青雷、市場へ行く
青雷はラックルの使い魔となり、魔王城から王都の市場へ向かっていた。
「市場〜市場〜、沢山買い物〜」
「青雷君楽しそうだね」
「だって、僕市場行くの初めてだもん! お店で買い物とかしてみたい! カッコいい武器とかも欲しいな」
「魔王様からもらった剣もかっこいいと思うんだけどな」
3人は市場へ着くと、青雷を見た市場の人達は叫び、警備兵を呼ぶ者もいた。
そして、3人の警備兵で1人の狼の獣人はラックルに気付いた。
「ラックル様じゃないですか、もしかして、彼が例の客人なのですか?」
「そうですよ、彼は魔蟲の洞窟からやってきた蜘蛛の魔物の青雷君です。今は僕の使い魔になっているので、市場の方達に危険はないと伝えて欲しいです」
「かしこまりました。青雷様、あの黒い化け物から恋人を救っていただきありがとうございます」
警備兵は青雷に頭を深々と下げた。
「ん? 成れ果ての事かな?僕に頭を下げなくていいよ」
「本当にありがとうございました。市場で買い物をするのであれば、私達が青雷様の安全をお守りいたします」
「僕は強いから守らなくてもいいと思うんだけどな」
「その、この頃市場では、使い魔だけを奪う盗賊がいまして、青雷様の力はとても強い。もしかしたら、その盗賊が現れるかもしれません。なので、私達に青雷様を守らせていただけないでしょうか」
「えー、僕はラックル君とチェルーシルさんの3人で買い物を楽しみたいな」
「青雷君、せっかくだから護衛をお願いしようよ。僕も使い魔泥棒の事は知ってるし、報告は何件があがってたよ」
「クティス様はその件で頭を悩ましていましたわ」
「イデア様じゃなくてクティス様が悩んでいたの!?」
「この頃はクティス様が書類整理、貴族との対応など、幅広く仕事をこなしていました。青雷様、ラックル様、彼らの好意を受け取るのも良いのではないですか」
「チェルーシルさんがそう言うなら、僕達の護衛をお願いしようかな」
「本当ですか! 全身全霊を持って、青雷様、ラックル様、チェルーシル様を警護いたします!」
警備兵に守られながら、3人は市場での買い物を楽しんでいた。
青雷はタコの串焼きを食べていた。
「ラックル君! これ、プリプリして美味しいね!」
「それは海の生物のタコだよ。海の幸って美味しいよね。僕はエビが好きかな」
「私は、昆布が好きです」
「チェルーシルさんは海藻がお好きなんですね」
「はい、海苔も好きですね」
「海苔! ねぇ! 海苔って黒くて薄っぺらい紙みたいな食べ物だよね! 主人様のお土産に買って帰りたいな!」
「海苔でしたら日持ちもしますし、お土産にうってつけですね」
「いいね! 海苔を沢山買おうか」
「そうだ、ねぇねぇ、ラックル君、僕がお会計してみてもいい?」
「青雷君お金持ってるの?」
「うん! オビリオンさんに主人様から貰った魔石を換金して貰ったんだ! えーと、袋はと、あった! ほら、金貨がいっぱいだよ!」
青雷は首元に隠してあるバックを取り出すと、中から金貨が沢山入った袋を取り出した。
「僕が主人様に渡すお土産だから、僕が買わないとね!よし! お会計してくる!」
青雷は籠に沢山入った海苔を買った。
「買い物できた!!!! 見てみて! 僕買えたよ!」
「店主さん、ありがとうございます」
「いいってことよ、ラックル様、これをあの蜘蛛の子に渡してもらえないでしょうか」
海苔屋の男の店主は海苔煎餅3枚をラックルに渡した。
「ラックル様も食べてください。新商品の海苔煎餅って言うんです」
「ありがたく頂戴します」
その後、チェルーシルオススメのケーキ屋さんに行き、ケーキを食べ、青雷は初めての市場観光を満喫していた。が、そんな3人を狙う、一つの影が彼等に迫ってきていたのであった。
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