解呪方法 後編
魔蟲の洞窟の主人が少し悩みそして、答えを出してくれた。
「キスすれば解呪できるなら、やってやろうじゃない! だけど、私の魔力を使うとどのぐらいで解呪できるのかしら?」
「3日かかると思います。主人様はその間、僕と紫水の側から離れられなくなってしまいます」
「3日かぁ、やるなら早めがいいけど、私の心の準備も必要だから今日はやめて明日からラヒートさんの解呪をしましょう」
「主人さんいいんですか!!!」
「私はリリアーナの情報が聴きたいだけよ。だけど、報酬はきちんと貰うわ」
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
俺は何度も主人さんに頭を下げた。
「いいわよ。これなら、紫水もやる気を見せてくれるでしょうし、黄結姫、庭に行った灰土と紫水を連れてきてくれないかしら?」
「はい、かしこまりました」
「凪さん!!! 今すぐに私とキスをしましょう!」
隣にいたイデアが急に机をこえて主人さんに抱きつこうとした。
「しないわよ。ラヒートさんは明日解呪を始めるとして、次はゴウライよ。緑癒、今のゴウライを診てどうだった?」
「彼の記憶は僕の力でも治せられないですね。医神の眼にも記憶喪失と診断が出ていますが、治療方法は書いてなく、僕の鱗粉をかけても傷を癒やすことしかできないですし、魔法でさえ難しいと思いますね」
すると、少女に介抱されていた男が話に入り込んできた。
「ゴウライさんの記憶ですが、私の力を使えばもしかしたら全ては復元出来ませんが、一部の記憶を思い出すことができるかもしれません」
「藍介! 貴方にそんな力あるっけ?」
「世界の図書館は神の知識が保管されていますが、その他に魔法が込められた魔導書があり、記憶を保管する魔導書を見たことがあるのですよ。その力を使えばゴウライさんの記憶を思い出させる事ができるのではないのでしょうか」
「緑癒で無理なら藍介の手に乗るしかないわね」
「ゴウライまで助けてくれるなんて、イデアが惚れるだけの事はあるな」
「そうでしょ、そうでしょ、凪さんは心が純粋で美しく、そして、大海原よりも広い心を持っている方なのです」
「いや、ゴウライを助けるのは娘さんが可哀想だと思ったからよ。あんなに小さい子を見せられちゃったら、記憶を取り戻してあげたくなるじゃない」
「主人様、ゴウライさんはリリアーナと不倫をしていた方ですよ。今のままで良いのではないでしょうか?」
「藍介、それも分かるけど、どうして妻子がいるのにリリアーナを庇ったのが気にならない?」
「それは、確かに気になりますが」
「でしょ、それに記憶が戻ったゴウライには、ある仕事をしてもらおうと考えているのよね」
「ゴウライさんに任せる仕事ですか? それは、何をさせる気なのですか?」
「それは、記憶を戻した後のお楽しみよ!」
「その、ここまでして頂いて本当にありがとうございます」
「いいのよ。私はやりたいようにやっているだけだし。よし! 話し合いはここまでにして明日の準備でもしましょうか!」
上機嫌で帰ってきた紫水と不思議がる灰土が黄結姫さんと共に帰ってきた。
「主人様〜♡ ふふふ〜♡ 俺〜! めっちゃ頑張るね〜♡」
「こいつ、黄結姫様から何を聞いたんだ?」
「灰土さん、私が後で詳しくお話しします」
「藍介様、なんでそんな真剣な顔をなさって」
「これは、私と灰土さんにとって辛い話になりますからね」
「一体どう言うことなのですか!?」
「私も参加させてください。あっ、クティスも参加しますね」
「はい、イデアさんも後で灰土さんの鍛錬場で集まりましょう」
その後、俺とイデア、オビリオンは主人さんと共に明日の準備を始めた。
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