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醜悪な妖精ラヒート 前編

 私はリリアーナ様に会うまでは妖精山で暮らしていました。


 私は仲間の妖精達からこう呼ばれていました。『醜悪な妖精ラヒート』と、私は何もしていないのに見た目だけで仲間から嫌われていました。


 私は誰かに愛されたかった。でも、こんな醜悪な顔じゃ誰も愛してくれない。どうやったら、私は美しくなれるの?


 ある日、リリアーナ様が村に現れ、仲間を魔蟲の洞窟に移住させ、私も彼らの後を追い、魔蟲の洞窟5層目に身を寄せました。


 仲間はリリアーナ様に気に入られようと彼女の為に必死に愛想を振り撒き、彼女の願いを全て叶えてきました。


 私は何もできず、リリアーナ様が洞窟から去る際、私は不細工だからと置いていかれそうになりました。その時、リリアーナ様が初めて私に話しかけてくださりました。


「何よこの不細工? こんな精霊いたの?」


 リリアーナ様は仲間の妖精のラストゥに話しかけていました。


 ラストゥは私と同じ瞬間に産まれた妖精、私とラストゥとの関係は人間で言うところの双子の姉妹だったのです。


「はい、この者はラヒート、村のはみ出しものです」


「リリアーナ様、私はラヒートと申します! 貴方のためならば何だっていたします! どうか、私を置いていかないでください!」


 私は力が弱く1人だけで生きていくことはできなかった。だから、どんなに悪口を言われ、いじめられたとしても仲間達から私は離れられなかった。


「そう、何でもしてくれるのね、それなら貴方も来なさい。私は私の為に尽くす者を置いていくわけないじゃない。さぁ、おいでラヒート新しい家に行くわよ」


 その時のリリアーナ様はいつも以上に輝いて見えました。私はリリアーナ様の為に、全身全霊で彼女に尽くすことに決めました。


 新しいダンジョン魅惑の監獄では、神が罰した者達が収容されていると言うダンジョンでしたが、監獄の中は誰もいなく、私達妖精、いいえ、リリアーナ様は私達の種族を精霊と呼び、私達はリリアーナ様の快適な生活の為にあらゆる美しい物を世界各地から集めました。


 魅惑の監獄で10日間過ぎ、リリアーナ様は監獄奥深くにある封印された部屋に興味を示しており、私達は必死に封印された部屋を開けようとしていました。


 仲間が何人も封印を護結界によって返り討ちに会い、何人か亡くなりました。


 私は仲間が帰った後1人でひっそりと封印された部屋に挑戦をしました。封印解除の挑戦5回目に私は封印の綻びを感じ、このチャンスに賭け、綻びに封印解除魔法をかけたらその部分だけ封印が解除され、私は壁を壊そうとしましたが、魔法を使うと解除できていない封印が反応してしまうので素手で壁を少しずつ削り、5日間かけて壁に人が入れる穴を開ける事ができたのです。


 私はリリアーナ様に報告すると、リリアーナ様は大変御喜びになって初めて私は仲間に褒められました。


「ラヒートやればできる子じゃない! 良い子ね。それじゃあ中は何があるのかな」


 リリアーナ様は仲間を連れて穴に入り、封印されていた部屋に行くと、1時間ほどしたら封印されていた扉が開き、リリアーナ様は白い白衣を着た男を連れてきたのでした。


 そして、白衣の男が私達の仲間となり数日が経ちました。私はリリアーナ様に呼び出され、初めてリリアーナ様と2人だけでお話をする事ができました。


「ねぇ、ラヒート、貴方の願いは美しくなりたいって言う願いよね」


「はい、今の醜悪な顔から美しい顔に変わりたいのです」


「それなら、美しい私にならない?」


 私はリリアーナ様の言った事が理解できなかった。


「それは、どう言う事でしょうか?」


「ラヒートは私の代わりになって欲しいのよ」


「私がリリアーナ様の代わりなんて恐れ多い事です。私なんかよりも強く美しい者が適任ではないでしょうか」


「そんなこと言わないで、ラヒートのお陰で私はやっと逢いたい人と会えたの、だから、これはそのお礼よ。それに、私の姿になればどんな男も貴方を愛してくれる。貴方のする事を全て許してくれるようになるわ。だから、私からのお願い聞いてくれないかしら」


「私がリリアーナ様に、なる。愛される。許される」


「そうよ、私の美しさの前では全て許されるのよ」


「リリアーナ様、私は美しくなりたい! 誰かに愛されたいです!」


「契約成立ね!サヘル!ラヒートを私にして頂戴」


「リリアーナ様、貴方の分身を変えてもよろしいのですか?」


「リリアーナ様の分身?」


「いいのよ。この子達は私に使われる為に産まれた存在よ。好きに使って頂戴」


「かしこまりました。それでは、楽しい改造の始まりですね」


 私は白衣の男サヘルに髪を掴まれ彼の研究部屋まで引きずられた。


 そして、私は身も心もリリアーナ様へと作り変えられたのでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 女王様は何処まで行っても女王様ですね。 『混ぜるな危険』が行われていたようですね。
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