なんでもやってやる券 パート2
僕は今、魔王様を椅子に拘束している所なんだ。
魔王は青雷の剛雷糸で椅子に拘束され、仕事をしていた。
魔王は糸を取ろうとすると、魔王の体を雷が襲った。
「ほら、魔王様、お仕事しなきゃ、僕はまだ満足してないからね」
「くそぉ、なんでこうなっちまったんだよ。オビリオン! オビリオン! お願いだ! 早く戻ってきてくれ!!!!」
時は2日遡り、青雷は魔王から貰った『なんでもやってやる券』の2枚目を使いオビリオンに休暇を与えて欲しいとお願いしたのであった。
「青雷君、ありがとう。本当にありがとう。これで、久しぶりに家族揃って遊びに行けるよ」
オビリオンは泣きながら青雷の足に抱きついた。
「オビリオン様が休んでないの知ってるからね。主人様がね、家族と会える時に会っとかないと、本当に会えなくなった時に後悔をすることになるから、後悔しないように家族に会いに行った方がいいわよって前に言ってたんだ」
「魔蟲の洞窟の主人は異世界人だったよな、彼女にも家族がいたのに、急に会えなくなる。彼女の言葉の重みが伝わるよ」
「だから、今日から1週間オビリオン様はお休みだよ!」
「俺が休めるのはいいんだが、俺が休むと誰が魔王様の面倒を見るんだ? イデアが俺の代わりをしてくれるのか?」
「今のイデアおじちゃんにそのお願いはできないと思うから、僕が魔王様を監視するよ!」
「青雷いいのか? ラックルと城の探検をするんじゃなかったのか?」
「ラックル君にも話はつけてあるし、僕なら魔王様を拘束できるし、僕にはこの券があるからね!」
青雷は『なんでもやってやる券』を取り出した。
「魔王様もこんな使われ方されるなんて考えてなかったな、それじゃ、青雷! 魔王様をよろしくな!」
「うん! 休暇楽しんでね!」
オビリオンは早速家へ帰り家族旅行の計画を立てた。そして、現在、魔王は自分で作った券によって苦しめられていた。
「なぁ、青雷、俺を見張っているの疲れてこないか? 少しはラックルと遊びに行っても」
「僕は全然疲れてないよ! そうそう、イデアおじちゃんから辞表が沢山送られてきたよ」
青雷は大きな籠に辞表と書かれた封筒を持ってきて魔王の机の上に置いた。
「イデアが辞めたらこの国はおしまいだ、はい。全部消去」
魔王は漆黒の炎で辞表を見ずに燃やした。
青雷はイデアから渡されていたメモを読み始めた。
「えーと、辞表を見ずに燃やしたら、エルフ国の王子の接待をしてもらってください。魔王様、お仕事増えちゃったね」
「俺はあんな奴を接待なんてしたくない!」
「イデアおじちゃんの辞表を見ずに燃やしちゃうのが悪いんだよ、ちゃんと見たらまだ簡単な仕事だったのに」
「簡単な仕事ってなんだよ」
「クティスの入浴の手伝いだって」
「なぁ、青雷、俺は辞表を見たと言うことで、クティスの入浴を手伝いに行くから、この糸どうにかしてくれないか?」
「魔王様ダメだよ。あと、接待をする際、チェルーシルさんを使うのは無しだって」
「くっ、イデアのやつ簡単な方法を潰しやがったな」
「はい、魔王様、手が止まってるよ」
青雷は新たな剛雷糸を魔王の体に巻きつけた。
「や、や、やめろ!!!!」
「サボったらこうだからね」
糸が青白く光だし魔王は青白い雷を全身にくらった。
「がはぁっ」
魔王の体からは煙が上がっていた。
「死ぬ、このままだと俺は、青雷に殺させちまう」
「僕がそんな酷いことするわけないでしょ、さぁ、魔王様、お仕事しようね」
「うわぁぁぁぁあああ!!!!!! 誰かぁ!!!! 助けてくれぇぇぇ!!!!」
魔王の悲痛な叫びに天は味方をした。
青雷が持つ連絡用の魔石から音が流れた。
「ん? 主人様だ!」
青雷は魔石を起動した。すると、画面から魔蟲の洞窟の主人ではなく知らない美しい少女が現れた。
彼女は薄い桃色の髪の顔が整っており、白い着物には桜の花びらの刺繍が施されていた。
「主人様じゃない!? あなたは一体誰なんですか!!!」
「あんた、人の姿になってないんだ、だっさぁ! まぁ、青雷にはその姿がお似合いよ!」
「初対面の相手に失礼だよ!」
「初対面? 何言っているのよ、あんた姉の顔忘れたの」
「どう言うこと? ねぇちゃんは人じゃないよ」
「もう、鈍いわね、あたしよあたし、白桜よ!」
青雷は美しい少女が自分の姉、白桜だと知ってとてつもなく驚いた。
「うそ!? ほぇ!? ねぇちゃんがこんなに美しい女性になるなんてありえないよ!」
「あんた、あたしに喧嘩売ったわね。帰ってきたらタダじゃおかないわ!!! でも、まぁ、体は大きくなったのね。大きくなれてよかったわね。あたしは、人型に進化しちゃったけどね!」
「くそぉ、僕だって、本当は人型の姿に進化できたんだ、でも、親友を助けるために、この姿で進化したんだ!」
「へぇー、親友を助ける為ね。主人様から聞いていたけど、あんたの後ろにいるそいつが親友なわけ?」
「いいや、後ろで仕事をしているのは魔王様だよ」
「魔王ね。初めて見たけど、なんか、平凡な男ね」
魔王は白桜のこの一言に心を抉られた。
「まぁ、いいわ。それじゃ、切るわね、弟が生きているのを確認できたし、それに、やっぱりあんたは私よりも下よね」
「なんだと! 今の僕は前よりも強くなったんだからな! ねぇちゃんと戦ったら僕の方が強いよ!」
「あたしは最終進化を遂げて新たな種族、虫人となったのよ。虫人のあたしが青雷に負けるわけないじゃない」
白桜は連絡を切った。
「くそぉ、ねぇちゃんが人間の姿になるなんて、そうだ! アート君が自力で進化段階を踏まないと、とか言ってたな、強くなるためには修行! 強い人と戦わないと! ん? ここにとっても強い人いた!」
青雷は魔王に詰め寄った。
「魔王様、僕はねぇちゃんに勝つために強くならないといけないんだ」
魔王は青雷の圧に怯んでいた。
「お、おう」
「だからさ、魔王様の仕事が終わったら次は僕が強くなるために魔王様に修行をつけて欲しいんだ」
「俺にも休みをくれよ!!!」
青雷は『なんでもやってやる券』をヒラヒラと見せびらかした。
「僕にはこれがあるんだよ。だからね、魔王様。僕の修行付けてくれるよね?」
青雷は魔王の顔に券を何度も当てた。
「そんな、やめ、やめろ!!!!!」
「僕が強くなるために、魔王様今日の仕事終わらせないとね!」
「うわぁぁぁぁぁああ!オビリオン!!!!!!! イデアぁぁぁぁあああ!!! 師匠でもいい! 誰か、誰か、俺を助けてくれぇぇぇぇぇえええええ!!!」
魔王はその後、机に溜まっていた書類を片付け、休む暇もなく青雷の修行をつけることになった。
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