森の長達が来る間
女性陣が集まっている中、男性陣はというと。
「くそぉ、白桜に先を越されてしまいましたね」
藍介と紫水は白桜を見て悔しがっていた。
「白桜ちゃんが1番厄介だね〜」
灰土はそんな2人を宥めようとしていた。
「女性同士で仲良くするのは良いことだと思うが?」
緑癒は氷月に話しかけていた。
「氷月さん質問いいですかね?」
「いいとも! さぁ、なんでも質問してくれ!」
「氷月さんは主人様に夫として認識されていますか?」
「もちろん! 俺様が凪の夫さ!」
「本当に主人様に夫として認識されているということですね」
「ああ! 俺様は嘘などつかんからな!」
「わかりました。それでは」
緑癒は口の前に手をかざし、大きな声で言った。
「主人様!!! 氷月さんが主人様の夫なのですか!!!」
すると、女性陣に抱きつかれている主人様が応えてくれた。
「んなわけないでしょ!!! 氷月は私の夫じゃないわよ!」
「だそうですね。氷月さん僕に嘘をつきましたね」
「ふっ、凪は最高で最強の俺様の妻になれて恥ずかしがっているのだ、恥ずかしがる凪もまた可愛いな」
「恥ずかしがってないわよ!!!! 氷月が私の夫だという事を否定しているのよ!!!」
「ふっ、可愛いやつめ」
「あっ、氷月さんは自身にとって都合の悪いことを書き換えてしまう人なのですね。おや、似たような人物が隣にいるような」
緑癒は紫水の顔を見た。
「俺が〜、馬鹿丸出しのやつなんかと似てるわけないでしょ〜」
「おや、失礼」
「俺様が馬鹿だと!? 紫水! お前は俺様より賢いというのか!」
「うん〜、氷月より〜、俺の方が聞き分けいいし〜、氷月よりも俺の方が〜、主人様に愛されてるからね〜」
「いや、どうしてお前が凪に愛されていると分かるのだ」
「そんなの〜、簡単だよ〜。俺と同じ布団で何度も寝たし〜。夜〜、俺の体を抱き寄せて〜、フフフフ〜。思い出すだけで〜、幸せな気持ちになる〜」
「同じ布団で寝たことがあるぞ。だが、妻の寝相が悪くて一緒になるのはオススメできんな」
「主人様の寝相の悪さは折り紙付きですからね」
灰土も緑癒と氷月の話に入った。
「俺も主人様の寝相が心配で何度か確認したことがある。主人様がお腹を出して寝る姿を見てしまって心配したものだ。人間は体が弱く貧弱だからな、お腹が冷えるだけで不調になってしまう。主人様には健康でいて欲しいからな」
そして、藍介も参加した。
「えぇ、紫水が度々主人様に布団を掛け直してあげていましたよね」
「そうだよ〜。主人様の寝相で言うと〜、一番面白かったのは〜、寝ている間に半回転して〜、主人様が起きた時〜、枕が足置きになっていた時かな〜」
「そんな事があったのだな。俺は知らなかった」
「そりゃあ〜、俺が〜、主人様の家の警備を任されて〜、一ヶ月ぐらい経った時だもん〜知らない人の方が多いよ〜」
一方、女性陣に抱きつかれている主人様は男性陣達が自分の事を言っていることに気付いた。
「なんか、私の悪口言ってない?」
「お兄ちゃんが主人様の悪口なんて言わないよ!」
「あー、あれは、その、ねぇ」
白桜は男性陣の話を聞き取れていた為なんとも言えなくなってしまった。
「主人様の寝相が一番面白かったと紫水が言ってましたよ」
「私の寝相がなんだって?」
「主人様の寝相は悪いことで有名ですよね!」
紅姫にストレートに寝相が悪いと言われて、凪の心がほんの少し傷付いた。
「寝相が悪くてごめんなさいね! ネルガルとライネルにもこの前寝相が悪いって言われたわ。寝相って、治すことってできるのかしら?」
「そういえば! ライネルお兄ちゃんとネルガルお兄ちゃん見ないね!」
「あの2人には偽ダンジョンの罠作りをしてもらっているわ」
「そうなんだ! 主人様、偽ダンジョンどのぐらい進んだの?」
「全く進んでないわよ。長のみんなが繭になっちゃったから、進めたくても進められなくてね。ネルガルとライネルが暇してたから、落とし穴を掘ってもらっているのよ」
「落とし穴! 花茶も落とし穴作りたい!」
「落とし穴よりも宙吊りの方が面白いんじゃないかしら」
「私はつまずきやすい石の罠がいいと思います!」
「私は炎の海なんか良いのではないでしょうか」
「炎の海、つまずきやすい石、宙吊りね。これも全て罠として使いましょうか!」
「えー! それなら、花茶はお花畑の罠が良い!」
「お花畑だと罠にならないんじゃない?」
「強そうなお花さん達がいるのはどうかな?」
「強そうなお花さん?」
「そう! このお花さん強そうだよ!」
花茶は地面に手をかざすと一本の向日葵を咲かせた。が、その向日葵は普通の向日葵と違って葉の部分がグローブの形になっていて、完全に成長すると、向日葵はグローブの形の葉で、パンチをずっと繰り出していた。
「強そうなお花でしょ!」
花茶は自慢げにしていた。
「向日葵がパンチしてる。しかも、威力高そう」
「面白いお花ですね」
「パンチできる花って凄いですね!」
「何これ、こわっ」
紅姫、黄結姫は楽しそうにパンチ向日葵を褒めていたが、白桜は怖がっていた。
「この向日葵の花畑なら侵入者を倒せるわね」
「でしょ! 他にも沢山強そうなお花出したい!」
「お花畑の罠も作りましょうか」
「やったー!」
花茶は両手をあげて嬉しそうに走り始めた。
そして、庭に森の長達が到着した。
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