女神はやり切った
「やっとよ、やっと! 社長に振られた理不尽な仕事をやり切ったわよ!!! よっしゃぁぁぁぁあ!!!」
すると、コンコンとドアを叩く音が鳴った。
「はい! どうぞ!」
「シンカさん失礼します。お仕事お疲れ様です」
入ってきたのは両手に袋を持ったクエスさんだった。
「クエスさん! 貴方の方も終わったのね!」
「はい! 新たな種族の進化経路の対象クエスト作成、新たなスキルの取得状況変更など、100年分の仕事が一気に来たって感じでしたよね」
「えぇ、本来なら急激な進化なんて出来ないからね。段階を踏んで、あの姿になるには、そうね。あと13段階を踏んでやっと人の姿を獲得かしらね」
「それをすっ飛ばすなんて、社長も思い切りましたよね」
「会議も長引くし、他の神達も残業確定コースだったからね。あそこまで社長に抵抗する神達は初め見たわ」
「俺もです。まさか、アート様が俺を殺す気なの! って、珍しく怒ってましたよね」
「あの子達の姿を描くのはアート君しかいないよ! って社長に言われた時のアート様のあの顔、本当に可哀想だったわ」
「他にも、スキル制作部のスール様も猛反発していましたね。新たな種族を誕生させる場合、彼らに合ったスキルを新たに作りださないといけない! こんな大仕事を急決めるな! 報連相ができないのか! この馬鹿者めが! って」
「うんうん、あの優しいスール様までもが、激怒しちゃって会議がめちゃくちゃだったわよね」
「でも、それでも俺達はやり切りましたね」
「本当に! 疲れたわ! 私なんて魔石精霊(仮)! あっ、今は名前があるんだっけ、えーと、氷月! 氷月よ! あいつが急に私を地界へ呼び寄せようとしてさ、下半身があっちに行っちゃって大変だったのよ! 私の腰も、痛くて、湿布生活中よ!」
「部下に聞きました。シンカさん災難でしたね。あの、色々買ってきたのでここで食べませんか?」
「ありがとう! 机片付けるわね!」
私は机の上の書類を片付けてクエスさんは袋に入った食べ物や飲み物を出した。
「缶ビール! クエスさん、ここは職場よ。お酒はちょっと」
「いいじゃないですか? 社長も酒盛りしてましたし」
「え? 社長も酒飲んじゃってるの!?」
「はい、俺が報告しに行った時には既にアート様とお酒飲んでましたから」
「それなら、思いっきり楽しみましょうか!!!」
「シンカさん!?」
私は自室のドアを開けて天使達を呼んだ。
「お酒飲みたい奴はいるかぁ!!!!」
帰ろうとしていた5人の天使は驚いていた。
「シンカ様? 急にどうしまたか?」
「うおー!!!! 酒飲みたい!!!!」
「シンカ様の奢りならいいですよー」
「それじゃあ、俺は酒のつまみ買ってきます!」
「バッカス印のビールあります?」
「もちろん! あるわよ! それに、クエスさんがおつまみとか色々買って来てくれたのよ!」
「流石クエス様!」
「でも、僕達が邪魔をしていいのかな?」
「ちょっと、2人きりにしてあげなさいよ」
クエスはシンカと2人きりで飲む予定だったが、シンカが楽しそうに天使達に話しているのを見て2人で飲むのは諦めた。
「俺は大丈夫ですよ。それなら、俺の部下達もここに連れてきていいですか?」
「いいわよ! みんなで楽しみましょう!!!」
「それじゃ、俺連れてきますね!」
1人の天使がクエスの部下達の元へ行き、20分後、6人の天使がシンカの部屋にやってきた。
「それじゃあ! みんなで! かんぱーい!!!」
「かんぱーい!!!!」
その日、神と天使は酒を飲み、楽しみ、騒ぎ、羽目を外した。
その後、社長に呼び出され2人の神は、社長を呼ばなかった罰で1週間仕事3倍期間が設けられてしまったのでした。
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