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幸せ過ぎて死にそう

 主人様は私が作った花束と花冠を笑顔で受け取ってくれました。

 その笑顔が今までに見たことのないそれはもう美しく、本当に作って良かったと私は思いました。

ですが、まさか主人様が私に謝ってきたのは驚きました。

家事は別に私がしたいことなので謝る必要はないですが、私を撫でてくれていないのは少し怒りますよね。

他の者達だけずるいですよ。

初めて花茶に嫉妬しましたからね。

それにしてもよかった。

花冠を作る際、主人様の頭部を思い浮かべながら作ってみたのですが、少し自信がなくて小さすぎないかな?それとも、大きいのかな?と何度も悩みましたね。


「それにしてもサイズが合って良かったです」


 私は土下座をしている主人様の花冠を撫でた時、急に主人様が泣きながら私を抱きしめてきたのです!


「あいすけぇぇぇぇ!!!!ありがとうぉぉぉ!!!!」


ふぁっ!!!!!!

あ、あ、ああああああぁぁぁぁああああ!!!!

主人様に! 主人様に!! 

抱きしめて貰っています!!!!!

あぁ、なんと柔らかな感触。

皆は撫でられるだけなのに私だけ抱きしめて貰っている!

やはり、私は主人様にとって一番大切な存在なのですか!?

もう!主人様!

好き!好き!好き!すぅーきぃー!!

だぁーいすぅーきぃー!!!!!

もう、大好き通り越して愛しています!!!

主人様愛します!!!

愛してる!!!愛してるぅぅ!!!!!

私の感情が昂ってしまい、意識が少しずつ遠のいてきました。

いけない、このままじゃ、気絶してしまう‥‥。


ダメです!

そう、主人様が私を好きだという勘違いをしてはいけません!

いけませんよ!

私!自我を保つのです!

気絶するのは勿体無い!

これはそうです。

主人様は、私達をペットのように思っているのです。

人間は動物や虫を飼う人たちがいると本で書いてあり、それには、家族と同等の関係性を築く人達もいると記されていました。だから、この主人様な行為は恋愛感情ではなくペットを愛でている感覚に近いでしょう。

なので、私よ!勘違いしないように!

そもそも、私はゴキブリなのですから主人様と結婚できません。もし、仮にですよ。仮に、結婚できたとしても体型的に交尾ができない!!!

それはオスとして致命的な弱点!

ん?ですが、こちらの魂と魂を結ぶ方法の結魂けっこんだと‥‥。

結魂できますね!!

こっちの方を考えていませんでした。

これなら、できる!主人様と結魂できる!

あばぁぁばぁばばばば、できてしまう。

主人様と結魂!

私は主人様の花嫁姿を想像しました。

もう、最高。


 私はこの昂りを抑えるために主人様の顔を見ました。

主人様は涙を浮かべていますが、優しい笑顔で私を見つめてくれています。

はぅぅう、そんな顔で見つめないでください、もう、幸せすぎて気絶しそ‥‥‥。

私よ!起きなさい!

この柔らかな主人様のお胸の感触を体全体で感じられるのですよ!こんな夢のような出来事がこれからも起こる可能性は低い!だから!私よ!自我を保つのです!!!

あぁ、でも、これはもう天国です。

そのまま死んでも構わないような気がしてきますねぇ。

はっ!ダメです!

死んだら主人様に会えなくなります!

花茶も悲しむのでこんな事考えてちゃダメです!

心頭滅却!煩悩を克服しなくては!!!


「藍介、本当にいつもありがとう。藍介のこと大好きだよ」


えっ?

主人様は今なんて言いましたか?

『藍介のこと大好きだよ』

私のことが大好き!?

好きではなく!?

大好き!?

それは、それは、こ、こ、告白ではないですか!!!!!!

あぁ、もう、無理です。

幸せすぎて死にそう。

私の心臓が止まるカウントダウンが流れて‥‥。

死んじゃう。

幸せ過ぎて心が苦しすぎる。

こういう時は深呼吸!!!

主人様も心を落ち着かせるために深呼吸していましたからね。


「すぅー、はぁー、すぅー、はぁー落ち着くんだ私」


はぅ、主人様の胸の感触が落ち着かせようとする私を邪魔してくるぅ。


「藍介?急に深呼吸してどうしたの?もしかして、私強く抱きしめ過ぎちゃって苦しかった?」


「いえ、少し落ち着きたかっただけです」


「それなら、いいけど。まぁ、よしよし」


主人様は私の頭を撫でてきました。

やめてください!

これ以上何もしないでください!

死んじゃう、本当に心臓止まって死んじゃう。

生きなければいけないのに幸せ過ぎて死にそう。



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