ネルガルのアドバイス
緑癒に魔力を送った後、私は紫水にキスをしようとしていた。
紫水は身長が高いから屈んでもらって、私がキスをすることになった。
「主人様〜♡ 俺〜、すごく幸せ〜」
「ちゃちゃっと済ませるわよ!」
「そんな〜、俺のファーストキスだよ〜」
私はそんな事を言う紫水にキスをした。
「ん〜♡」
紫水とのキスはすぐに終わると考えていた。それは間違いだった。
紫水の目は欲望に満ちた目となり、私の頭に手を回し、紫水から離れないように私の顔を固定した。
その後は、欲望のままに熱い、熱いキスを紫水はし始めた。
「あー! 紫水ずるいです! 僕の方が大変なのに長いキスッ! するなんておかしいですよ!」
緑癒が怒り始め、私から紫水を引き離そうとしてくれたのだが、紫水の方が筋力があるので、緑癒は諦めてしまった。
約10分間キスをし続けて、私はやっと紫水から解放された。
「もう! 紫水はもう、キス禁止よ!!!」
「え〜! なんで〜! なんで〜!!! 俺とのキスよかったでしょ〜!」
「そう言う問題じゃないわよ! 魔力あげる為にキスしてるんだから長いキスなんて意味ないでしょ!」
「主人様〜、長いキスじゃなくて〜ディープキス♡ だよね〜」
「はい! 紫水はキス禁止令発令です! 魔石でも食ってやがれですよ!!!」
「緑癒に言われる筋合いは無いな〜」
「ふん! 僕は魔力が回復したらちゃんとキスを辞めていました。なのに、紫水は魔力が完全回復しているのに、欲望に任せたのがいけないのです!」
「紫水、次のキスは唇にあたるだけにするからね」
「そんな〜。念願の主人様とのキスなのに〜、俺もっと主人様とキスしたい〜よ〜」
「キスが目的じゃダメね。ラヒートさんを解呪するのが今回の目的なのよ」
「分かってるけど〜、緑癒〜、今どんな感じ〜?」
「順調ですよ。丸一日、紫水の水で体を浸し、僕の鱗粉を振りかけ続ければ、僕の魔法に耐えられる体力まで回復する見込みですね」
「そういえば〜、緑癒の魔法って見たことないや〜。緑癒って〜、基本的に鱗粉で全部済ませてるじゃん〜」
「えぇ、鱗粉の方が楽ですし、魔法を使うと見つかりたくない方に見つかりそうで嫌だったのですよね」
「見つかりたくない方? 緑癒、それって誰なの?」
「えーと、すみません。この方のことはあまり話したくないのです」
私は紫水だけに思念を送った。
『ねぇ、紫水、緑癒が嫌いな人って誰なのかしら?』
『俺もこれは分からないな〜。前世の記憶で会いたくない人がいたんじゃない〜?』
『うーん、聞いたことはあるけど、一体誰なのかしら?』
『さぁ〜? まぁ〜、緑癒に何かあったら俺が守ってあげるから大丈夫だよ〜』
『紫水ありがとう、緑癒の身に何かあったら助けてあげてね』
『了解〜』
それにしても、キスした時はいつもの紫水だったけど、今日は何故か頼もしいと言うか、普段より落ち着いているのよね? 紫水に何かあったのかしら?
時は少しだけ遡り、紫水は解呪が始める前、ネルガルにモテる為のアドバイスを聞いていた。
「ネルガル〜、歯磨きって俺嫌い〜」
「おい! 歯をきれいしないと女はキスしたいと思わなくてなるぞ」
「え〜」
「あのな、女って言うのは清潔感を男に求めるんだ、あとは金や権力、顔が重要だな」
「で〜、そんなネルガルはモテたの〜?」
「俺はな、モテたぜ! 学校だと毎日女子に言い寄られ、告白を断るのが大変だったな! 特に、自分がこの世で一番美しいと思っている女ほど、断る時が面倒だった。私を降るとかあんたの目節穴じゃない!ってな、その後は嫌がらせもされたが、俺は他の奴よりも強かったから返り討ちにしてやってたぜ!」
「作り話感が凄いんだけど〜、本当なの〜?」
「おい、俺が嘘を言う男だと思うのか」
「いや〜、だって〜。リリアーナを好きになる男なんて〜、目が節穴だと思うもん〜」
「リリアーナ様はこの世で最も美しいと感じだから仕方ないだろ、それに、俺はもうリリアーナ様の事は好きじゃない。今の俺には」
ネルガルはベッドの隣に立て掛けてあったサーフボードに頬擦りをした。
「こいつが俺の恋人だからな」
「うわ〜、まぁ〜、ネルガルが幸せならそれでいいんじゃない〜」
「でさ、紫水なら顔は俺の次にカッコいいとして」
「いや〜、俺の方がネルガルよりかっこいいよ〜」
「いいや、俺よりかは下だな」
「上かな〜」
「これじゃ、埒が開かないからこの話は置いておいて、俺が伝えた顔、金、権力の他に女にモテるためには重要なことがある。それが出来れば、紫水は今まで以上にモテる事ができるんだ」
「だから〜、それは何なんだよ〜」
「心に余裕を持つことさ」
「心に余裕を持つ〜? どう言うこと〜?」
「紫水は凪さんの事が好きすぎて凪さんにがっついているだろ、あれじゃダメだな、ウザがられるし、余裕がなくて側から見ると必死に見えてまぁ、滑稽だな」
「はぁ〜? 何それ〜俺の何がダメなんだよ〜」
「凪さんに甘えたくて甘えたくて沢山凪さんにベタベタ触ってるだろ。それが、俺からみると好かれようと必死に見えるんだよな、女っていうのは安心感を与えなきゃ好きになってもらえないんだ、だから、大人の余裕がある男に惹かれる傾向があるんだな。まぁ、俺はクールな頭脳派キャラとして、学校では通っていたからな」
「クールな頭脳派〜? ネルガルが〜? クール? 頭脳派〜? ぷっはぁっ〜!!! そんなの嘘じゃん〜。ネルガル〜、俺よりもかっこよくないからって〜、話を盛っちゃダメだよ〜」
「紫水、俺の話信じてないな」
「当然〜! 信じてないよ〜」
「仕方ねぇ、ちょっと待ってろ、ライネル連れてくる」
ネルガルは隣の部屋で寝ていたライネルを叩き起こしに向かった。そして、ライネルはネルガルに連れていかれ、紫水にネルガルが女にモテていたかを話した。
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