獣は藍介の宝物を見る
私はネルガル君とライネル君にあの男の情報を話させました。
「あの、氷月のやろうは元々デカい魔石でよ。白桜があのデカい魔石は主人様に相応しいからみんなでプレゼントしましょってなって、推し人形か、プレゼントの魔石か、で主人さんに問い詰めたんだよな。そしたら、主人さんは推し人形も大切だから一緒にしましょというわけで、魔石精霊(仮)状態だった氷月が推し人形に入り、名前をもらった事で真の魔石精霊になる事が出来たみてぇだせ」
「おい、ライネル話し方!」
「そういう事だったのですね。確か、推し人形ができた経緯は、ライネル君が花茶ちゃんに凪さんの男性の好みを聞きにいった時にできたのでしたよね」
ライネル君はすぐさま私から逃げようとしました。ですが、私から逃げれるわけもなく、私はライネル君の頭を鷲掴みをして彼を捕らえました。
「いてててててて!!!!!」
「それで、貴方が花茶ちゃんにお願いをしなかったらこんな事にはなっていなかったという事で、よろしいですかねぇ」
「イデア様! 凪さんはイデア様の事をイケメンだって言ってましたよ!」
「ネルガル君、凪さんはその後なんと仰っていたが覚えていますか」
「えーと、確か、イケメンとはあまり付き合いたくないだっけ? あれ?イケメンは目の保養だけで十分だっけな?」
ネルガル君もまた、私から逃げようとしたので、空いている左手で頭を鷲掴みして彼を捕らえました。
「いてててててててて!!!!」
「やべぇ、頭割れちまう!!!」
「ぐわぁぁぁぁ!!! イデア様痛いです!!!」
2人の頭を鷲掴みしていると、遠くからクティスの楽しそうな声が聞こえてきました。
「クティス、凪さんと一緒に遊べて嬉しのですね。私もこの2人を始末したら、合流しますか」
「俺、殺させるのか」
「そんな、俺まだ、新技試し終えてないのに」
「そうだ! イデア様! 藍介さんの家に行きましょう!」
「ライネル君急にどうしたのですか、死に急ぎたいのですかね」
「いてててててててて!!! いや、藍介さんが隠している宝物がすげぇっていう話を花茶から聞いたんだ!」
「藍介さんの宝物なんて私は興味がないですよ」
「藍介の宝物イコール! 主人さんの秘密だとしたら、どうだ!」
「凪さんの秘密」
私はつい手の力を緩めてしまいました。
「ライネル今すぐに藍介さんの宝物を持ってきてくれ!」
「おうよ!」
ネルガル君は私の体に水の塊をぶつけると、私は驚き、ライネル君を逃がしてしまいました。
「ほぉ、ネルガル君は早死にしたかったのですね」
「イデア様、俺は凪さんの魔道具のお陰で少しは強くなったんですよ」
ネルガル君の手袋に嵌め込まれた魔石が光り輝き、手袋から水が大量に流れ出て、ネルガル君は水の塊の板の上に乗っていた。
「それが、貴方がはまっているサーフィンというやつですか」
「イデア様、ライネルが帰ってくるまで俺と手合わせをお願いしたい」
「手合わせですか、少しは強くなっているんでしょうね」
私は仕方ないので鎌を取り出しネルガル君と手合わせをした。
「ひゃっほー!!!!」
波に乗りながらの水槍での突きはなかなかの威力で、ネルガル君は魔王軍にいた時よりも強くなっていました。
ですが、私の敵ではありません。
「ネルガル君が強くなったのは分かりますが、遊び過ぎて鍛錬を怠っているのではないですかね!」
私はネルガル君の突きを受け流し彼の腹を蹴り飛ばした。
「ぐはぁっ!!! くっ、このぐらい」
蹴り飛ばされたネルガル君は水を使い威力を拡散させて自身を守りました。
「ほぉ、そのような使い方もできるのですね。応用力が試される武器ということでしょうか」
「体を動かして少しは気分が良くなったんじゃないですかね」
「そうですね。気分が落ち込んでいましたが、今は任務放棄をした部下をいたぶるのが楽しくなってきましたね」
「やべぇ、イデア様本当に怒ってる」
私はネルガル君と戦い、ライネル君が本を一冊持ってきた時にはネルガル君は疲れ果て、地面に横たわっていました。
「ネルガル!? おい! 大丈夫かよ!」
「ライネル君、その本が藍介さんの宝物なのですか?」
「多分これが、そうだぜ。花茶が言うには主人様がお着替えをしている姿を見たの! って言ってたんですよ」
「早くそれを私に貸しなさい!」
私はライネル君から藍介さんの宝物を取ると、1ページ目を捲りました。
1ページ目には凪さんが服を脱ごうとしている姿が載っていました。
「なんと!!!! これは!? 凪さん!? 藍介さんの宝物は素晴らしい!!!!」
私は夢中で凪さんの絵を見つめました。
ライネルは地面に倒れているネルガルを助け起こした。
「ネルガル! イデア様は気に入ったみたいだぞ!」
「もっと、早く、もってこいよ」
ネルガル君はそのまま気絶をして、ライネル君は凪さんの家に連れて行きネルガル君を布団に寝かしていました。
「はぁぁぁぁあああ!!!! なんと! 素敵です凪さん!!!! 素敵です! 大好きです! 愛しています!」
私は次のページを開き、凪さんの絵を堪能しました。
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