温泉回 女性陣 前編
一番に走り出した花茶は男湯の方に入ろうとしたから私は花茶を止めた。
「花茶、そっちは男風呂だからダメよ! 女風呂はこっち」
私は女湯と書かれた赤いのれんを指差した。
「お兄ちゃんと一緒にお風呂入れないの?」
「入れないわよ。藍介の分私がちゃんと花茶の体洗ってあげるから許して頂戴」
「主人様が花茶の体洗ってくれるの! やったー! 花茶、こっちに行く!」
私は花茶の手を握って、女湯ののれんをくぐった。
私と花茶に続くようにして白桜、紅姫、黄結姫、蝋梅妃、菊姫、百合姫が女湯にのれんをくぐり、更衣室に着いた。
その時、緑癒と紫水、氷月と金色丸は女湯ののれんをくぐろうとした。
「主人様のお背中を流すのは僕ですからね!」
「いや〜、主人様の体を洗ってあげるのは俺だよ〜♡」
「妻とやっと風呂に入れるな!」
「おら、ワクワクするぞ!」
「あんたらがこっちに入れるわけないでしょ!」
私はこの不届き者4人を魔石で拘束した。
「主人様!? う、動けない」
「なんで〜、なんで〜、白桜ちゃんが一緒に入れて〜、どうして〜、俺が一緒にお風呂入らないの〜」
「妻よ!? 何をする! 俺様は夫だぞ!」
「痛くないのに、動けないだ!」
「男湯に行きなさい!」
私は4人を男湯の更衣室に放り込んだ。
「藍介! 銀次! 灰土! このおバカ4人を見張ってね!」
「はい! 紫水につられて行かなくてよかった」
「緑癒様、紫水、いなくなったと思ったら女湯にやって良いことと悪いことは区別できますよね」
「金色丸、お主はオスなのだから女湯に入っちゃいかんぞ、次やったら儂の鉄槌を喰らうか?」
「ひぇぇえ、銀次おっかねぇ」
私は藍介と灰土、銀次にお馬鹿4人を任せて女湯に向かった。
「ふぅ、待たせちゃってごめんなさいね。ここで、服を脱いで、お風呂場に行くのよ」
「主人様、服脱いじゃうの?」
「服着てたら体洗えないでしょ」
「分かった! 花茶服脱ぐ!」
私は花茶の服を脱ぐ手伝いをしていたら、菊姫と百合姫は先にお風呂場に向かった。
「あたし達は服着てないからこのまま入っちゃっていいってことね」
「百合姫、私と一緒にお風呂行きましょ!」
2人は手を繋ぎながら、お風呂場に入り、沢山ある温泉に驚いていた。
「これ全部、風呂なの?」
「すごーい! 百合姫、全部入りましょ!」
「お風呂入る前にシャワーで体洗ってから入ってね!」
私は花茶と一緒にお風呂場に入った。
「シャワー? 主人様、この蛇みたいなのがシャワーっというのか?」
蝋梅妃がシャワーを指差してホース部分をチョンチョンと触っていた。
「そうよ、この蛇口を捻るとお湯が出てくるのよ。で、そのお湯を使って体を洗うのよ」
「ほぉ、これを捻ると、お湯が、ぶはぁっ!?」
蝋梅妃がシャワーの蛇口を捻るとシャワーからお湯が出たが、彼女の顔面に勢いよく当たった。
「蝋梅妃大丈夫!?」
「驚きましたが、暖かくて気持ちいい」
「それなら、よかったけど、みんな! これから、シャワーの使い方教えてるからこっちにきて」
私は女性陣が集まるとシャワーの使い方を説明した。
「主人様のお背中は私が洗いますわ」
「いいえ、私です!」
「いや、黄結姫さんはまず最初にその長い髪を洗うことに専念した方が」
「お母様、あたしが主人様のお背中を洗うので先にお風呂に入ってください」
「花茶も主人様のお背中洗う!」
「私と百合姫は遠慮しときますか」
「あたいが菊姫の背中洗うから、菊姫はあたいの背中洗ってくれない?」
「えっ! 百合姫がそんなこと言うなんて、私驚いちゃったわ」
「あたいの背中、流すの、嫌だった?」
百合姫は悲しんでいた。
「そんなことないわ、喜んでお背中洗ってあげるね」
「それじゃあ、菊姫、先にあたいが背中洗ってあげる」
「百合姫ありがとう」
菊姫と百合姫は仲良く背中を洗い合いっこをした。
私の背中は白桜、紅姫、黄結姫、花茶、蝋梅妃で回しながら洗ってもらった。そのせいで、背中がほんの少しだけよ、ヒリヒリするのよね。
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