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マランの恋

 マランと青雷は主人様の家の前まで辿り着き、マランは洞窟の主人の家が鬼の国の家屋に似ていることに驚いていた。


「ヨーサが見たら喜んだろうな」


「ヨーサって誰?」


「俺の同僚でな、鬼鏡国の文化が好きでよく鬼鏡国に遠征に行きたいだの、長期休暇とれたら鬼鏡国に観光に行きたいとか言ってたんだよな」


「主人様の家がその鬼鏡国の家に似てるの?」


「あぁ、ヨーサに絵を見せてもらったんだが、この家は本当に絵の家に似てるな」


「そうなんだ、あっ! やばい! 母様に見つかっちゃった!!! 何処かに隠れなきゃ!」


「母様?」


 マランは青雷よりも大きい蜘蛛を想像した。


 天井から糸が垂れ、その糸で天井から降りてくる美女がいた。


 マランは目の前に落ちてきた糸を目で追って上を見た。


「なぁ、もしかして、あの人が主人様か?」


「あーあ、やっぱり見つかってたか。主人様じゃないよ。僕の母様だよ!」


 紅姫が近付いてくると、マランは彼女の体が自身が想像していたよりも大きく、そして、今までの人生の中で1番の美人だった。


 紅姫の美しさに目が釘付けになり、そして、彼女の魅惑のボディを前に、マランは紅姫に一目惚れをしてしまった。


 マランの女性との関わりは娼婦ぐらいであり、彼にとって女は欲を発散するだけの存在だけであって、結婚願望などなく、子供なども育てるのが面倒。だから、子供は自分には不要だと考え、女を好きになる事なんて自分はないのだろうと思っていた。


 そんなマランであったが、彼女の美しさの前に今までの考えは全て消え去った。


「は、初めまして!!! 私はエルフのマランと申します! 青雷君に仲良くしてもらっています!!!」


 紅姫は地面に足をつけると、少し驚いた表情をしていた。


「あら、青雷、この方と友達になったの?」


「うん! そうだよ!」


「でも、この方はチェルーシルさんの敵なんでしょ?」


「そうだけど、マランさんも好きでチェルーシルさんを追いかけてないんだよ。これも全部あの王子が悪いんだ!」


わたくしは詳しい話は聞いてないのでよくは分かりませんが、青雷の友達であるのであれば、大丈夫でしょう。そう、青雷、勝手に1人で出歩くのはいけませんよ。せめて、わたくしに一言言わなきゃダメだからね」


「ごめんなさい」


「それでは、主人様がマランさんをお待ちしています。さぁ、家へ」


「俺を待っている?」


「それは、僕が主人様にお願いしたからだよ。チェルーシルさんに会う前に私が話を聞きたいって」


「分かった。なぁ、青雷、青雷には父親がいるのか?」


「ん? 僕には父親はいないと思うよ」


 紅姫は頬に手を当てていた。


「彼の方は弱かったから交尾をしたら死んでしまいましたからね」


「ふぇっ!?」


 マランは紅姫の発言に驚き、青雷の背中から転げ落ちそうになった。そんなマランを紅姫が胸でキャッチをした。


 ボヨン! とマランの顔面は柔らかくそして張りのある胸に埋まり、頭が煩悩に支配された。


 マランは煩悩に負けて紅姫の胸に抱きついた。


「あら、落ちるのが怖かったのですか?」


 紅姫はマランに抱きつかれ驚いたが、彼女にとって自身に甘えるマランが子供のように見えたので優しく頭を撫でてあげた。


「母様ナイスキャッチ!」


「もう、客人を背に乗せるのなら、シートベルトをしないと危ないって主人様が言ってたじゃない。今度からは客人の背に乗せる時は必ず糸で客人の体を固定させてあげなきゃダメよ」


「はーい。ねぇ、主人様の所に行こう」


「マランさん行きますわよ」


「はい! 紅姫さんと共に行きます!」


「なんだろう、マランさんさっきより雰囲気違くない?」


「そんなことはないぞ、青雷君!」


「やっぱり、なんか変な感じがするよ!」


 マランは紅姫にくっついたまま洞窟の主人に会うのでした。

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― 新着の感想 ―
う~む。(一応)未亡人に落ちたか。先ずはクモの生態を知らないとイケナイけど……お友達を「息子」と呼べるのかな? 一先ずライバルが増えなくて良かったのかな(笑) もう一人仲間に引き込めそうな気配が。
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