変態の暴走
解呪が始まり10分ほどで緑癒は魔力が尽きた。
「主人様、もう、僕、魔力が残ってないですぅ」
「早くない!?」
「緑癒〜、まだ魔力残ってるでしょ〜、頑張りなよ〜」
「僕は嘘なんてつきませんよ! 本当に魔力が残ってないんですってば!」
「仕方ないな、嘘ついてないか確認するわね」
私は手の平から黒縁のメガネを作り出して、眼鏡をかけた。
「えーと、緑癒の魔力は、10しか残ってないわね」
「でしょ! でしょ、でしょ!!! 僕の魔力はもう、そんなに残ってないんです! さぁ! 主人様! 僕と! キスッ! をしましょう!!!」
「なんで、下半身露出魔とキスなんかしなきゃいけないのよ」
「主人様〜、どんまい〜。俺はまだ魔力に余裕あるから大丈夫だよ〜」
「分かったわ」
私は紫水の隣から離れて下半身を露出させた緑癒の元へ向かった。
「にしても、今までの紫水なら俺も魔力ないから主人様キス!キス! って言ってくるかと考えていたけど、なんだろう、今日の紫水、今までより落ち着いているような気がするわね」
「それは、僕にもわかりました。あの紫水が僕にキスを譲るなんて、明日、天変地異でも起こるのではないですかね?」
「あら、聞こえてたの、ごめんなさいね」
「いえいえ。さぁ、主人様! 僕とキスっ! しましょうか!」
私はこれから、下半身露出魔にキスをしなくてはいけない。緑癒はイケメンよ。本当に驚くぐらいイケメン。ゲームのイケメン聖職者になっちゃって、私の想像通りと言うか、それ以上に素敵な男性に進化したわ。でもね、イケメンでもさ、下半身露出しながら、解呪するのはどうかと思うのよね。
イケメンでさえも、これは引くわ。
「せめて、パンツは履いてくれないかしら?」
「え!? どうして、僕のお尻を隠さなければいけないのですか? 尻を隠すと、やる気が半減しちゃうので、解呪に時間掛かってしまいますが。それでも、よろしいのですか? 多分10日はかかりますよ」
「7日増えるんかい!!! それなら、そのままでいいや」
「ありがとうございます! さぁ! 主人様! 僕との熱いキスッ!を! んーーーーー!!」
緑癒は口を尖らせて私からのキスを待った。
凪、貴方ならできるわ。下半身を見なきゃいい。キスなんてすぐ終わるわ。頑張るのよ私!!!
「キスするわね」
私は緑癒の口に私の唇を重ねた。
「ん!!!!」
緑癒は急に私に抱きつき熱く長いキスをし始めた。
「緑癒ずるい〜!!! 俺も魔力なくなったら主人様と緑癒と同じキスするからね〜!!! いいな〜、いいな〜、俺も主人様と情熱的なキスしたいな〜」
5分間のキスの末、私は精神にダメージを負った。
緑癒は魔力を限界まで回復させて、何故かお尻が少し輝いていた。
「ふぅ!!! 主人様の魔力はとっても美味しいですね! 僕のお尻が喜んでいますぅ!」
「キスしたのに、どうしてお尻が喜ぶのよ!」
「あのー、主人様、もう一つお願いしたいことが」
「何よ!」
「例のアレをお願いしたいです! 例のアレをやってもらえれば僕のテンションアップ! 今まで以上にやる気がみなぎると思うのです!」
「却下」
「はぁふぅん! お尻一生懸命磨いたのに、触ってくださらないのですか。主人様が大好きな僕のお尻ですよ」
「あの時は蚕の時だったからでしょ! 今は人間の姿なのよ! 人間!」
「今の僕のお尻は神が認めるぐらいの美しいお尻なのですよ。一揉み僕のお尻を触ってみてください。服越しじゃ分からなかった。僕のお尻のモッチリ具合を感じて欲しいのですぅ」
「分かった、尻を触ればいいんでしょ! 触れば!」
「はい!!! さぁ、主人様! 僕のお尻を触ってみてください!!!」
「なんで、こうなるのよ」
緑癒から離れていた紫水が思念伝達で話しかけてきた。
『主人様〜、どんまい〜。緑癒のお尻触ったら〜、俺の魔力無くなってきたから〜、キス〜♡ して欲しいな〜♡』
私は紫水の方を向き、メガネを使って紫水の魔力量を確認した。
『そうね、紫水の魔力も無くなっているわね。これが終わったらキスしてあげるわ』
『やった〜♡ 主人様とのキス〜♡』
私は緑癒の綺麗で真っ白なお尻を触ってあげた。
うん、もっちりして触り心地良いわね。こんなお尻触ったことないわ。いや、お尻を触るって滅多にない事だと思うのだけど、うん。これは、皆んなに自慢したくなるお尻ね。
「緑癒のお尻、触り心地いいわね」
「はぁふぅん♡ はぁ〜、はぁ〜。 主人様がやっと僕のお尻を触ってくれた。服越しじゃなくて、生の僕のお尻を!!!!」
緑癒は満足して、より一層、解呪に専念した。
「俺は、何を見せられているんだ?」
魔王は全ての成れ果て倒し終え、解呪の様子を観察していたが、目の前で繰り広げられる変態の暴走にまたもや困惑した。
おまけ 『緑癒の準備』
藍介の元へ夜遅くに主人様が向かった時、緑癒はと言うと、教会で一人、お祈りをしていた。
「神との口付け、それは即ち、神との結婚。僕はとうとう、主人様の夫になれると言うわけですね」
「よし! 明日に備えて僕の美しいお尻を磨き上げますよ!!! 明日は僕のこのお尻の良さを主人様に思い出してもらわなくてはいけませんからね!!!」
緑癒は主人様が藍介と会っていることを知らずに、一人教会でお尻を磨いていたのでした。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。