女神は踏ん張る
女神シンカは魔石精霊(仮)に名前が付いてから、仕事がより一層忙しくなっていた。
「はい! 次! なんで、こんなに注文してくるのよ!」
女神シンカは机に倒れ込み、彼女はとても疲れ切っていた。そして、部下である天使達もまた、目の下には大きな隈があった。
「次の面談は、紅姫と名付けられた魔物です」
「分かったわ。確か、彼女の前世は」
女神シンカは天使から資料を渡され、それを確認した。
「あら、この子、不運な死に方をしたのね。えーと、勇者によって国が滅亡したと。娘が勇者と結婚しなかったばかりに、逆恨みで国を滅ぼすって社長が送った勇者クズじゃない!!!」
「まぁ、まぁ、さぁ、面談のお時間です」
全ての面談を終えた女神シンカは椅子に座り、休憩をしていた。
「やっと、全員分聴き終わった!!! あの子達長いのよ! 特に、ムカデとゴキブリあと蚕! 何が、好きな人に好かれる姿よ! そんなのこっちが分かるわけないでしょ!!! 本人に聞きなさいよ! 本人に! あと、尻を強調していたのはどうしてなの? 美尻に! 主人様に愛される美尻に! 意味不明なんですけど!!!」
すると、彼女の椅子が青白い光を放った。
「なに!? えっ!? 光る椅子なんて買ったことないんだけど!!!」
そして、魔石精霊(仮)こと魔石精霊の氷月の声が聞こえた。
『シンカよ、仕事ばかりしててもつまらないから、俺様の元へ遊びにこい!』
「遊びに来いっていける訳ないでしょ!!!」
椅子が消滅し、椅子の下には転移魔法陣が展開され、女神シンカの下半身が魔法陣に飲み込まれた。
「うわぁわぁあわぁ!!?!!!?」
女神シンカは地面にしがみついた。
「何よこれは!!! 誰か! 誰か! 助けて!!!」
女神シンカの声に男性の天使は慌てて彼女の部屋に向かった。
「シンカ様! どうしましたか! って!? シンカ様!!! 大丈夫ですか!?」
「大丈夫じゃないわよ! 助けて!!!」
「俺1人じゃ負けるな、おい!!! シンカ様が魔法陣に飲み込まれてるから助けてくれ!!!」
男性の天使は二人の天使を呼び、女神シンカの上半身を抱え、彼女の体を引っ張った。
「痛いけど、変なところに行くよりかはマシ! 3人とも頑張って!!!」
「どうして、こんな事に」
「おい! もっと力を入れろ!」
「分かってる。でも、シンカ様が辛そう」
一方、凪と氷月は下半身だけ降臨した女神をどうするか考えていた。
「ねぇ、これって、引っ張れば女神様こっちに来れるんじゃない?」
「それなら、引っ張ってみるか?」
氷月は下半身だけの女神シンカの腰に腕を回し、彼女を引っ張った。
「氷月頑張れ!」
「おう! 妻に応援をされたんだ、俺様、頑張らないとな!」
「フレー! フレー! 氷月!頑張れ! 頑張れ! 氷月!」
「シンカよ! 観念しろ!!!」
そして、氷月vs3人の天使の女神シンカ引きが始まった。
戦いの結果、やはり、人数の有利によって天使側が勝利したが、女神シンカは腰を痛めてしまった。
「あいつ、絶対に許さない!!!」
女神シンカは女性の天使に腰に湿布を貼ってもらいながら、氷月に復讐を誓ったのであった。
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