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襲撃の前

 地下牢の最深部の部屋には謹慎処分を言い渡されたリリアーナが収容されていた。


「魔王様が来ないから暇ねぇ」


 部屋の中は彼女の好きな家具が置かれ、彼女の好きな本、彼女の好きな化粧品などが取り揃えられていた。それら全てを魔王が買い、彼女に与えていた。


「お腹減ったわね、今日はお肉が食べたい気分」


 リリアーナは紙に食べたい料理名を書き、ドアの隣に置いてある木箱に書いた紙を入れた。


「はぁーあ、いつになったらここから出られるのかしらね? 私は何もやっていないって分かっているのにどうして監禁されているのかしら?」


 すると、ドアが勝手に開いた。


「魔王様が来たのね! 魔王様〜! 私、退屈だから綺麗な宝石が欲しいです」


 リリアーナは部屋に入ろうとする人物に抱きつこうとした。


 だが、部屋に入ってきたのはリリアーナが予想していた魔王ではなかった。


「ほんと、あんた使えない子ね」


 リリアーナは絶世の美女に蹴り飛ばされた。


「きゃっ!!!!」


 リリアーナは美女を見た瞬間、忘れていた記憶を全て思い出した。


「私の美しい体にしてあげたと言うのに、あんたがした事は魔王と雷将を誑かしただけ、あのねぇ、私言ったわよね? 堕とすのは終焉の獣だけにしろって」


「あぁ、あぁぁあ!!」


 リリアーナは美女を見ると、頭を床に擦り当てた。


 胸が開けた黒いドレスを身に纏った美女は床で土下座をしているリリアーナに呆れていた。


「リリアーナ様、も、申し訳ございません」


「しかも、こんな所に監禁されて何がしたいのよ」


「私は、何も、していません」


「そう、何も出来なかったのよね。本当あんたを作った私が馬鹿だったわ。これなら、ラスちゃんに任せればよかったかしらねぇ」


「ラストゥより、私の方が!」


「方が何よ、ラヒート。お前が私の体で好き勝手に遊んでいたのが悪いのでしょ。そもそも、この私に楯突くつもりなの?」


 ラヒートは顔を上げてリリアーナを見た。


「そんな、ことなんて、私は魔王の力と雷将の力があればより、リリアーナ様のお力になると思い」


「まぁ、2人はそれなりに楽しんだわ。でもね、終焉の獣に嫌われているのはどうしてなの? 私の美貌を持ってすれば終焉の獣だろうと魅了することができるのに、彼はどうして私が最悪ダンジョンを押し付けたあのブサイクの事が好きなのかしらねぇ?」


「終焉の獣は魂を見れると言う話を聴きました。だから、魔蟲の洞窟の異世界人の魂に惹かれたのではないでしょうか」


「へぇー、あんたの魂じゃダメだってこと、私の美しさよりも魂なんかを見るってことよね。私の美しさはブサイクの魂よりも劣るとラヒートは言いたいのね」


「そんな事は私は言ってませ」


 リリアーナはラヒートの顎を掴んだ。


「あんたの使い道はもうこれしか無いわね」


 リリアーナはポケットの中から赤い液体の中に黄金の粉が入った瓶を取り出した。


「やめ、いや! リリアーナ様お願いです。私に挽回の機会をください」


 ラヒートは必死に懇願した。


「無駄よ。自由に動けなくなったあんたなんていらない子だわ。それに、これがあんたにとっての最後のチャンスなんだから存分に暴れなさい」


「いやぁぁぁぁ!!!!!」


 リリアーナは嫌がるラヒートを魔法で拘束して彼女の口に赤い液体を流し込んだ。


「がはぁっ!!! なっ! ぐはぁっ」


 赤い液体を飲んだラヒートは何度も何度も嘔吐した。嘔吐の回数を重ねるごとに吐瀉物は黒くなり、そして、成れ果てへと変貌した。


「新しい究極霊薬アルティメットエリクサーはね、ロストを大量に生産できる個体になれるってわけ、ラヒートの最後の仕事はロストを大量に生産してロストを使い魔王城を襲撃するのよ」


 ラヒートの体に黒い吐瀉物が纏わりつき、吐瀉物はどんどん肥大化し、新たなロスト、ロストマザー『成れの果ての母』となった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 後何人自分の『身代わり』がいるの? [一言] なるほど……本当に「ご愁傷様です」だったんだ。 自分の思い通りに成らない腹いせと八つ当たりに利用されるなんて。 因みに実行を許可したのは…
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