獣(クティス)と魔石精霊
イデアさんはネルガルとライネルを連れて行き。
「凪さん助けて」
「主人さん!!!!」
私は2人を引きずるイデアさんの前に出た。
「イデアさん! 2人を殴っちゃダメだからね!」
「凪さん、分かりました。少しだけ話がしたいだけなので、クティスの相手をしてもらえませんか」
「良いわよ。でも、クティスはどうして私に肉球を見せつけてくるの?」
「クティスは仕事を頑張ってましたから。褒めてあげてください」
「クティス頑張ったのね。それに、イデアさんも仕事が大変だったのね。目の下にクマができちゃってるじゃない。今日はゆっくり休んでね」
「凪さぁん。ぐっ、ありがとうございます。それでは、クティスをお願いします」
「了解!」
イデアは2人を連れて庭から離れた。そして、クティスは私にずっと赤くなった肉球を見せていた。
「ガウ〜、ガゥガァ〜(凪〜、僕頑張ったよぉ〜)」
クティスは仕事を頑張ったアピールをしているのね。黒かった肉球が真っ赤に。多分、赤いインクが取れなくなっちゃったのね。可哀想に、たくさん褒めてあげなきゃね!
「頑張ったのね。偉いわよ」
私はクティスの頭をたくさん撫でてあげた。
「ガウ! ガウ!」
クティスは嬉しそうに尻尾を振って、お腹を私に見せながら横たわり、お腹も撫でて欲しそうにしていた。
「お腹も撫でて欲しいのね! いいわよ! 沢山撫でてあげるわ!」
クティスのお腹を沢山撫で、氷月も私の真似をしてクティスのお腹を撫でていた。
「フカフカして気持ちいいな! しかも温かい! 俺様のペットにしてやろう!」
「ガウグルルルルルルルルガウガバァッ!(僕に触るんじゃない!)」
クティスは氷月に威嚇した。
「なんだ、俺様と遊びたかったのか! なら、ボール遊びでもするか!」
クティスの威嚇は氷月には効いていなかった。
「ガウガ!? ガウグルガウガ(うそっ!? 僕に威嚇されても怖がらないだと)」
「威勢がいいな! そんなに俺様とボール遊びしたかったんだな! アの仕事をしなかったのは許さんが、当事者ではない、俺様が怒るのはおかしいというもの、よし! 獣よ! ボール遊びするぞ!」
氷月はクティスの尻尾を手に持つと、クティスを引きずって庭の外にあるグランドに向かった。
「ガウガ!? ガウガウガウウガァー!!!(何するの!? 離して離してよ凪助けてぇー!!!)」
「俺様と遊べて嬉しそうだな」
「氷月! クティスの尻尾を掴むんじゃないわよ!」
私は氷月の腹を殴った。
「妻も一緒に遊ぶか! 痛っ」
氷月はクティスの尻尾を離そうとしないから私は離すまで殴ることにした。
「妻よ! なぜ俺様のことを叩くんだ! 痛い、いたっ分かった離すから!」
「クティス大丈夫だった」
「ガウガァ〜(助かったぁ〜)」
「よし、それじゃ、ボール遊びしようか」
「ガウ! (うん!)」
「なんだ、やっぱり俺様と遊びたかったのか」
「氷月はそこに置いといて、クティス! このボールをとってこい!」
私は拳ぐらいの大きさのボールを思いっきり投げた。
「ガウガウガァ! (ボール取ってくるね!)」
クティスは嬉しそうにボールを取りに行った。
「なんだ、楽しそうだな、よし! 俺様にもボールを投げてくれ!」
「しょうがないな、ほら、氷月とってこい!」
「俺様ならこれぐらい余裕だ!」
私はピッチング君改MAXにボールをセットして打ち出した。
「これは聞いてないぞ!?」
「ほら! とってきなさいよ!」
「俺様なら余裕だ!」
氷月は遥か遠くに飛んでいったボールを取りに走り出した。
私が投げたボールを咥えて楽しそうに私の元へボールを持ってこようとしていたクティスの横を豪速球が通り過ぎ、その後を氷月が追っていた。
「ガゥ、ガウガ、ガウガルルルガウガ?(なんだろう、あいつ、本当に僕のライバルなの?)」
クティスは氷月の行動に首を傾げた。
「クティス、ほら、ボール持ってきてー」
「ガウガ! ガァガァ〜(凪! 持ってきたよぉ〜)」
「クティス偉いわね、よぉ〜しよしよしよしよし」
「ガウ! ガウ!」
クティスと5回ほどボール遊びをした時に氷月がボールを口に咥えて帰ってきた。
「なんで、口に咥えているのよ」
「ほら、獣も口に咥えて持ってきているだろ。それなら、俺様も真似をしなくてはいけないからな!」
「私はそのボール触りたくないから、まだ遊びたいって言うなら、自分でピッチング君改MAXにセットして」
「そんな連れない事を言うなよ、なぎぃ」
「クティス! 氷月に攻撃!」
「ガウガグルガ!(思いっきりやっちゃうね!)」
氷月はクティスに頭を噛みつかれた。
「甘噛みっていうやつか、俺様に甘えたかったんだな!」
氷月はクティスの噛みつき攻撃に全く怯まず、噛み付いているクティスにダメージが入っていた。
「ガゥ〜、ガグルガバガル!(硬い、こいつどうしてこんなに硬いの!)」
「俺様はこの世で最も硬い鉱石で出来ているからな!」
「ガゥ?(あれ?)」
「どうした、もしかして、俺様がお前の言葉を理解している事に驚いたのか?」
「ガウバグル、ガウガウウガァ!(僕の言葉を理解できてたのに、どうして僕の尻尾を掴んだのさ!)」
「掴みやすかったからさ!」
「ガウバァ!(こいつ馬鹿だ!)」
「おい! 俺様は馬鹿じゃないぞ!」
「ガウガ! カウガウグルバァガ!(凪! こいつ馬鹿だよ!)」
「クティス、私と一緒に氷月を倒すわよ!」
「ガウ!(うん!)」
「なんで、俺様が倒される役なんだ! いや、でも、俺様が強いからこそこの役になれるという事。それなら、わはぁぁっはぁっ! 俺様こそが最強最恐の魔石精霊氷月!」
私とクティスは共闘して氷月と戦った。
そして、氷月は負けて、クティスの下に敷かれた。
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