ」
「こいつは、魚の事になったらこれしか言わなくなるんだよな」
「オムライスを作るまでは良いけど、生魚は合わないから、何でも料理に生魚を入れようとするのはやめようね」
「なっ! 美味しいんだけどな、ここの森に流れている川が綺麗でさ、魚がこれまた美味いんだ。海の魚より味は違うが、これは、これで美味い」
凪は直立でオムライスに刺されている魚を救出し、夜ご飯に焼いて食べようと考えた。そして、作っていた生姜焼きを完成させて、3人は一緒に昼食を食べていた。
魚を抜いたオムライスは美味しく、生姜焼きも豚の脂が甘く、生姜がぴったり合っていた。
「なんだ、オムライス美味しいじゃない」
「凪さん、食べ方違うって、魚に乗せて食べるんだよ!」
ネルガルは生魚にオムライスを少し乗せながら食べていた。
「私はそんな食べ方しないわよ」
「俺は一度やって酷い目にあった」
「ライネル、どんまい」
凪はライネルの肩を優しく叩き、昼食を楽しんだのでした。
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