新たな種族 虫人 後編
私が人の姿になった紫水と一緒に庭で待っていると、家の真上にある紅姫の巣から1人の女性が降ってきた。
「主人様! 私進化しました!」
庭に土埃が舞うと、その中から裸の大柄な女性、紫水よりも大きく、何もかもが規格外にデカい女性が現れた。
「もしかして、紅姫!? デカっ!? えっ!? 何もかもデカすぎない!?」
身長、胸、尻、太ももなどが大きく、もうね。すごいデカいのよ。身長2メートル以上あるじゃないかしら、胸のサイズ、えっと、何カップ? Zカップ? いや、そんなカップあるわけ? Zが最高なら、次の単位って何になるのかしら?Zが2つになるのかしら、そしたら、紅姫のカップ数はZZZカップ? んな、馬鹿なカップ数があるわけないじゃない。 一度、元の世界に帰れたら世界で一番大きい胸のカップ数調べてみたいわね。多分、紅姫が一位よね。
「紅姫さん俺よりもデカいね〜」
「あら、もしかして、紫水!!! 紫水、体が細すぎないかしら? ちゃんとご飯食べないからいけないのよ」
「紅姫! その前に、この布かぶって!!!」
私は紅姫に大きな布を渡した。
彼女の体が大きすぎてどのぐらいの大きさで服を作るのが分からないから、仕方なく布だけ渡すことにした。
「もう、うるさいわね。もう少しゆっくり寝かして、てっ、お母様!? あっ!主人様! おはようございます!!!」
家から薄ピンク色の髪色をした美少女が白い布を体に巻いてやってきた。
「白桜も人の姿に! 私嬉しいわ」
「え〜、白桜ちゃんも虫人になれたんだ〜」
「紫水様、主人様に抱き付かないでよ!」
「嫌だね〜、俺はこれから主人様とイチャラブ生活に勤しむんだ〜」
「紫水意味わからないこと言わないでちょうだい!」
すると、門から庭へ走ってくる足音がした。
「誰か来ますわね」
「誰だろうね〜」
足音は近くなり、現れたのは顔に大きな白い付け髭を付けた筋肉質で裸の男が走ってきていた。幸い、大きな付け髭のお陰で隠さないといけない場所が隠れていた。
「主人様! もしかして、紫水! この大きな女性はもしかして、紅姫様? それに、白桜ちゃんまで! 皆虫人に進化したのだな」
「灰土〜、虫人になったのに〜、付け髭はつけるんだね〜」
「裸では主人様に失礼だろ、俺が身につけれるものが付け髭しかなかったんだ」
「でも、付け髭のせいで顔が全くわからないわね。灰土服渡すから着替えてきてちょうだい」
「かしこまりました」
私は付け髭の男に紫水と同じ服を渡して着替えてきてもらった。
「ふぅ、服というのは窮屈だな。背中が隠れると羽が出しにくいな」
灰土は服を着ると庭へやってきた。
「えっ!? 貴方、灰土なの?」
「嘘だぁ〜、灰土なら〜、ゴツい感じのザ! 男! って感じの顔になると思ってた〜」
「まぁ、顔と体が合ってませんわね」
「あたしもお母様に同意。服が筋肉でピッチピッチじゃない」
私達の前には甘い顔なのに、体がゴリラの男が立っていた。
私の予想だと灰土はゴリマッチョのイケおじになると思ってたんだけど、まさかの体だけは予想通りだけど、顔が童顔なんて、灰色の髪と甘いフェイスの組み合わせ、いいわね。でも、全体を見ると、バランスがその、悪いというか、顔! 筋肉! の主張が強くてアンバランスに見えるのよね。
そして、時は同じく2層目の長である緑癒は目覚めて裸で主人様の家に向かっていた。
「はぁ、はぁ、まさか、空を飛べなくなるとは思いもしませんでした。走るの辛いですぅぅう」
4層目行く道を塞ぐように黄色の糸? が岩にそこらじゅうに結ばれていた。
「なんですかこれは! 新しい蜘蛛の仕業ですかね?」
