穴掘りお兄さん達が風呂へ行く
偽ダンジョンにて、ネルガルとライネルは本日5個目の落とし穴を掘っていた。
主人から貰ったシャベルを使いせっせと2人で穴を掘り、掘った時に出る土を蟻達が土を使う罠まで土を運んでいた。
「なぁ、もうそろそろ終わりにしないか?」
「5個掘れば今日は十分だろうな。上がるか」
ネルガルは水で作られたサーフボードで穴から出て、ライネルは壁をよじ登りながら穴から這い出た。
「なぁ、俺にもそれで上がらせてくれよ。土まみれで早くシャワー浴びてさっぱりしてぇ」
「それなら、凪さんの家の方が風呂が広いから凪さんにお願いして風呂借りるか」
「よっしゃ、今日は俺たちはここで帰るな! お前らも仕事するのはいいけど程々にしとけよな」
「ネルガル、ライネル、オツカレサマ、マタ、コンド、アナホリシヨ」
一人の蟻がネルガルとライネルに思念を飛ばした。
「じゃ、またな!」
「またな!」
2人は偽ダンジョンを後にして魔蟲の洞窟の4層目に向かった。そして、主人の家に着くと、湖の近くで見たことのない施設を見かけた。
「ライネル、あんな建物なかったよな?」
「ありゃぁなんだろうな、行ってみるか?」
「それにさ、紫水と灰土さんの繭無くなってたよな、もしかして、あいつら繭から出られたんじゃないか!」
「あの建物を確認したらあいつらを探してみるか」
ネルガルとライネルは主人が作った温泉施設へ足を運んだ。
「へぇ、中広いんだな。それに、綺麗。なんの施設なんだろうな?」
「知らねぇよ。まだ奥あるし行ってみっか」
2人は中へ入り、右には『男湯』と書かれた青いのれん、左には『女湯』と書かれた赤いのれんの前にいた。
「どっちに行けばいいんだろうな?」
「漢は黙って赤の方に行けばいいんじゃないか?」
「漢なら青だろ」
「いいや、赤だね。じゃあ、同時に入るか?」
「それもそうだな、何かあったらすぐに戻れよな」
「おうよ!」
ライネルは女湯へ行き、ネルガルは男湯へ行った。
赤いのれんから真っ直ぐ歩くと扉があり、ライネルは部屋に入った。そして、彼に待ち受けていたのは、着替え途中の虫人となった女性の長達と主人だった。
ライネルが来たことで女子更衣室は悲鳴が鳴り響いた。
「ライネル入ってこないでよ!!!!!」
「主人さん!? それに、この女達は誰だ? ちょっ、主人さん、拳になんで魔石を纏わせて、やめ! 謝るから許してくれぇぇぇ!!!! ぐはぁっ!」
主人は拳に魔石を纏わせ、ライネルをぶっ飛ばした。
飛ばされたライネルは赤いのれんまで戻り、床へ倒れていた。
花茶がタオルを巻いたままぶっ飛ばされたライネルの元へ向かった。
「ライネルお兄ちゃん大丈夫!?」
花茶は伸び切っているライネルの頭をベシベシと叩いた。
「花茶! 浴衣に着替えなきゃダメよ。ほら、戻ってきなさい」
主人は体にタオルを巻いて花茶の後を追っていた。
「でも、ライネルお兄ちゃんが倒れちゃってるから起こしてあげなきゃ」
「自業自得よ。女子更衣室に入るからいけないのよ」
「うーん、それもそうか、でも、虫人になった花茶の姿ライネルお兄ちゃんに見てもらいたいな! ライネルお兄ちゃん起きろ!!!!」
花茶はさっきよりも強くライネルの頭を叩いた。
「いってねぇな!!!! そんなに俺の頭叩くんじゃねぇよ!!!」
花茶の力が強かったのか、ライネルは飛び起きた。
「ライネルお兄ちゃん起きたね!」
「んだよ、このガキ、俺はお前のお兄ちゃんじゃ、って、この声。もしかして、花茶?」
ライネルは目の前にいるタオルを巻いた少女から友達の花茶の声がして目が飛び出るほど驚いていた。
「うん! 花茶だよ! どう! 虫人になった花茶! 可愛いし、最強でしょ!」
「まじか、花茶か、繭から出られたんだな。もう、ずっと繭から出て来なくて心配したんだからな!」
ライネルは花茶の髪ををわしゃわしゃと撫でた。
「うわぁぁぁあ。へへへ、ライネルお兄ちゃん心配させちゃってごめんね」
花茶も嬉しそうに2本の長いアホ毛がぴょこぴょこと動いていた。
女湯から大きな物音を聞きつけたネルガルが、男湯にいた長達を引き連れてライネルの元へ向かった。
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