魔王と獣とエルフの恋バナ
マランは紅姫に抱きついたまま洞窟の主人と対面した。そして、自身の全ての不満を話し温泉施設で宿泊しているチェルーシルと会う事になった。
マランと青雷は温泉施設に着くと、チェルーシルに会う前にお風呂に入ることにした。
マランは今まで顔を隠していたフードを取り、エルフは美男美女の耳の尖った種族という世界認識があるが、マランはその中でも美貌が飛び抜けており、女性人気が高かったが、性格に難ありのため、女性陣からは目の保養の残念男と言われていた。
そんな男が更衣室で裸になり、タオルを腰に巻いて風呂場へ向かった。
風呂場にはゴウライ、イデア、オビリオンの八翼達と魔王が湯に浸かって寛いでいた。
「魔王様、イデアおじちゃん、オビリオンさん僕が背中流してあげるよ!」
「いや、いいて、俺はもう体洗ったし」
「私も大丈夫です。青雷君、私を呼ぶ時はイデアお兄ちゃんでお願いしますね」
「青雷いいところに! ゴウライが電気風呂に入っても何も感じぬの一点張りでさ、青雷の力でゴウライをビリビリにしてやってくれ」
「この風呂だけは何も感じぬのだ。本当に体がビリビリとするのか?」
オビリオンとゴウライは電気風呂と書かれた風呂に入っていた。
「分かった、オビリオンさんは危ないからお風呂から出てね」
「了解、よろしく頼むよ」
「俺からもよろしく頼む」
「じゃあ、いくよ! 剛雷糸!」
青雷の雷を纏った糸が電気風呂に入り、青色の電流が風呂を駆け巡った。
「何故俺の名前がスキル名に? ぐっ、これは、なかなか良いな。もう少し強くしてくれないか?」
「じゃあ、もう2本追加で!」
ゴウライのリクエスト通りに2本の糸を風呂に追加した。
「これは! いいな!いいぞ! サーフィンの疲れが飛ぶようだ!」
「オビリオンさん、ゴウライさんってサーフィン始めたの?」
「俺もサーフィンをやってみたが、俺はハマらなかったな。魔王様もサーフィンはそんなに好きではなかったみたいだし」
「自然と戦えるなど余りない体験だからな。ネルガルには感謝している。それに、藍介さんにも俺を立ち直らせてくれて感謝している」
「まぁ、元気になって良かったんじゃない? 記憶は元に戻ったの?」
「いいや、俺はただ前の俺が記憶をなくす前しか観れなくてな。俺は罪人なのにこんな所で寛いで良いものだろうか」
「僕に聞かれても分からないよ。そういうのはイデアおじちゃんかオビリオンさんに聞いて」
青雷がゴウライとオビリオンと話している中、マランは魔王様とイデアにお風呂の入り方を教わっていた。
「まさか、あいつがここまで追って来ていたとはな、イデア、チェルーシルを連れてきといて良かったな」
「荷車に乗せてあげた方が良かったかもしれませんね」
「うちの王子がすみません」
「ナーヴァ様の気持ちは私も痛いほどわかります。愛する人と会えない辛さ、そばに居たいのに仕事で会えない日々、そして、ハグを拒絶された時なんかはもう、死にたくなりそうなほど辛い事なのですよ」
「紅姫さんに拒絶されたら、おれも」
「ん? お前もしかして、紅姫さんの事好きになったのか?」
「あれほどの美人に惚れない男はいませんよ!!!」
「まぁ、俺もラヒートがいなかったら、俺の妻になってくれと申し込むな」
「最低ですね。ラヒートさんにこの事は伝えておきます」
「やめてくれ! お願いだ! これだけは本当にやめてくれ!」
魔王はイデアに縋りついた。
「そもそも、紅姫さんには白桜ちゃんと青雷君、その他にも沢山の子供の母親ですよ」
「それでも、紅姫さんは未亡人。夫がいないって青雷から聞いた。それなら、俺が青雷の父ちゃんになっても良いんじゃないか!」
「なんで、振られることを考えていないんだ」
「振られる? この俺がですか? そんな冗談よしてくださいよ。俺はエルフの中でも美男! 性格も良し、金もある程度待ってます。しかも、まだ、210歳。ふっ、エルフの貴族でもある。まぁ、魔王様やイデア様ほどではないですが、こう見えても結婚する相手なら最高の相手なんじゃないですかね!」
「自分で言い切っちゃったよ。マランもイデアの仲間ってことか、ん? 俺は今、イケメンに囲まれているってことになるよな。うわっ、イケメンに囲まれると苛立ってくるな」
魔王はイケメン2人に囲まれて不機嫌になった。
「おや、魔王様もイケメンじゃないですか、国民に好かれ、特に男の子に人気があり、魔王様の建国の物語は全ての国民が知っているほどの知名度。さすが魔王様です!」
「お、おう、イデアにそんなに褒められるとなんか照れるな」
「まぁ、女性人気は私がぶっちぎりの一位なんですけどね」
「うわっ、そういう所がムカつくんだよな。ちぇ、イケメン様はモテモテで良いよな」
「いえ、モテ過ぎるのもきついものがあるのですよ。夜更けに知らない女性が寝室に侵入するわ、何かの毛で編まれたセーター、私が一度もあってもいない人との恋仲になっていると言う噂なんかあったり、こちらも大変なのですよ。私は妻達を愛していますが、今は凪さん! 凪さんにモテなかったら意味がないのです!」
「若干引かれてるからな」
「引かれてなんかいません! まぁ、私は凪さんに惹かれていますがね」
「あっ、これは長くなるぞ、マラン、覚悟した方がいいぞ」
「はい」
マランはイデアの好きな人の話を1時間聞く羽目になった。
小説を投稿し始めて1年になりました。
私の小説をここまで読んでいただき本当にありがとうございます。
1年記念という事で、3日間、おまけ話を投稿します。
ハリヌン回、ネルガルとライネルの回、灰土回となります。
他のキャラクターのおまけ話しをリクエストしていただけたら、そのキャラクターのおまけ話を書こうと思います。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。