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解呪の兆し

 部屋には魔王、一翼オビリオン、二翼イデア、新三翼魚人のナーガルム、元四翼リリムレッド、五翼カーラーと彼女の腕の中には2歳程の子供が抱き抱えられていた。そして、六翼フローゼラー、七翼ラックル、八翼ドーレーラム、そして、ラックルの隣に青雷が参加していた。


 議題は今回の事件の後始末と、ドラゴンの呪いの解呪方法であった。


 オビリオンが事件の詳細を伝え、結界の再確認、警備兵増強などを挙げた。


 そして、議題はドラゴンの呪いの解呪方法となった。


 六翼のフローゼラーは常に怒っていた。


「わしが言えることは一つ、ドラゴンの呪いはドラゴン本人でさえも解呪することは不可能に近いとだけ言っておくのじゃ! わしはスパイなんかを助けたいとは思わないのじゃ!」


「俺は実際のドラゴンの呪いを見てみたい」


「ドレ坊は呪いに興味あるのか?」


「俺は同族が捕まっている可能性が高いのなら、助け出したい。だから、呪いを調べてみたい。それに、イデアから貰った赤い薬をやっと解析し終えたんだ」


「やっと解析が終わったのですね! それで、解析結果は!」


 魔王はイデアに話しかけた。


「なぁ、イデア赤い薬ってなんだ?」


「赤い薬は究極霊薬アルティメットエリクサーと呼ばれ、薬を使用すると強大な力を得る事ができますが、代償としてドラゴンの呪いに蝕まれ、最終的に成れ果てになってしまう危険な薬ですね」


「おい! どうして俺に報告してなかったんだよ!」


「当時はリリアーナ、いえ、ラヒートさんでしたね。魔王様が彼女に惚れ込んでいたので、伝えにくかったのですよ」


「それは、うん。言いにくいよな」


「なので、私はドーレーラムさんに薬の解析をお願いしていたのですが、解析し終わるの遅すぎるんじゃないですかね」


 ドーレーラムは少女の人形を動かして裏声で話し始めた。


「イデア! 私は仕事をしながら解析してやったんだから、感謝しなさいよ!」


「対価として凪さんの荷車を渡したのですから、当然だと思いますがね!!! で! 解析結果はどう出たのですか?」


 ドーレーラムは少女の人形を自身の膝の上に乗せた。


「それがだな、ドラゴンの血が使われているのは確かなんだが、俺が知らないドラゴンの血が使われていた」


「ドーレーラムさんが知らないドラゴンですか?」


「あぁ、俺の故郷に住む仲間は全ての種類ドラゴンが暮らしている。レッドドラゴン、ブルードラゴンなど、希少種のゴールドドラゴン、カースドラゴン。そして、この血の属性は無、ドラゴンは魔力の属性によって別けられ、レッドは炎、ブルーは水、ゴールドは炎と土が混ざった複合属性だ。俺は今まで生きてきて無属性を持つドラゴンなんて聞いたこともないし見たこともない。だから、俺はフローおばあちゃんにお願いをして、魔力属性を鑑定してもらった。それでも、俺が出した結果と同じ無属性と判定されたんだ」


「そうじゃ! 無属性の魔力はこの世にただ一人持つ者がいた。忌まわしき勇者バーラーガ、彼がこの世界で唯一、無属性の魔力を持つ者、彼以外にも無属性のましてや、ドラゴンが産まれていたのであれば、竜谷の奴らが黙っているわけがない。なのに、わしらは新たなドラゴンを知らなかったのじゃ、だから、わしらは今すぐに無属性のドラゴンを保護をしないといけないのじゃ!」


