小瓶に入った粉
魔王城、七翼ラックルの寝室にて高さ2メートルでお尻に青い雷のマークが特徴的な大きな蜘蛛は成れ果てと戦っていた。
「首ぐるぐる巻き強い!?」
2足歩行をしている首と腕が捻じ曲がっている成れ果てを拘束していたが、腕を高速に回して糸から脱出していた。
「てぇすぅ。ケタケタケタケタケタ」
成れ果ては顔を左右に動かしケタケタと笑い始めた。
「てぇぇぇすぅぅぅうけぇええええ!!!」
腕を前に出して腕をドリルの様に回転さて成れ果ては青雷に突っ込んだ。
「ふん!」
青雷は自身の目の前の空間に巣を張り、成れ果ての攻撃を防いだ。
「僕の糸はこんなもんじゃないぞ!!!」
巣に体が絡まった成れ果ては巣から逃げようとした瞬間、雷撃が成れ果てを襲った。
「てぇぇすぅううけぇぇて」
ケタケタと笑いをやめた成れ果ては体を雷によって焼かれた。
「進化した僕の雷くらっても立ってるなんて、主人様達と戦ったのと違う奴なのかな? でも、時間は稼げそう!」
青雷はラックルの寝室に主人様から貰った物を置いていた。
『あるじさまからのおくりもの』と書かれた小さな四角い木箱を大きくなった体で器用に開けて、中から光の粉が入った小瓶を取り出した。
「緑癒様から貰ってよかった。ラックル君! これを傷にかけてみて!」
「青雷君! これはなに?」
「緑癒様の鱗粉! さぁ、早く! 振りかけてみて!」
「分かった! えい!」
ラックルは小瓶の蓋を開けて中の鱗粉を少しだけ自身の傷に振りかけた。すると、今まで体が痛かったのに痛みが引いていた。
「すごい! あの青雷君!警備兵さんに使ってもいい?」
「いいよ! 瓶5つ貰ってるからどんどん使っちゃって!」
ラックルは吹き飛ばされ気絶した警備兵に残りの粉を振りかけると、警備兵の傷は治り、目を覚ました。
「うーん、はっ!? ラックル様!」
「この粉凄い!!!」
「ってうわっ!? なんだお前は!? ん? もしかして、青雷か?」
「あっ、警備兵のおじさん! 生きててよかった」
雷に打たれ続けていた成れ果ては仲間を呼んだ。
「てぇぇすぅぅ!!! てぇぇぇすぅぅううう!!!」
だが、仲間はやってこなかった。
「うるさいな! ラックル君を傷つけた奴はこうだ!」
青雷は脚に糸を巻きつけて成れ果ての頭から胴体へ脚を刺した。
「えい!」
巣から発せられる雷に打たれ、青雷の脚から放たれる雷によって、外と内で成れ果てが回復するスピードよりも体内組織を破壊されてしまい。2足歩行の成れ果ては力尽き、ドロドロの液体となったが、雷に焼かれ塵とかした。
「やった! ラックル君! 僕勝ったよ!!!」
「青雷君凄いよ! 黒いモンスターを倒しちゃった!!!」
「成れ果てを倒すには雷で焼けばいいんだね! よし! 僕魔王城にいる成れ果てを倒しに行ってくる! 緑癒様の鱗粉が入った小瓶はあげるね! それじゃあ! 行ってきまーす!!!」
「あっ、1人で行くのはあぶな」
青雷は成れ果てを探しに走り去ってしまった。
「この粉を使えば、あの人達も治るかな」
ラックルは小瓶を持ち、戦ってくれた兵士達に使ってみた。
「やっぱり、死んだ人じゃ効果は」
緑癒の鱗粉をかけられた兵士は指を動かし、目を開けた。
「ラックル様、俺、いきて、る?」
「うわぁぁぁぁわ!!!! 嘘!!!! この粉死んだ人を生き返せるの!? それなら!!!」
ラックルは倒れている兵士に鱗粉を振りかけた。
そして、死んだと思われていた兵士は皆、息を吹き返した。
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