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ストーカープリンス 追いかけっこの始まり

 エルフの王子は自身が契約している精霊との喧嘩をエビル、マランの2人に仲裁され、愛しのチェルーシルを助け出す準備に取り掛かった。


「仕方ありませんね。私が力を貸しますが、チェルーシルさんを妻にする前に王子にはやるべき事をやっていただきます」


「分かっている。チェルーシルを助け出したら公務の一つや二つやってやろうじゃないか」


「俺、ヘルダイル様に噛まれたけど、俺死ぬんじゃないか」


 白蛇はマランに謝った。


「すみません、つい噛んでしまって、ですが、大丈夫毒は出していないのでただ痛いだけです。毒を注入していたら、体内がドロドロに溶けてしまっていたかもしれませんね」


 白蛇は笑って誤魔化した。


「いや、笑い事じゃないんだけど! それって、俺死んでかもしれなかったっね事じゃん!!!」


 シェーフがマランと白蛇の前に現れた。


『ん? 私がよそ見しているうちにマラン死にかけたの? って、あら、ヘルダイルじゃない。お久しぶり』


『おや、シェーフじゃないか、どうして君がこんな辺鄙な所にいるんだ?』


『彼が私の新しいおもちゃだからよ』


『あー、そういう事ですか。あまり、彼を困らせるようなことはしないほうが良いのではないでしょうか。また、四百年ほど封印されてしまいますよ』


『ふん! 私が財をなしてあげたのに、恩を仇で返したあいつが悪いのよ! それに比べてマランは可愛い部類ね』


「えーと、2人は知り合いなのか?」


『えぇ、私は風の精霊達を束ねる大精霊で、その大精霊を束ねるのが』


『この私、ヘルダイルでございます』


「へぇ、俺は知らなかった事にしよう」


 マランは面倒な間に合いそうだと確信し、これ以上詮索しないよう心に誓った。


『貴方が一緒に戦ってくれるのでしたら心強いですね』


『あら、私が暴れても良いのかしら?』


『そうでもしないとあの魔物は倒せませんよ。あの魔物は何故、チェルーシルを連れ去ったのでしょうか?』


『さぁ、それじゃあ、思いっきり暴れようかしらね!』


 シェーフは笑いながら王子と護衛達の体を浮かした。


「おい! またこれかよ!」


『頭上から一斉攻撃よ! いっけー!!!!』


 王子と護衛達は共に強制的に化け物の頭上に飛ばされた。


全属性玉オールエレメントボール


水玉ウィンドボール


土玉アースボール


風玉ウィンドボール


炎玉ファイアーボール


雷玉ライトニングボール


 王子と護衛達は一斉に化け物に頭上から魔法を浴びせた。


「うわぁぁあ!!! びっくりしたなぁ! 僕が何をしたって言うんだよ!!!」


 化け物は見えない壁を作り護衛達の魔法を防いだ。


 王子と護衛達は化け物の前に華麗に着地をした。


「なに、一斉攻撃が効かないだと」


「あー! チェルーシルさんのストーカーだ! しつこい男は嫌われるって主人様言ってたよ。チェルーシルさんに嫌われているのにどうして執念深く追いかけるのかな、迷惑だって気付かないの?」


 化け物の言っていることが正しく、王子の腕に巻き付いていたヘルダイルとマランは深く頷いた。


「彼の言っている事は正しいな」


「化け物に諭されるってどういう事だよ」


「もう、化け物、化け物って僕は主人様から立派な名前を貰ってるんだから、やめてよね。僕は魔蟲の洞窟の3層目の長、紅姫の息子にして、魔王の1番弟子の青雷だ!」


「魔王の一番弟子? 魔蟲の洞窟って何だ?」


「あー、まさか、そんな、あの方の配下という事でしょうかね」


「ヘルダイルあの化け物について何か知っているのか?」


「彼は我等大精霊よりも強大な力を持つ神に創られた精霊、魔石精霊アが住むダンジョン出身だという事です」


「魔石精霊? 思い出した、北の人間の国を庇護している精霊が魔石精霊ビクトリアだったな」


「彼女は本物ではないので魔石精霊とは言えませんが、アは違います。彼女はこの世の頂点に君臨してあると言っても過言ではないぐらいに最強の精霊なのです」


 青雷はチェルーシルを背中に乗せると王子達から逃げ出した。


「おい! あいつ逃げ出すぞ!!! 追え!」


 青雷は蜘蛛の巣を空中で張り、飛び跳ねながら逃げた。飛ぶ瞬間、男の子の悲鳴をあげていた。


「ひぇぇぇ!!! もう、無理です!!! 青雷君、これ以上、僕、死んじゃいます!!!」


「ラックル様、頑張ってください! 青雷様、この調子で逃げましょう!!!」


「逃げるが勝ちってね! 戦うとエルフの国と敵対関係になっちゃうんでしょ、それだけは避けないとね」


「青雷様、ありがとうございます」


「いいって、あの人たち足遅いから僕達に追いつかかなあと思うよ」


 だか、青雷の考えは甘かった。相手がエルフだけなら逃げ切れるのだが、エルフ達には大精霊が2体も味方をしていた。


『あの子、なかなかやるわね! 面白くなってきたわ!!! さぁ! あんた達! もう一回飛ばすわよ!』


「まじかよ、もう一回飛ばされるのか」


「マラン、もう一回飛ばされるって、また私達飛ばされるの!」


「きゅきゅーうぅぅ」


「ハリヌンがもう疲れてしまったみたいだ」


「空を飛ぶ忍法ってあるのかな?」


「何、意味が分からない事を言ってるのですか」


 そして、青雷はエルフ達から逃げ、エルフ達は大精霊シェーフによって吹き飛ばされ続ける追いかけっこが始まった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 何処にでもいるのですね、(自分が)面白ければなんでも良い♪という方が(・・;) クモさん達が理性的で王子が直情的……終わりが見えないね。 [一言] 我慢してね、洞窟までの辛抱だから(笑)…
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