男の集まりと白桜
温泉騒ぎから次の日、洞窟の男性陣は4層目の灰土の特訓部屋に集まっていた。
そして、岩の物陰には誰かが潜んでいた。
「それでは、虫人になりまして、初の集まりという事で、今回の議題は! 白桜ちゃんとどう戦えばいいか、を話し合いたいと思います」
藍色の着物を来た藍介はノリノリで司会進行を始めた。
「ありゃ〜、強すぎるよ〜、一緒にお風呂入れるとか〜、チート過ぎでしょ〜」
お風呂場で提供された浴衣を藍介以外は着ていた。
「ん? 紫水、チートってどんな意味なんだ?」
「ずる過ぎるぐらい強いってことかな〜。昨日の夜〜、花茶ちゃんと白桜ちゃんが〜、主人様の布団で一緒に寝てたんだよ〜。羨ましいよ〜。俺さ〜、今日の朝〜、主人様を〜、俺の布団に招待したらさ〜、主人様が〜、紫水、裸で寝るのはいいけど、裸の紫水とは一緒に寝たくないわって言われて〜、俺〜、ショック〜」
「紫水、寝巻きを主人様から貰ったのではないですか?」
「裸の方が〜、寝やすい〜」
「昨日は散々でしたよ! 床に押し付けられるわ、足が痺れるわで、その後の集まりの内容なんて僕、覚えてないです!」
「それは、覗きをしようとした緑癒様の自業自得ではないですかね」
「フハハハ! 俺様は金色丸のアドバイス通りにやったらあの魔法に打ち勝つことが出来だぞ!」
「氷月さんはお口閉じていてください」
「藍介、俺様への当たりが強くないか?」
「いいえ、貴方がしでかした事を全て昨晩主人様から聞きました。本来貴方がこのダンジョンの主だったと言うのに、主人様に押し付けているなんて、主人様可哀想ですよ」
「本当よねぇ、主人様の裸を覗こうとした馬鹿達とライネルはもっと罰を与えても良かったんじゃないかしらね」
「そうですとも、あなたの言う通りです。白桜」
藍介は隣にいる白桜に顔を向けた。
「え?」
「どうして、白桜ちゃんがここに!?」
「うわ〜、もしかして〜、聞かれちゃってた〜」
「いつの間に、気配が感じられなかったぞ」
「ん? 前々から白桜はここにいたぞ」
氷月だけは岩の物陰に隠れていた白桜の存在を知っていた。
「で、あたしとどう戦えばいいかだけど、あたしに叶う奴なんていないわよ。あたしは主人様の体を隅から隅まで知っているし、主人様の足の付け根にあるホクロまで見つけちゃったのよ。あたしに勝てるなんて何百年かかるんじゃないかしらね!!!」
「足の付け根にホクロがあるのですね。知らなかった」
「でも〜、でも〜、白桜ちゃんは〜、女の子だから〜、主人様とは結婚できないよ〜」
「ふん、そんな事あたしはきちんと調べているわよ。主人様の世界では同性婚が存在しているのよ。よって、あたしは主人様と結婚する事が出来るってわけよ!」
「同性婚!? この世界には同性婚はないですよね?」
「そんなの新しく作ればいいじゃない! 主人様とあたしはもう、お風呂で体を洗い合う仲なのよ。それなら、結婚できるでしょ!」
「くそぉ、う、う、羨ましい」
「強いよ〜。強すぎるよ〜。誰か〜、白桜ちゃんを倒して〜」
「だが、主人様は白桜と結婚したいと言ったのか?」
「そんなの、この姿になって1日しか経ってないんだから結婚はまだ無理よ。でもね、あんた達よりもあたしは主人様の仲を深めて、恋人の地位にいち早くなってやるんだから!」
「この迫力、そして絶対までの自信。神さえも殺せそうだな」
「あたしを倒す為に集まっても無駄よ。そもそも、それぞれがライバルなんだから、共闘したとしても、どうせ、裏切り、騙し合いに発展するんだから、共闘はやめておいたほうが良いわよ。それぞれが、主人様に気に入られるようにベストを尽くせばいいんじゃないかしらね」
「おや、白桜がそんなこと言うなんて、明日の天気は雨ですかね」
「まっ、あたしの言いたいことは言ったから帰るわね。この後、予定あるからじゃあね。ここの事は主人様には伝えないであげるわね」
白桜は言いたい事を言って帰っていった。
「白桜は本当に嵐のような子ですね」
「藍介〜! 白桜ちゃんにどんな教育をしたんだよ〜!」
「私は至って普通の教育を施しています」
「でも、ここの事を言わないでくれるのは有り難いですね」
「主人様に見たかってしまったら、藍介様の例のアレが出来なくなってしまうからな」
「おや〜、おや〜、灰土もアレ〜、好きなんだね〜」
紫水は灰土の横腹を突っついた。
「俺も主人様の事が好きだからな」
そして、男達は各々主人様の自慢話をし始めた。
家に帰った白桜は、魔王軍にいる青雷に連絡した。
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