前の方が良かった
私が虫人となり1ヶ月が経過しました。
私は毎朝主人様を叩き起こし、朝昼晩の料理を作り、毎日、掃除洗濯などの家事をこなしています。
ですが、前の主人様だったら。
「藍介凄いわね! これ!美味しいわ! さすが藍介!」
など、たくさん褒めてくれたのに。虫人になったからと言うもの、主人様が私を警戒しているのですよ。
警戒されている理由が人の姿になったからとしか、考えられず、私以外にも紫水、緑癒は前の姿が良かったと嘆いていました。
あっ、灰土さんは色々なバリエーションの付け髭を楽しむことができると喜んでいましたね。
私と紫水、緑癒は5層目に建てられた教会で、椅子に座り主人様の態度の変化に嘆いていました。
「ふぇぇぇ〜。主人様まぁぁぁ〜、どうして〜、どうして〜、俺の布団で一緒に寝てくれなくなっちゃったの〜。寂しいよ〜!!!!」
「僕だって、お尻をギューと抱きしめてくれなくなって、寂しいですぅぅぅ!!! 主人様!!! 僕のお尻をもっと愛でてくださーい!!!」
「私だって、主人様と目が合うと、逸らされ前みたいに頭を撫でて褒めてくれたりしてくれなくなりました。しかもです! この頃は私がそばにいると逃げていくのです!!! どうして! 私は紫水や緑癒みたいに変なことをお願いしているわけじゃないのに!!!」
「ちょっと〜、俺が〜、主人様に変なことお願いなんてしてないよ〜。俺は〜、裸で主人様を抱きしめたいだけ〜。それで〜、その後は〜♡ はぁ〜♡ 主人様とやっと交尾できる体になれたのに〜、早く使ってあげたいんだけどなぁ〜」
「紫水それが、主人様に警戒されている原因ですよ」
「それなら、僕は普通じゃないですか! お尻を抱きしめて欲しいだけです!」
「いや、貴方も紫水と同類ですよ。今私が緑癒のお尻に顔面を埋めたら嫌でしょ」
「藍介さんには僕の魅惑のお尻を触って欲しくないです!」
「魅惑のお尻って〜、こんな感じなのかぁ〜」
紫水は緑癒のお尻をベシベシ叩いた。
「やめっ、紫水やめてください!」
緑癒はなぜか顔を赤らめていた。
「緑癒って変態なんだね〜。俺はそこまで変態じゃないから〜」
「いや!紫水が一番変態だよ!」
「紫水の方が変態です!」
私と緑癒は同じタイミングで突っ込んでしまった。
「はぁ〜、前の姿の方が〜、主人様を裸で抱きしめても怒られなかったし〜」
「僕のお尻をギューと抱きしめてくれてましたし」
「はぁー、私が話しかけたら、楽しそうに会話してくれていたのに」
紫水は椅子から立ち上がり大きな声を出しました。
「これなら、虫人になりたくなかった!!!!」
「僕もです! 主人様に僕のお尻を愛してもらいたいです!!!」
「主人様と前みたいに会話できるようになりたいです!!!!」
すると、教会のドアが思いっきり開いた。
「藍介! 緑癒! 紫水! 俺様と野球しようぜ!」
教会に現れたのは氷月さんでした。
「氷月は頭が魔石でできてるから〜、主人様に相手にされてなくてもハッピーでいられるんだね〜」
会いたくない人がやってきて紫水は苛立っていた。
「ん? 妻とは毎日楽しく遊んでいるし、妻はツンデレと言うやつでな、ツン多めな感じだが、ツンもツンで可愛らしいし、ほんの少しのデレがくると、俺様の心を鷲掴みにする威力なんだよな」
「はい〜、俺の話〜、全く理解してない〜」
「氷月さんに嫌味は効きませんからね。氷月さん私は晩御飯の支度があるので野球はできませんが、紫水と緑癒なら野球参加できると思いますよ」
「あ! 藍介さん氷月さんから逃げようとしてますね!」
「緑癒、私がご飯を作らなかったら誰が作るのですか?」
「くっ、藍介さんの料理はおいしい。でも、1人だけ野球から逃げることが出来るのも悔しい」
「俺は〜、この後〜、主人様と一緒に寝ないといけないから野球はやらないよ〜」
「紫水、妻からそんな予定はきいてないが?」
「もしかして、主人様が野球に参加するのですか!」
「そうだとも! 俺様のチーム対妻のチームで戦うのだ! 妻のチームは女性で俺様のチームは男性と言うことで男女対決となった訳だな!」
「俺〜、ちょうど〜、野球したいと思ってたんだよね〜」
「僕、ホームラン打てますよ!」
「あの主人様が体を動かすとは、食事の量を増やさなければいけませんね」
「藍介は料理を作り、後の2人は俺様と一緒に野球をするぞ! 妻を倒し! 『なんでもしてあげる券』(私が嫌な気持ちになるやつは無理)を勝ち取るぞ!」
「氷月さん、その券って何に使えるのですかね?」
「えーと、さっきも言った通り、妻が嫌な気持ちになる事には使えないが、それ以外なら使えるぞ、確か、一枚で添い寝してくれるとか」
「添い寝〜!!! 俺絶対に勝つ〜!!!」
「抱きしめてくれるとか」
「抱きしめてもらえる! 僕も頑張りますよ!」
「それなら、グラウンドに行くぞ!」
「お〜!」
「おー!!!!」
「美味しい料理作って待ってますね」
氷月と紫水、緑癒は4層目にあるグラウンドに向かいました。
私は主人様の家に行き、お腹を減らしてくる人達のために料理を作り始めました。
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