双子の名前
ミーライは無事に両親と会えたが、彼らにとって考えてもいなかった事件が起きた。それは、娘が虫と結婚すると言い放ったのだ。
娘はまだ1歳。それなのに結婚すると言われた父親は眩暈を起こし、自分自身の精神を守る為に体は気絶を選択した。母親は娘を拐かした虫を引き離そうとしたが、娘の力が強く、娘から虫を引き離すことができなかった。
そして、1番の被害者であるムカデのくろは、兄であるしろに助けを求めたが、しろは助けてくれなかったのである。
「だから、俺は!!! 結婚しないぞ!!!」
「しゅるの!!!」
「ミーライ、その虫を離しなさい!」
3回以上同じやり取りをしたが、結果は変わらず、くろはミーライから逃げれずにいた。
「ミーライちゃん、くろに名前を付けたいから少しだけくろを借りてもいいかしら」
この変わらないやり取りを終わらすために、主人様が助け舟をだしたのであった。
「やだ! くろと一緒がいい!」
「少しだけね。お願い」
「うん」
ミーライは折れて、くろはミーライからやっと解放された。
「主人様、本当にありがとうございます。俺の足が全部無くなる所でした」
「お疲れ様、それで、名前を貴方につけてあげたいんだけど、いつもなら好きな色とか好きな花で決めてたんだけど、貴方達2人は見た目でつけてもいいかしら?」
主人様の腕に巻き付いていたしろは喜んでいた。
「はい! 主人様から名前をもらえるなんて、それだけで、とっても嬉しいです!!!」
「貴方達は前に会った時に少しだけ名前考えていたのよ。それじゃ、発表するわね」
「はい!」
「しろは綺麗な白い体から、名前は真白、くろは常に黒い体から、名前は黒常」
「僕はましろ。くろはこくじょう」
「黒常、主人様ありがとうございます。ありがたく頂戴いたします」
「ましろ! 僕はましろ!!!」
「喜んでもらえて良かったわ。それで、黒常、ミーライちゃんと結婚するの?」
「しません! そもそも、種族が違いすぎますし、結婚するのにミーライは若すぎます!」
「まぁあ、そうなんだけどさ、その、あの子がここにいる間は側で見守って欲しいのよね。黒常のこと気に入ってくれているみたいだし、今日みたく一人で外へ出て危険な目にあったじゃない。だから、黒常をミーライちゃんの身辺警護をして欲しいのよ」
「主人様のご命令を承ります」
「黒常がそばにいてくれたら安心ね」
「真白は! 真白は何をすればいいですか!!!」
「ん? えーと、真白には、黒常のサポートをお願いしようかしら」
「かしこまりました!!! 真白は名前に恥じないよう精進いたします!!!」
主人様はミーライに近付き、くろの名前を教えてあげた。
「こくじょう。こくじょう! ミーライのこくじょう!」
「意味がわからん!!!」
「まぁまぁ、くろ、いえ、黒常! 真白にサポートは任せてください!」
「不安でしか、無いんだが、俺は、この後、どうなるんだ!!!!」
ミーライの護衛を任された黒常とそのサポートの真白は任務を開始し、黒常は常に、ミーライの抱きしめ攻撃に悩まされるのでした。
「だから! 少し力を緩めてくれよ!!! 俺の足が、足がぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」
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