ミーライの大冒険 前編
解呪が始まり3日目の夜。クティスはミーライちゃんのお守りから解放され、のんびり凪が帰ってくるまで過ごそうとしていた。
「ガウガァ〜(疲れたぁ〜)」
「ガウグルルガウガウガ(凪が帰ってくるまで休んでようかな)」
クティスは眠ろうとすると、尻尾を誰かに掴まれた。
「ガウガ!?」
「獣よ! 俺様と遊ぼうじゃないか!!!」
「ガウグルバァ!(嫌だよバカ!)」
「そう言うなよ。俺様は妻を助けに行きたかったのだが、すまない。俺様には妻の代わりが出来そうになくてな、泣く泣く、戻ってきたわけだ。妻ならあのカオスをも耐え切れるだろう」
「ガウガ?(何言ってるの?)」
「まぁ、そう言うわけで、俺様と遊ぼ! 1人寂しく逃げ回るのは飽きたんだ。やはり、皆と楽しく遊んだほうが楽しいからな!」
「バァカガウガグルルル!(馬鹿な氷月なんかと遊ぶわけないじゃん!)」
「そう言うなって、俺様と遊びに豊穣の森へ行こう!」
氷月はクティスの尻尾を掴み、クティスを引きずり始めた。
「ガウガ!!! ガウガ!!! ガウガウガルルルガ!!!(イデア!!! イデア!!! 誰が僕を助けて!!!)」
クティスの抵抗したが、氷月には敵わなかった。そして、クティスは氷月に連れられて豊穣の森へ行った。
そして、クティスがいなくなった時、ミーライちゃんはあることを考えていた。
ゴウライとカーラーそして、ミーライは同じ部屋で眠っていたが、ゴウライが悪夢にうなされカーラーがゴウライを起こしたりしていた。ミーライは父親が苦しんでいる姿を見て、助けてあげたいと考えた。
パパ、苦しそう。そうだ、あの人ならパパを助けてくれる。あの人に会いに行こう!
2人が寝静まった時、ミーライは1人で部屋から出て、1人で外へ出ていってしまった。
「うんしょ、うんしょ、パパ、たしゅける!」
ミーライは1歳とは思えない速さで温泉施設から遠ざかり、4層目の安全地帯から離れてしまった。
ミーライは初めての冒険に不安を覚えつつも、パパを助ける。その想いで、5層目の教会を目指そうとした。
ミーライはどっちに行けば会えるのか分からず、5層目に続く道の反対の道へと歩いて行ってしまった。
「パパ、たしゅける! たしゅける!!!」
ミーライを見た虫達は新たな侵入者、それか、客人か、分からずにいた。
『アノ、チイサイノ、シンニュウシャ? キャクジン?』
『キャクジン? チイサイノイタ?』
『ハラヘッタ、チイサイノ、チョウドイイナ』
『ダメ! タベヨウトシタラ、ダメ!』
腹が減りすぎた大きなムカデはミーライの前に立ちふさがった。
「ムシさん、大きいムシさん!」
「ココハ、アルジサマガ、キョカシタ、カリスルバショ、オマエ、ココニキタカラニハ、カラレル。オレハ、オマエヲ、カル」
「んー? むしさん?」
大きなムカデはミーライ目掛けて口を広げて突進した。
「ひぇっ、むしさん!?」
ミーライは怖くなり、その場で固まってしまった。
「いや、いやぁぁぁぁあああああ!!!!」
ミーライは泣き始め、ミーライの体を守るように雷がミーライの体を覆った。
ムカデはミーライを覆った雷に触れ、体に電流が走り、ミーライから距離をとった。
「ビリビリ、カラダ、シビレル、デモ、ハラヘッタ」
ムカデは体の痺れていてもミーライに突進をした。
「おいおい! 客人を襲うなんて、何馬鹿なことをしてるんだ!!!」
すると、1匹の真っ黒なムカデが自身よりも大きなムカデを影を縄のように使って拘束した。
「くろー早いよー」
その後ろを真っ白なムカデが追ってきていた。
「おい、木偶の坊! お前は主人様の言うことが分からなかったのか!!!」
真っ黒なムカデは大きなムカデを拘束している影を締め上げた。
「ヤメテ、ヤメテ、ウゴケナイ」
「なら、とっとと帰りやがれ!!!」
大きなムカデは真っ黒なムカデから逃げた。
「よし、これで大丈夫だな。にしても、どうして、狩場に客人がいるんだ?」
泣きじゃくるミーライに真っ白なムカデは語りかけた。
「大丈夫ですよ。くろが怖い虫さんをやっつけてくれましたよ。だから、ほら、泣かないで」
「ムシさんいない?」
「ほら、怖い虫さんはいませんよ」
「ほんとだ! 大きいムシさんいない!」
「くろがやっつけてくれたんです」
「くろ?」
「えぇ、僕の弟のくろです。まぁ、名前をつけて貰っていないので、くろは仮の名前何ですけどね」
「くろ、ミーライ、たしゅけてくれたの?」
「まぁな、それで、ミーライだっけ? ミーライはどこへ行きたかったんだ?」
「パパをたしゅけてほしいの!」
「パパ? ねぇ? で、助けて欲しいって言われても俺達じゃ何もできないぜ」
「もしかして、緑癒様に頼みたいんじゃないですか?」
「あー、それなら、教会だな。仕方ない、俺達が教会まで送ってやるよ」
「ほんと! くろ! ミーライ大好き!!!」
ミーライはくろに思いっきり抱きついた。
「やばい、やばい、しぬ、しぬぅぅぅう。しろ助けてくれぇ」
「くろ、頑張ってください!」
しろと呼ばれるムカデはミーライから少しだけ距離をとった。
「くそがぁぁ!!! やべっ、脚がもげる。お願いだ、力を抜いてくれぇぇ!!!!」
くろの叫びは虚しく、ミーライはくろを抱き抱えながら、しろの後ろについて行った。
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