緑癒は糸を引きちぎろうとしたが、糸は丈夫できれなかった。
「はぁ、はぁ、後少しで4層目だというのに」
「誰かぁぁぁぁあ!!! 助けてください!!! 紫水!!! 主人様!!!!」
黄色の糸の奥の方から聞き覚えのある女性の声が聞こえた。
「もしや、黄結姫さん! どうかしたのですか!」
緑癒は大声で黄結姫を呼んだ。
「緑癒さん! 緑癒さんですね! 髪が絡まっちゃって動けなくなっちゃったんです」
「髪? もしかして、黄結姫さんの髪の色は黄色ですか?」
「そうです! すみませんが、髪切ってくれませんか?」
「髪を切るといっても僕の力じゃ何もできないし、時間がかかりますが、岩に結ばれている髪を解くとしますか」
緑癒は黄結姫の長い長い髪を解き始めた。
1時間後、黄結姫は動けるようになった。
「緑癒さんありがとうございます」
「いえいえ、それにしても髪長いですね。このまま歩いちゃうとまた同じことが起こってしまいそうですし、体に髪を巻いてみるのはどうですかね」
「それは、いい考えですね! すみませんが一緒に髪を体に巻くのを手伝ってもらえないでしょうか」
「いいですよ。1人だけじゃこの長さを巻くのに時間かかりそうですからね」
緑癒は黄結姫の長い髪を束ねて黄結姫の体に髪を巻きつけていった。
黄結姫の髪は体に巻きつけたが、それでも地面についてしまっていた。
「あとは手で持つしかないですね。はぁ、僕が前みたいに飛べたら移動が楽なのに」
緑癒が羽がなくなり落ち込んでいると、緑癒の背中から蚕の時と同じ羽が自身の魔力によって生み出された。
「これなら、飛べるのでは!!!」
緑癒は力強く羽ばたき空を飛ぶことに成功した。
「よし! 黄結姫さん残りの髪は私が持ちますから主人様の家に向かいましょう!」
「はい! 髪も持ってもらっている分体が軽くなりました! これなら早く走れます!」
黄結姫は走り始めた。緑癒が考えていた速度よりも彼女は早く、そして、髪が重たくて緑癒は必死に空を飛んだ。
主人様の家では紅姫、白桜、紫水、灰土が他の長達が来るのを待っていた。
「遅いわね。もしかして、あたし達しか繭から出てないんじゃないの?」
「黄結姫は繭から出ているのよ。でも、遅いわよね」
「ねぇ〜、もしかして〜、母さん転んじゃって動けなくなってるんじゃないの〜?」
「黄結姫さんならその可能性があるわね」
「それでしたら、俺が黄結姫様を迎えに行きましょうか?」
灰土が庭から出ようとすると、藍介を掲げた花茶がやってきた。
「花茶は! 最強!!!!!」
「ひぇぇぇえええ、花茶、恥ずかしいから降ろしてください!」
「ん? お兄ちゃんなんか言った?」
花茶は藍介の言葉を無視して、庭へそのまま向かった。
「主人様! 花茶人間になれたよ! 可愛い!!!」
「花茶! 花茶なの! もしかして、花茶が持っているのって藍介!?」
「はい、花茶、下ろしてください」
「分かった!」
「ふぅ、花茶ありがとうございます」
「えっへん! 花茶は最強なのだ!」
藍介と花茶が到着してすぐに2人の後ろから空を飛んでいる黄色の糸を持つ男と、爆速で走ってくる黄色髪の女性がやってきた。
「黄結姫さん、やっと着きましたよ!」
「緑癒さんありがとうございます」
長達はやっと主人様の家の庭に全員集合したのでした。
これにて、第2章が完結しました。
第3章からは、虫人となった長達との新たな物語が始まります。より個性的となった虫人達の物語をよろしくお願いいたします。
次回、1章、2章の振り返り回となります。
とある魔石精霊が語ってくれます。
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