帰ってきた青雷
そして、3人はエルフの王子から逃げ、4日かけて魔蟲の森に着いた。
「やっとここまできた! 洞窟まで後少しだから頑張ろう!」
ラックルとチェルーシルはこの4日間青雷の背中に乗っていたので快適な逃亡ライフを満喫していた。
「ここまで来れば、あの方も流石に付いてこないでしょう」
「僕、エルフの王子嫌いになりました! いきなり空から攻撃してくるなり、青雷君を化け物呼ばわりするなんて、あの傲慢王子チェルーシルさんに嫌われるわけですよ」
「無事逃げれたから良かったじゃん。僕走り疲れちゃったよ」
3人が会話をしながら森へ入ると、1人の蜂が接触をしてきた。
「ひゃぁはぁっ! ひゃはぁ? ひゃはあ!!! ひゃっはあ!!!」
「この人は百合姫さんの配下さんかな? 僕は魔蟲の洞窟の3層目の長、紅姫の息子の青雷です!」
青雷は蜂に自己紹介をした。
「ひゃはぁ。ひゃっはぁ、ひゃはぁ、ヒャァッハァ!!!」
「ごめん、僕じゃ君の言葉を理解できないみたい」
「私もひゃっはぁ! しか、聞こえませんわ」
「僕も同じくです」
すると、遠くからもう1人の蜂が現れた。
「どうしたんだ! って!? 青雷様じゃないですか、こちらの方は、えーと、リストにあった。ラックル様とチェルーシル様ですね。洞窟までご案内したい所ですが、まず最初に俺達の長、百合姫様にお会いしていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「話が通じる虫さんが来てくれたね」
「うん、分かった。あの、百合姫さんの所まで案内してもらえないかな?」
「かしこまりました、ご案内させていただきます」
青雷、ラックル、チェルーシルは2人の蜂に案内をされ、百合姫がいる東の花畑までやってきた。
「あれが、蜂の巣、私が見てきた中でこんなに大きいのは初めて見ました!!! あの中にハチミツが沢山。はぁぁああ!!! 一度でいいから全身にハチミツを浴びたい!」
チェルーシルは今までの人生で特大の蜂の巣を見て興奮していた。
「ハチミツってベタベタするよね? 浴びたいなんて、チェルーシルさんって少し変わってるね」
「流石に大量のハチミツを浴びるのは窒息する可能性があるのでやめたほうがいいと思うな」
「ラックル君もそう思うよね」
虫人となった百合姫と菊姫が青雷達の前に現れた。
「初めまして、菊姫と申します」
「百合姫、えーと、そこの小さいのがラックル、で、長耳がチェルーシルであってるか?」
「ちょっと、百合姫、いくら待っても来なくて苛立っていたのは分かるけど、客人に無礼を働いてはいけないわ」
「待たせちゃってごめんなさい」
青雷は菊姫と百合姫に謝った。
「いえ、頭を下げないでください。こちらこそ、無礼な態度を取ってしまい申し訳ございません。客人を洞窟までご案内いたしますね」
「ふん、あたいは森の外に出るからもう行くわ、主人様には菊姫が伝えてといて」
「はぁ、分かったわ」
百合姫は配下を引き連れて森の外へ向かった。
「本当にごめんなさい」
「いいえ、そんなに謝らないでください。あの、少しだけ質問をしてもよろしいですか?」
チェルーシルは目を輝かせ菊姫に詰め寄った。
「え、えぇ、質問ですか、はい。どのような質問なのでしょうか」
「あの、この立派な巣にはハチミツが貯蔵されているのですか」
「はい、私達の家では花から蜜を集めそれを貯蓄しています。あー! チェルーシルさんは確かハチミツが好物なんでしたよね。それでしたら、さっき採ってきたばかりのハチミツを味見しますか?」
「え!? 良いんですか! 是非、味見させてください!」
「少々お待ちくださいね」
菊姫は一度巣に帰り、人間の手のひらサイズの葉に採ってきたたばかりのハチミツを載せて、戻ってきた。
「どうぞ食べてください」
「ありがとうございます! これが、採れたてのハチミツ!!! いただきます!!!」
「僕ももらって良いんですか! ありがとうございます! それじゃあ、僕も、いただきます!」
2人はハチミツを食べ、満面の笑みを浮かべた。
「美味しい! とっても美味しいですわ!!!」
「甘くて美味しい!!!」
「喜んでもらえて良かったです。それでは、主人様にはお伝えしたので、洞窟へ向かいましょう」
「案内よろしくお願いします」
菊姫は青雷達を洞窟まで案内した。
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