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引きこもりのゴウライ

 私達はゴウライさんの記憶を読み終えました。


「こんな事が起こっていたなんて、あの白衣の男は一体誰なの? オビリオン様、イデア様、彼を見たことありますか?」


「私は見たことないですね。あんな悍ましい行為をする人間がこの世には存在するのですね」


「子供が見なくて良かったな」


「彼は人体実験を楽しんでいる様子でしたね。彼は医者なのでしょうか?」


「あんなものを見て、冷静に分析しないでください」


「いえ、あのぐらいならこの医療の本に書いてありますし、この世界では回復魔法で傷を癒すことが普通ですが、異世界だと傷を縫い合わせたりして治すこともありますし、体の中の病気なら体を切り、病気の原因を直接取り出したりしていますよ」


「聞きたくなかったわ」


「そしたら、あの白衣の男は異世界人と言うことでしょうか?」


「その可能性がありますね。異世界人がなぜ、リリアーナと共に行動をしているのでしょうか? それに、主神との敵対。リリアーナが見たことのないドラゴン、謎が深まるばかりですね」


「ドラゴンの情報はドーレーラムさんにも共有しないといけませんね」


「あぁ、ドラゴンが囚われている事はこれで確定した。リリアーナの住処を探し出してドラゴンを救出しなくてはいけなくなったな」


 すると、ドアが急に開きミーライちゃんが部屋に入ってきました。


「パパ!!! パパ!!!」


「ミーライ! ここに来ちゃダメでしょ」


「パパ!パパ!」


 ミーライちゃんは気絶しているゴウライさんの元へ駆け寄り、彼の足にしがみつきました。


「もう、ミーライ、パパはおねんねしてるから静かにしましょうね」


「パパ、おねむ?」


「そうよ。おねむよ」


「そういえば、ミーライちゃんは何歳なのですか? 5歳ぐらいですかね?」


「ミーライちゃんは1歳と3ヶ月だったか?」


「まだ1歳! 5歳だと思ってました。にしても、1歳にしては体が大きいような?」


「鬼族の血が入っているからよ。それに、人獣も人間よりも成長スピードは早いからね」


「そう言うことですね」


「ゴウライさんが記憶を無くした原因は分かりましたので、今日はこれにて解散しましょう。ミーライちゃんもママと遊びたそうにしてますし、ゴウライさんは私とオビリオンさんでベッドまで運ぶのでカーラーさんはミーライちゃんと遊びに行ってください」


「よろしくお願いします。ミーライ、ボール遊びでもしようか」


「ボール? パパは?」


「パパはおねむだから遊べないのよ」


「はーい。大きいワンワンと小さいワンワンとボールする!」


 私達は疑問を残しながらも解散しました。


 私はと言うと、主人様と緑癒、紫水、魔王さんの食事の準備、ライネルにはご飯抜きを伝えて食事をし花茶と2人で布団で寝てその日を終えました。


 次の日の朝、オビリオンさんが慌てながら私の家にやってきました。


「藍介さん! 藍介さん! ゴウライの様子が変なんだ! すまん! 今すぐに来てくれ!」


「お兄ちゃん! なんか外でお兄ちゃんの事呼んでいる人がいるよ!」


「ん? オビリオンさん! どうしたのですか!」


「ゴウライがおかしいんだ!」


「分かりました、今すぐに支度します!」


 私は身支度をすぐに済ませて、ゴウライさんの所へ向かいました。


 ゴウライ一家が宿泊している部屋に入ると部屋のドアを叩くカーラーさんとイデアさんは泣きじゃくるミーライちゃんを抱き抱えていました。


「一体!何が起こったのですか!」


「それが、ゴウライさんが目覚めたのですが、彼は混乱していまして、カーラーさんをリリアーナと見間違え、カーラーさんを攻撃したのです。私は心配だったので、廊下で寝ていたのが幸いしまして、ゴウライを抑えることに成功したのですが、正気を取り戻したゴウライさんは相当ショックだったみたいで、部屋に引きこもってしまったのです」


「うぇぇぇーーーん!パパァー!!! パパ!!!」


「そうなのですね。すみません」


「藍介さんが謝る必要はないわ。こうなる事は予想していました。でも、まさか、あの人が部屋に引きこもりなんて考えたことがなくて」


「カーラーさんは無事なのですね」


「私は現職の八翼ですからね。旦那に遅れはとらないわ」


 すると、部屋の奥から男の啜り泣く声が聞こえた。


「俺は、なんて、ことを、妻を、妻を、俺は」


 カーラーはドアを叩きながら、ゴウライに話しかけた。


「貴方! 私は怪我なんてしてないわよ! だから、ここを開けて!」


「ダメだ、俺は、外に出ては行けなかったんだ、牢屋に1人でいた方が、皆が平和に」


「ドアを開けることは可能ですが、今無理矢理にでも彼を外に出すのは得策ではないと思いますね」


「藍介さんでもこれは無理か」


「そうですね。こう言う時は、一旦朝食にしましょう。料理を準備しますので、皆さんは広間で待っていてください」


「あの人をここに置いてなんか行けないわ」


「大丈夫ですから、さぁ」


「藍介さんがそう言うのでしたら、カーラーさん、広間に向かいましょう」


「イデア様」


「それなら、俺がここにいるから、朝食を食べに行ってくれ」


「いえ、オビリオンさんも広間でお願いします。後は私に任せてください」


「でも、朝食を作るのは誰になるんだ?」


「あっ、うちには魔王軍にお借りしている腕の良い料理人がいるのでその人に朝食作りをお願いしときますので、広間で休憩していてください」


「分かった、俺も広間に行けばいいんだな」


「ありがとうございます。それでは、連絡しておきますので、広間で待っていてください」


 私は魔王軍の方達を広間に集め、花茶に思念を送った。


『花茶、すみませんが、ライネルにイデアさん達の朝食を作って欲しいと伝えてくれませんか? あと、出来れば、ネルガルさんは私の元へきて欲しいです』


『了解! ライネルお兄ちゃんはご飯作りで、ネルガルお兄ちゃんはお兄ちゃんの所ね! 伝えておくね!』


『ありがとうございます』


 そして、私はゴウライさんのいる部屋に入ることにしました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自責の念に駆られるとなかなか出てきにくいです。どう行動するのか気になりますね。 果たして助手に何をさせるのか?
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