チャンス到来
私が寝ようとすると、主人様が緑癒と紫水にキスする妄想が現れ、眠りたくても眠れなくなってしまいました。
そもそも! 主人様とキスできるなんて羨ましすぎる!!! 私だってキスしたい! キスしたい! キスしたい!!!
この頃、主人様と会話が弾みませんし、料理は美味しく食べてくれるのですが、ありがとうの撫で撫でとか、ハグがなくなってしまって寂しいのですよ。あっ!ちゃんと美味しかったわありがとうと感謝はされるのですが、私は主人様に触れ合いたいのですよ!
「はぁー、眠れませんしお茶でも飲みますか」
私は台所に向かおうとすると、玄関の方角から足音が聞こえました。
「こんな時間に一体誰ですかね? あぁ、多分灰土さんですかね」
魔王との会談が終わり明日の準備をしている最中に私は灰土さんに解呪方法を伝えると、灰土さんの顔は暗くなり、鍛錬に行ってくると何処かへ行ってしまいました。
私は灰土さんを家に入れてあげようと思い、玄関の電気をつけて玄関をあげようとしましたが、玄関から見える人の姿が灰土さんよりも小さく、この身長は主人様しかいません。どうして、主人様がこんな夜更けに? いや、考えてもダメだ、今すぐに主人様を家に入れてあげなければ!
そして、主人様の胸の内を聞き、私はついに私の時代がやってきたのだと実感しました。
意を決して主人様を抱きしめようとしたら、花茶に妨害されましたが、その時に花茶は私に思念を送ってきました。
『お兄ちゃん、ごめんね! いつものお兄ちゃんの独り言かと思ってたの!』
『え? 私はそんなに独り言多いですか?』
『うん! 多いよ! そうだ! 花茶はライネルお兄ちゃんの所行ってくるから、主人様と2人っきりにしてあげるね! お兄ちゃん! 今がチャンスだから、頑張ってね! それじゃあ、花茶行ってくる!!!』
花茶が走り去り、主人様が驚いていていました。
「花茶、ありがとうございます」
花茶、本当にありがとう。
お兄ちゃんはこのチャンスを物にして見せますからね!!!
そして、私は主人様を抱きしめました。
主人様の体の柔らかさが先に伝わり、その後、彼女の体温がゆっくりと感じました。
よし、後はキスをするだけ、やっとです。やっと、愛し続けた人とやっと愛し会える。
私は目を閉じた主人様の唇を指でなぞり、ゆっくりと顔を彼女の顔に近付け、そして、私は主人様とキスをしたのです。
一度だけ、でも、これは練習。練習なら沢山したほうが良いですよね? そもそも、キスをするのはあの紫水、どうせ、濃いキスを交わすのでしょう。それなら、私が先に主人様に教えてあげないといけませんね。
一度、キスをやめて顔を離すと、主人様は泣いていました。
「えっ!? 主人様、大丈夫ですか!? 私のキスは嫌だったと言うことでしょうか!?」
「ちがうの、これは、なんで、嬉しいのに、涙が出てくるの、なんでだろう、藍介とキスをしたら、どうしてか、とても懐かしくて、心が苦しくして、それなのに、嬉しいの。とっても、とぉーっても嬉しいの」
主人様は涙を拭いながら、私の首に腕を巻きつけ、主人様から私にキスをしてくれました。
「!?!?!ん?!?????」
もうだめです。そんな事を言われたら、私も涙が流れてきました。
貴方と出会うために私は神の奴隷として、がむしゃらに世界を救い、私が一番に欲していた願いが叶えられず、神に反抗心を抱いていました。ですが、ありがとう、やっと妻に出会えた! 妻は私の事を愛してくれている! 例え、姿が違えど彼女は彼女、私が心の底から愛している人! 主人様、いいえ、凪!私は貴方を愛しています!
「どうして、こんなに懐かしいんだろう、どうして、嬉しいのに悲しいんだろう。藍介は今どんな事を考えているの?」
私は彼女の涙で潤んだ瞳を見つめ、優しく彼女の額にキスをしました。
「私は貴方を愛しています。この世で最も貴方を愛しています」
「ふぇっ!?」
彼女は私の愛の告白に目を丸くして驚いていました。
ちょっと、主人様。今はいい雰囲気なのに、そんなに面白い顔をされてしまったらいい雰囲気が台無しになってしまいますよ。
私は笑いを堪えましたが、無理でした。
「ぷはぁ!!!! 主人様どうしてそんなに驚いているのですか、もうー! 折角の良い雰囲気が台無しになってしまいますよ」
「いやだって、急に愛してるなんて言われるとは考えてなかったから、その、好きって言ってくれたら嬉しいなとは考えていたけど、それよりも上を行かれちゃって、嬉しいけど、その、私の感情がその、急展開過ぎて付いて行けてなくて」
「主人様は私の事を愛していないのですか。そんな、私だけ、恥ずかしい思いをしたと言うことになるではないですか」
「私だって、藍介の事、藍介の事、好きよ! あっ、違う、あ、あ、愛しているわ!!!!!」
もう、私の体は素直でした、恥ずかしがる主人様を抱きしめ、何度も彼女の顔にキスをしました。
「恥ずかしがる主人様はなんて可愛いのでしょうか」
「ちょっ、藍介、やめてよ!」
「やめません。私と主人様は両思い! それなら、沢山愛してあげなくては!」
「もう、なんだろう、想いを伝えたら眠くなってきちゃった」
主人様は眠たそうに目を擦りました。
「そんな、主人様、寝ないでください! 私のこの興奮をどこへ発散すればいいのですか! あっ、私に寄りかかって寝ようとしないでください!」
もう、主人様は眠気の限界なのか、私に体を押し付けて立ちながら寝ようとしてました。
くぅぅう、主人様の欲望の中で睡眠欲が一番、普段やる事がないなら昼寝をする程の睡眠好き。
「すぅー、すぅー」
「あー!!!!! 主人様! これから、盛り上がる所なのに!!! 起きて! 起きてくださぁぁい!」
主人様は私に寄りかかりながら眠ることに成功してしまった。
「なんと、立ちながら見事に寝ている。はぁー、仕方ないですね、次は私がやりたいようにやらせていただきますからね! ふぁーあぁー。 私も眠くなってきましたね。主人様、一緒に寝ましょうか」
私は主人様を抱き抱えると、私の布団へ寝かせ、私も主人様の隣で眠りました。
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