花茶と紫水、飛び火した灰土
花茶は夜遅くに家から出た。
「ふぅー! まさか、主人様がお兄ちゃんと!!! 花茶嬉しいなぁ! 主人様の事お姉ちゃんって呼べるようになれるのかな! 楽しみ! お兄ちゃん! ファイトォオオオオオ!!!」
「あれ〜、花茶ちゃん〜、こんな夜遅くに外で何してるの〜?」
「紫水! どうして、家の前にいるの?」
「主人様が〜、1人で家を出たから〜、主人様を後を追ったらさ〜、花茶ちゃん達の家に入ったところを見て〜、藍介に何か用事があったんだな〜って〜。で〜、俺は主人様を1人で返すわけにも行けないから〜、ここで〜、主人様を待ってようかなって〜」
「ふふん! 紫水、主人様は家から出てこないと思うよ!」
「ん? どう言うことなのかな〜?」
「花茶主人様とお兄ちゃんが抱き合う姿を見ちゃったの! 主人様はお兄ちゃんの事が好きなんだよ!」
「ふ〜ん、それなら〜、邪魔しないといけないよね〜」
紫水は藍介と花茶の家へ入ろうとした。
「ダメ!!!!!」
花茶は紫水の前に入り阻止した。
「何するんだよ〜。俺は〜主人様を藍介から守らないといけないから〜、邪魔しないでくれるかな〜?」
「お兄ちゃんの邪魔はさせないんだから!」
「花茶ちゃんでも〜、俺は手加減しないけど〜、いいの〜? 痛い思いするよ〜」
「花茶はさいきょー! だから、大丈夫! そもそも、花茶を脅そうとしても無駄だからね!」
「へぇ〜、痛い思いしてもいいんだ〜。それじゃあ〜」
紫水は花茶の体を囲うように水を作り出した。
「うわっ!? 冷たい! 花茶ずぶ濡れじゃん!!!」
「濡れただけでこんなに騒ぐんなら〜、これから〜、俺の攻撃を受けれないじゃないかな〜」
「花茶は! 最強! こんな水なんか、お花さんのご飯だよ!!!」
花茶は地面に大量の花を咲かせ、草花で水を吸収した。
「花茶のお花はさいきょ!!!!」
人の体を丸呑みできる大きさの食虫植物を咲かせて紫水を攻撃した。
「うわっ、気持ち悪い花〜」
紫水は人差し指で指差し、食虫植物を水で切断した。
「カブカブさん!!! 花茶もう! 怒ったからね!!! これでもくらええぇ!!!」
花茶は人の形をした木を10本生やし、木達に紫水を攻撃させた。
「こんな事もできるんだね〜。でも〜、弱すぎるね〜」
紫水は人型木を水で切断した。
その後、花茶は自身の魔力が尽きるまで人型木を作り続けた。
「もう〜、俺の邪魔しないでよ〜」
「やだ! お兄ちゃんの幸せを邪魔しないで!」
「俺だって〜、俺が〜、幸せになりたいから邪魔をするんだよ〜」
「お兄ちゃんと主人様は結ばれないといけないの!」
「そんなの誰が決めるんだよ〜。藍介よりも〜、俺と主人様が結ばれるべきなんじゃないかな〜」
「違う! お兄ちゃんと主人様は夫婦だったの! やっと、出会えて、やっと、幸せになれるのに、邪魔なんかさせないんだから!!!」
「はぁ〜? 藍介と主人様が夫婦〜? 何それ〜? 俺そんなこと知らない〜」
「お兄ちゃんと主人様は悲惨な別れ方をしたの。それで、お兄ちゃんは主人様と出会うために頑張って、頑張って、頑張ってきた。やっと、お兄ちゃんの努力が結ばれたの。紫水、お願いお兄ちゃんと主人様の邪魔をしないで」
花茶は涙ながらに紫水に懇願した。
「俺には〜、関係ない〜。はぁ〜、俺には関係ないのにな。分かったよ〜。今日の所は邪魔しないでおくよ〜。でも〜、主人様と藍介がこれで〜、くっついたとしても〜、俺は〜主人様を諦めないからね〜」
「どうして、紫水は主人様の事が好きなの?」
「ん? それはね〜。主人様は寂しがり屋で〜、いじっぱりで〜、とっても優しくて〜、温かくて〜、あとは〜、柔らかくて〜、主人様の全てを俺は愛しているんだ〜」
「お兄ちゃんだって、主人様の事を紫水よりももっと、もぉーっと! 愛しているんだからね!」
「花茶ちゃんを傷つけると〜、主人様に嫌われちゃうから脅すだけにしてたけど〜、これ以上〜、俺を怒らすような事は言わないで欲しいな〜」
紫水は目を見開きながら、花茶に詰め寄った。
「だって〜、怒りで〜今すぐに殺したくなるからさ」
花茶は紫水に今までに感じたことのない恐怖を感じた。
「ほら〜、俺の殺気で萎縮しちゃうだもん〜。俺が本気出したらすぐに死んじゃうじゃん〜。手加減って難しいんだよね〜」
灰土は鍛錬を終え、藍介に明日の事を詳しく聞こうと藍介と花茶の家に向かっていた。すると、家の前で、紫水が花茶を脅している姿を見てしまった。
「紫水!!! 何をやっているんだ!!!!」
灰土は紫水の肩を掴んだ。
「うわっ!? びっくりした〜。なんだ〜、灰土かぁ〜、今ムカついているから邪魔しないでくれるかな〜」
「ムカついている。だと、そんなことで、花茶ちゃんを怖がらせるとはどう言うことだ! いくら腹が立っても、相手は子供だ! そんな事、俺は許さんぞ!!!」
「はぁ〜、分かったよ〜。やめるやめる〜。灰土とここで戦ったら面倒だし〜、俺〜、頭冷やしてくる」
紫水は灰土の手を振り払うと、何処かへ歩いて行った。
「糸吹きさん! 助けてくれてありがとう! 紫水があんなに怖いなんて花茶知らないかった」
「あれは、完全にブチギレていましたからね。この洞窟の中で一番怒らせていけないのは紫水だと俺は考えています。だから、花茶ちゃん。紫水になんて言ったかは俺には分かりませんが、紫水も何もなく怒り出すような奴じゃないんです。紫水が言われて嫌なことを花茶ちゃんが言ってしまったからこうなったので、反省しましょうね」
「ふん! 花茶は本当のことを言っただけだよ! 急に怒り出した紫水が悪いよ!」
「手を出した紫水も悪いが、花茶ちゃんも紫水を倒そうと木や花を咲かせましたよね。それなら、紫水を攻撃した花茶ちゃんも悪いですよ」
「糸吹きさん嫌い」
「ほら、そんなこと言わないで、家に入って明日に備えて寝ないといけませんよ。それと、藍介さんは起きていますか? 藍介さんとお話がしたいのですが」
「お兄ちゃんの邪魔はさせないんだから!!!」
花茶は灰土を蔦で拘束した。
「なんで!?」
灰土は蔦に拘束されたが、灰土は花茶が力尽きるまでそばにいてあげたのでした。
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