クティスとミーライ
魔王一行は紅姫と黄結姫の案内の元魔蟲の洞窟奥深くにある主人の家の前まで辿り着いた。
「なんだろうな、ここだけ和やかな雰囲気だ」
「凪さぁぁぁん!!! 貴方のイデアが帰ってきましたよぉぉおおお!!! なぎさぁぁぁん!!!」
「イデア様うるさいわよ! ミーライが驚いて泣いちゃったじゃない!!!」
「ぴぇぇぇん!!!」
カーラーの腕に抱かれているミーライは鬼と猫の人獣の間に産まれ、人獣の特徴が強く残り、黒い猫耳に真っ黒な尻尾、そして、額から鬼の特徴である2本の黒く小さな角がその子には生えていた。
「ミーライを泣かせた奴は殺す」
記憶を無くしたゴウライはミーライが泣く姿を見て怒りをあらわにした。
「貴方はそこで待ってて。ほーら、ミーライ、大きなワンちゃんですよー」
カーラーはクティスの元に駆け寄り、クティスのフサフサの体毛をミーライに触らせてあげた。
「ガウガゥ〜(仕方ないなぁ〜)」
「ワンワン!ワンワン!大きいワンワン!」
クティスはミーライに強く毛を引っ張られたが、イデアが泣かせたので痛みを堪えることにした。
「ガグルガウガァガウバァガウ(イデアにこの分の仕事押し付けなきゃな)」
「クティス様ありがとうございます」
「ガウガァ〜(いいよ〜)」
「ワンワン!ワンワン!」
ミーライが笑っているのを見たゴウライは落ち着きを取り戻した。
「良かった」
「ガウ、ガルルガガウグルル(せっかくだし、凪が来るまで僕の上に乗せてあげようか)」
クティスは荷車をゆっくりと止め、カーラーの元へ歩き、クティスはミーライを右腕で抱き寄せ背中に乗せた。
「高い! 高い! ワンワン! フサフサ!!!」
「あっ、クティス様、危ないですって」
「ガウガァ〜(大丈夫〜)」
ミーライはクティスの背中に乗れてはしゃいでいだ。
ゴウライはミーライがクティスから落ちた時を考え両手でいつでもミーライを抱えられるようにしていた。
クティスは凪が来るまで、ミーライを背中に乗せて一緒に遊んでいたのであった。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。