親友を助けるために
「うーんと、ここは何処?」
僕は目覚めると真っ白な部屋にいた。
「確か、僕はラックル君と遊ぼうって約束して寝たんだよね? でも、僕はどうしてここにいるの?」
青雷は辺りを見渡した。
「おーい! ラックルくーん! 何処にいるの!!! もしかして、ドッキリ!? もう! 怖くなってくるからラックル君出てきてよ!!!」
僕はドアを開けようとドアノブに手をかけた。
ガチャガチャと鍵が閉められていなくて部屋から出れなかった。
「もう! どうなってるの!!!」
そして、長い間僕は真っ白な部屋で一人ぼっちだった。
「ラックル君、ねぇちゃん、母さん、主人様、イデアおじちゃん、クティスおじちゃん会いたいよぉ。ここは何処なの、怖いよぉ。ラックル君、助けて」
ドアが開き男の子が入ってきた。
「あ! ねぇ! 僕はどうしてここにいるの!」
「ごめんよぉ。仕事が忙しくてやっと君の番になったよ。えーと、シンカちゃんの面談で君は人間にそっくりな姿になりたいんだよね。そうだな、君は前世の姿になりたい?」
「前世の姿? そもそも、君は一体誰なの!」
「あっ、自己紹介忘れてた、僕は神アート、命を持つ全ての形を決める神様さ」
「命を持つ全ての形? なにそれ?」
僕は男の子が言っている事が理解できなかった。
「君の今の姿は僕が考えた姿なんだ、産まれた種族によって命の形が決まり、そうだな、人間は2足歩行で猿よりも毛が薄いのが特徴だよね、人魚は人の上半身と下半身は魚の姿、獣人は獣が2足歩行で歩き、人獣は人間の姿に部分的に他の動物の特徴がある。それらは、この僕、アートが創り出した姿なんだ」
「うーん???? 僕のこの姿を考えたのがアート君ってこと?」
「早くも神様を君呼びか、君、神と話しているのに動じないんだね」
「僕はね普段神様とお話ししてるからね!」
「えっ!? 君は僕とシンカちゃん以外の神と話したことあるの!?」
「僕達の神様は主人様! 主人様と話をするってことは神様とお話しすると一緒でしょ!」
「あー、そうきたか」
「すごいでしょ!」
「そうだねーーー。すごいねーーーー。はい! この話は終わりにして君の進化する姿の話をするよ」
「うん! 僕かっこいい姿になりたい! あと! ねぇちゃんよりも強くて! ラックル君よりも大きくなりたいな!」
「かっこよく、強く、大きくね。そうだな、具体的にどんな姿になりたい?」
アート君は沢山の人間の絵を僕に見せてきた。
「ほぇ、人間にも色々な種族がいるんだね」
「人種って言うんだけどね、で、どんな人間になりたい?」
「多すぎて選べないよ」
「出来れば早めに決めてもらいたいけど、これから先その姿として人生を歩まないといけないから、じっくり選んだほうがいいよ」
「うん! アート君って優しいんだね!」
僕は選ぼうとしたら、ラックル君の叫び声が聞こえた。
「く、僕が守るんだ、僕が、青雷君を守るのは僕なんだぁぁぁあああ!!!!!!」
「ラックル君!? えっ!? ラックル君が叫んでる!? 何が起こってるの!!!」
「ん? どうして、ここまで地上にいる生物の声が聞こえたんだ? 青雷は彼の事が気になる?」
「気になるよ! ラックル君今にも泣きそうな声だった!!!」
僕はアート君に詰め寄った。
「分かった、分かったって、本当は地上の世界を見せない約束だったんだけど、今回は特別だよ」
「アート君ありがとう!」
アート君は大きな筆を取り出して床に円を描いた。すると、円からラックル君が成れ果てから青白い繭を守っていた。
「ラックル君! どうして魔王城に成れ果てがいるの!?」
「ありゃ、こりゃあまずい状態だね」
「ねぇ! ラックル君が守っている繭は何?」
「あの繭は君だよ」
「僕?」
「ああ、今回君達の場合は普通の進化の段階を飛ばして進化するから急激な体の変化に対応する為に繭になってもらっているんだ」
「じゃあ、ラックル君が青白い繭を守っているのって」
「彼は君を守ろうとしているんだね」
「アート君! 僕ラックル君を守りたい! 僕を繭から出して!!!」
「そんなこと言われても、それは難しいよ。今回は特別なんだよ。もし、今の状態で繭からでたら、君は人間の姿になれなくなってしまうかもしれないんだよ」
「それでも、僕はラックル君を助けたいんだ!」
「仕方ないな、分かった。今だと君を5段階までなら時間もかからず進化させることできる。あと、僕の力で人の姿に進化できるようにしてあげる。でも、その場合、君は自力で進化段階を踏んでいかないといけなくなるけどいいんだね?」
「それでもいい! 僕は今すぐにラックル君を助けたい!」
「分かった。本来ならこの会話は君の記憶から消される予定だったんだけど、君の友人を助けたいと思う心は僕の心を熱くした。僕のこの会話、僕と話せる力を君に授けよう」
「アート君! 本当にありがとう!!! 僕頑張ってくるね!!!」
「青雷! あんな化け物に負けるなよ!」
アート君は僕の周りに円を描いた。
円から光が溢れ出し、僕はラックル君の元へ帰った。
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