「無属性のドラゴン、私も聞いた事がないですね」


「それで、無属性のドラゴンが関係していると分かったみたいだけど、どうして薬を使用した者が成れ果てになる理由を俺は知りたい。あと、それの解呪方法も」


「魔王様、解呪方法が思いつきません。魔王城を襲撃した成れ果ては、俺が知っていたドラゴン呪いの成れ果てではなく、また別の存在でした」


「別の存在?」


「そうなのじゃ、わしが知っている成れ果ての姿は同じなのじゃが、魔力が全くの別物じゃし、呪いの媒介がないのに自我を持ちながら動いていた、本来なら人間が呪いを受けた場合、その人間の自我を持つのが当然じゃろ、なのにだ、生命の媒介が無いのに何故か自我を持っているのじゃ、わけがわからんのじゃ!」


「フローゼラーさんが投げ出すとは相当あり得ないことだったのですね」


「イデ坊そうなのじゃ! 今までのわしの経験が全く通用せんのじゃ!」


「フローゼラー、ドーレーラム、お願いだ、俺はラヒートを助けたい。解呪する方法を見つけ出してほしい」


 魔王は二人に頭を下げてお願いをした。


「ねぇねぇ、僕もうそろそろ話していいかな?」


 青雷は足を上げて発言した。


「青雷何を話すのじゃ?」


「僕が知っている人ならラヒートさんを治してくれると思うんだ」


「青雷君まさか! 緑癒さんのことですか!」


「うん! 僕の住むダンジョンの2層目の長の緑癒様! 緑癒様なら傷とか呪いもなんでも癒してくれるんだよ!」


「青雷! その緑癒について聞かせてくれ!!!」


「うん! 緑癒様はね、鱗粉を使って死にかけている人を助けたり、呪いを解呪ができるんだよ」


「ドラゴンの呪いでもか?」


「うん! ネルガルとライネルも緑癒様のお陰で成れ果てにならずに済んだし、ゴウライも成れ果てにならなかったでしょ? そうだ、どうしてイデアおじちゃんも緑癒様が解呪しているって知ってたのに魔王様に話さなかったの?」


「はぁー、青雷君、話してしまいましたね」


 魔王はイデアに詰め寄った。


「おい! イデアどうしてそんな大切な情報を俺に話さなかったんだよ!!!」


「簡単なこと、治せる者がいると分かれば、敵はどんな手を使ってでも彼を殺そうとする。だから、私は言わなかったのです」


「それでも! どうして俺には話して」


「凪さんを外敵から守る為に私は言えませんでした。それに、魔王様は故意では無いですが、スパイと繋がりがあった、そんな状態の貴方には話せませんよね」


「くっ、でも、今だったら話せたよな」


「いいえ、本当なら話したくなかったですが、理由は簡単、緑癒さんの力を悪用すればなんでも、できてしまいますからね。それはもう仕方のないこと、話してしまいますが、緑癒さんの前世は多分ですが、神の祝福を受けた人間。ゼスレス教の教皇イーヤヘルド、そして、この世界に死の呪いを解き放った大罪人」


「緑癒様は罪なんか犯してないからね!!!」


「前世と言ったのですよ」


「イーヤヘルドじゃど!? 彼が生きていればこの呪いを解呪することもできるかもしれないの!」


 青雷は首を傾げて不思議そうにしていた。


「緑癒様ってそんなに有名なの?」


 ラックルは青雷に話した。


「イーヤヘルド、僕もその人間の名前は知ってるよ!神の力を授かり、不死の病を癒し、全ての呪いを癒す、世界最高峰の癒しの力を持つ人間」


「緑癒様すごいんだね!」


「で、その緑癒は魔蟲の洞窟にいるんだな、イデアお願いだ、緑癒を連れてきてくれないか?」


「それは出来ませんね」


「どうしてだよ!」


「彼は今、繭になってしまっているので、ここへ連れてくることは出来ないのです」


「まじか!!!!!! 解呪できるかもしれないのに待たないといけないのかよ」


 魔王は落胆した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 頑張った人達の中でも立ち位置が変わらないダメ男さんでした。 [気になる点] ここで稀代の悪人の名前が出て来るのか。どんな悪行をしていたのかな? [一言] 持ち上げて落とす……うっ憤を盛大に…
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