回想 俺様が解説するぞ! 前編!
今までの振り返りを氷月が解説してくれます。
魔石精霊氷月は姉のアが住む豊穣の森にいた。
「エインが貴方の妻の事を知りたいんだって」
「あのエインがそんな事を、仕方ない。俺様が妻の全てを教えてあげよう!!!」
アは自身の体である魔石に手を当てた。
「エイン、氷月を連れてきたわよ」
魔石から1人の少女の姿が映し出された。
少女はとても可愛らしい容姿をしていた。
「アお姉様ありがとうございます。すみませんが、弟と2人だけでお話ししたいです」
「いいわよ。氷月、エインが2人だけで話したいだって」
「俺様は弟ではなく兄と呼んでほしいな」
「ほら、エインが待っているでしょ」
氷月はアに背中を押され、魔石の前まで歩いた。
「分かった、分かった。久しぶりだなエイン!」
「エインお姉ちゃんと呼びなさい。出来損ないの弟」
「おい! 出来損ないとはなんだ! それに、俺様は弟ではない! お前の兄だ!」
「つい先日正式に魔石精霊になったばっかりでしょ、それなら、私の後に生まれたのだから弟よ」
「それは、そうだが」
あの氷月が言い負けていた。
「で、氷月の妻である。異世界人について詳しい情報話しなさい」
「そこは、教えてお願い氷月お兄ちゃんと言うべきだろ」
「そんなこと言わないわよ。さぁ、貴方の妻について話しなさい!」
「エインはどうして俺様の妻の情報を欲しているんだ?」
「それは、彼女が死んだら、彼女の魂は私の元へ来るからよ」
「ほう、妻は英雄に選ばれたと言う事だな」
「そうよ。彼女のお陰で新たな種族を誕生することができた。その功績が神に伝わり、彼女の魂を私の所で保管することが決まったの。だから、彼女の詳しい情報が知りたいのよ」
「エインは仕事熱心だな」
「それが、私の使命だからね。あんたは全く使命を果たしてないけど、それはそれで大丈夫なの?」
「俺様は神に何も言われないからな!」
「まぁ、いいわ、彼女の情報を話して」
「俺様の妻の名は清本凪、ここにきた時の年齢は確か、30歳だったかな、今はこの世界に来て2年目といった所だな。妻はな、来た当初にある特殊固有スキル『愛される者』と想像生成というスキルしかなかったのだが、俺様は妻の体を変えようとするリリアーナの魔法陣を書き換える際に結魂をしたことによって、俺様の持つスキルと俺様の膨大な魔力を保有することになったのだ」
「結魂したことによって、彼女の魂は氷月の力に引き寄せされたと言うわけね。よく、体が粉々に崩れなかったわね」
「妻は俺様と相性が良かったのだな。まさしく、俺様の運命の相手だ!」
「はいはい、それで彼女は貴方の洞窟で何をしたの?」
「妻は魔蟲の洞窟の長達と出会い、彼等に名前を付けたんだ、1層目の長には黄結姫、その息子に紫水、2層目の長には緑癒、3層目の長には紅姫、その息子に青雷、娘には白桜、4層目の長には灰土、そして、5層目の長であるこの俺様に氷月、6層目の長の藍介と妹の花茶と名付けたんだ、他にも地形変形能力を持つ蜘蛛にはDJと言う名前を付けていたな」
「名前ね、彼等との仲が良いのね」
「そうなんだ、長達は妻を気に入ってな、皆妻の事が好きなんだよ。妻を異性として見ている者も何人かいるな、まぁ、そいつらは俺様の恋のライバルと言ったところだな!」
「そうなのね。最初から彼等とは仲が良かったのね」
「いいや、最初は色々大変だったみたいだったぞ。妻は虫が苦手だったみたいでな、ここへ来た時は何度も気絶していたな。それに、毎晩泣いていた」
「それも、そうよね。急にこんな所へ連れてこられたら私なら絶望するわ」
「だが、妻は皆と仲良くなるために努力をしたのだ! 異世界の遊びや想像生成を使って面白いアイテムを作ったりして皆を楽しませたんだ、そして、彼女に感化されて虫達は、自分たちで妻を楽しませようとパーティーを開いたり、レースをして競い合ったりしたんだ」
「パーティー、レースねぇ、彼女が来た事によって、彼等の知能が向上したと言うわけね」
「まぁ、そうなるな。その後、1年間、洞窟で過ごした妻はパーティー中に気絶をしてしまったのだ」
「貴方の妻はよく気絶するのね」
「仕方ないだろ、あの時の妻は長や賢い者達としか思念伝達ができなかったのだ、彼女の努力を知った神が彼女に努力の報酬をあげたことによって、彼女の脳の処理が追いつかなくなり、気絶するしか彼女を守る事ができなかったんだ」
「それで、1年間の話は聞いたけど、私が一番知りたいのはその後よ」
「分かっているって、そうせかすな。この後は妻にとって試練の連続だったんだ。それはもう、妻が死を覚悟する程に恐ろしい事件が起きたのだ」
「ふーん、それでその試練って何よ」
「それはだな、後編に続くだ!」
「後編ってどういうことよ!」
「俺様のファンよ! 妻が虫人となった長達とどのような物語を歩むのか気になるのはわかる。だが、妹のエインが、俺様の妻を知りたがっているのだ。だから、すまない! もう少し俺様に付き合ってくれ!」
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