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醜悪な妖精ラヒート 後編

 白衣の男サヘルによって、私は身も心もリリアーナ様となりましたが、ラヒートとしての人に愛されたい欲望はなくなりませんでした。


 私は白衣の男に言われた通りに魔王城へ向かい、魔王軍幹部八翼になり、終焉の獣と呼ばれているイデア・ラヴァーズに接触を試みようとしましたが、彼の美しさを恐れていました。


 私は一度も異性の方と交流した事がなく、リリアーナ様の記憶を頼りに異性の方達と交流をしました。


 その中で魔王様は私に対してとても優しく、私に愛を捧げてくださりました。私は他の異性からも好かれたいと欲にかられ、雷将とも体の関係を持ち、次は終焉の獣を墜とそうと考えていました。でも、私は魔王様と愛し合うにつれて、彼を愛してしまったのです。


 魔王様の寝室のベッドで私と魔王様で寝転がっていたら魔王様は優しく私を抱きしめてくれました。


「リリ! 大好きだよー!!! 愛してる!!!」


「私も魔王様を愛しています」


「もう! リリにそんなこと言われちゃったら照れちゃうよ。俺はリリ以上に君を愛しているんだ!」


「私も魔王様よりも、もっと、もぉーっと! 魔王様を愛してます!」


 私は本心で魔王様に告白をしていた。でも、私は徐々にラヒートとしての記憶を取り戻し、今の私の姿は偽りの姿。私は彼を騙している事が辛かった。


 そして、時が経ち、リリアーナ様は私に内緒で雷将ゴウライ様を動かし、魔蟲の洞窟へ魔王軍を向かわせた。


 私は何も知らされていませんでした。だから、ドーレーラム様が私に精神魔法を使い尋問したとしても、何も答えられませんでした。


 現在、私はリリアーナ様に捨てられ、ロストマザーとなり、愛する人を苦しめている。


 こんな醜い姿を彼に見せたくなかった。私を見る彼の目には偽りの美しい私、私の本当の姿である醜い妖精ラヒートだとは彼は知らない。


 苦しい、苦しい、今すぐに殺して欲しい、私に気付かないでほしい。でも、彼は気付いてしまう。


 あぁぁぁぁあ!!! 誰か、私を殺して、私は何もできない何も知らない、役立たずのラヒート。


 でも、最後に私を知って欲しい。本当の私の名前を愛した人に知っていて欲しい。


 私は本当の名前を彼に教えた。


 彼は私を治すと言った。


 私はもう、元に戻れない。


 私を元に戻せるのは神しかいない。


 彼は神だが、半神、半分魔人の血が混ざっている。


 そんな彼では私は治せない。


 だから、私は彼の手で死にたかった。


 でも、彼は、私を封印しようとしている。


 やめて、やめて、私をこれ以上苦しめないで、貴方の手で死にたいの。封印されてもこの呪いは止まらない。だから、私を殺して。


 お願い、私を殺して。


 これ以上、貴方の迷惑をかけたくないの。


 これ以上、貴方の傷つく顔を見たくないの。


 これ以上、私は苦しみたくないの。


 どうして、私は生きたかったのに、愛されたかったのに、本物の私は誰からも愛されず、仲間からいじめられ、私を見てくれる人はいない。


 そんな私をどうして、貴方は生かそうとするの?

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― 新着の感想 ―
[一言] 偽ることは耐えられないですね。 クモのあの子の行動次第かな。
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