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考えていませんでした

 私は花茶の背中に乗り、私たちは洞窟へと帰っています。

その間、私は自身の無能さに腹が立っていました。

私の身勝手な行動で花茶が怪我をし、花茶が戦っているのに強化魔法の補助しかできない自分が悔しくて、悔しくて、仕方ないのです。

私も戦えたら、どうして攻撃魔法だけ覚えられないのでしょう?何度も、本を読み攻撃魔法の仕組みを理解していたとしても何故か発動することができないのです。


『ステータス』


藍介あいすけレベル98 男性

種族:ゴキブリ レベル1

HP:1500 MP:3500

筋力:10

防御力:400

知力:2000

魔法威力:10

魔法抵抗力:400

素早さ:500

器用:1680

特殊固有スキル:愛し続ける者、世界の図書館

称号:魔蟲の洞窟6層目の長


取得スキル:知力向上《大》、魔法理解者、道具作成《EX》、補助魔法能力向上《大》、MP消費軽減《特大》


取得魔法:選択強化魔法チョイスリインフォーメント《小・中》、選択属性付与魔法チョイスエレメントグラント《小・中》、選択属性耐性魔法チョイスエレメントレジスタンス《小・中》、庇護プロテクト《大》



 私のステータスを見る限り筋力、魔法威力が10なのはお恥ずかしいですが、それでもゼロじゃないのです。

10もあるのです!

それなら、初級攻撃魔法でも覚えられるのでは?と普通は思うわけですよ。ましてや、スキル『魔法理解者』は魔法を扱う冒険者達の魔導士という職業についている方にとって咽喉のどから手が出るほど欲しいスキル。

『魔法理解者』とは、魔法を取得する上で習得時間を軽減し、新たな魔法構築ができる魔法系最強補助スキルと本で書いてありました。

一応、『魔法理解者』を使い、他の強化魔法は選択式にしたので全ての魔法名を発さなくても欲しいステータス値をだけを選択すれば強化できるという魔法にしました。

先程の花茶とハナカマキリの戦いで使った強化魔法がそれです。

ですが、それ程の貴重なスキルを取得しているというのに、

全く!

攻撃魔法が覚えられない!

どうしてなのですか!!!


 私のMPは3500とかなりのMP量があります。

例えばですが、魔道士になりたての者を基準にすると初級炎属性魔法、火玉ファイアーボールのMP消費量は20。

MP消費軽減系スキルを取得していない状態ですと、このぐらいですかね。

私の場合はMP消費軽減《特大》のスキルを取得していますので、MP消費量は4です。

もし、私が火玉ファイアーボールを覚えられた場合、私のMPを全て使うと875発打てる計算になります。

875発もの火玉ファイアーボールを打てれば、魔法威力10の私だとしても敵を倒すことは可能です。

あ、そうそう、威力としては魔法威力が1として仮定すると、火玉ファイアーボールは威力25なので、魔法威力10の私だとしたら、威力は27.5となります。

威力27.5の火玉ファイアーボールが875発、総合ダメージ値は240062.5。つまり、2万4千62.5ダメージを出すことが可能です。

まぁ、これは私の魔法が全て当たったらという計算なので、実際はこんなにダメージを負わすことはできないのですが、これだけは言えます。

私は一つ攻撃魔法を覚えられたらある程度戦えるのです。

そしたら、花茶と一緒に戦える。花茶を守れる。

なのに、どうして覚えられないのですか!

神様!どうしてなのですか!


「お兄ちゃん?急に黙っちゃってどうしたの?」


「少し考え事をしてた、だけですよ」


私は花茶の頭に行き頭を撫でてあげた。


「あー!そっか!主人様にどう言うか考えてたんだね!」


「あっ」


「ん?どうしたのお兄ちゃん?」


私は主人様と皆を心配させてしまった事をすっかり忘れていました。

あー、その、どのように伝えましょう。

そのままの気持ちを話しますか?


《私は主人様の事が好きです!貴方が喜ぶためならなんでもいたします!ですから、これ以上泣かないでください!私が、精霊山へ行ったのは、貴方の悲しみを少しでも癒せたらと思い、この花を探しました。どうか、この花束と花冠を受け取りください》


いや、それですと、主人様に好きと告白することになりませんか?それはいけません!いけませんよ私!

まだ、そこまで仲良くなっていません。もしかしたら、主人様に嫌われてしまう可能性が‥‥。

私は主人様が私の告白を聞いて嫌な顔をしている姿を想像してしまいました。

ダメです!まだ!告白は絶対ダメ!

それでは、なんと言えば良いんだ!?


数分悩んだ末。


《主人様、心配をおかけして申し訳ございません。私は主人様が泣いているのを見て、少しでも悲しみを和らげられればと思い、精霊山に花を探しに行ったのです。こちらが、その花を積んで作った花冠と花束です。どうか、受け取ってください》


これが、一番無難ですかね。


「まーた、お兄ちゃん黙っちゃった」



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