耐えるんだ! クエス! 耐えろ!!!
俺はシンカさんをおぶり麦さんからもらった紙を頼りにシンカさんの家に向かっていた。
シンカさんの体の体温が俺の背中に感じ、しかも、柔らかな感触がもう、耐えろ。耐えるんだ。シンカさんを無事に家に帰して、俺も久しぶりに家に帰る。それでいいじゃないか。今日は沢山シンカさんと話ができたし、それに、シンカさんの家を知れるなんて、前までの俺だったらここまで行かなかったよな。
一つ、反省点があるとすると、あの本のモテテクニックを何一つ実行しなかったのがいけなかったな。でも、いざやろうとすると難しいんだよな。
「えーと、ここか」
クエスはシンカが住むアパートにたどり着いた。
「205。205。ここか」
クエスはシンカを起こすために自身の体を揺らした。
「シンカさん、起きてください。シンカさーん」
「ん? んんんん? いえ?」
「そうです。家ですよ」
シンカはバックを開けて鍵を探した。
「かぎ、どこ、ない」
「俺が探しますね」
クエスはシンカのバックから鍵を取り出し、家の鍵を開けた。
「さぁ、シンカさん、あと少しですからね。そこで寝ないでください」
クエスは玄関前で寝ようとするシンカを抱き抱えてベッドに彼女を運んだ。
「シンカさんの家、いい匂いがする。って!!! なに変態みたいなこと言ってるんだ! でも、凄く、いい匂い」
シンカは服を脱ごうとしていた。その姿を見たクエスは慌てて家から出ようとした。
「お、おれ、は、もう、帰りますね!」
「ねぇ、取れない」
上半身下着姿のシンカはクエスの袖を掴んだ。
「ど、ど、ど、ど、どどどど、どうしましたか」
「取れないの」
彼女は背中を見せた。
「えーと、なにが取れないのですか?」
「ホックが取れないの」
「あー、ホックが取れない」
クエスは目の前の魅惑的な彼女の姿を見て、必死に理性を保とうとした。
「だめ、だめだ、これ以上は、おれが、もたない、ダメだ、我慢しろ、我慢しろ」
「ねぇ、とって?」
彼女の一言でクエスの理性は崩落した。
「いいんですね」
「うん」
「分かりました」
クエスは手を震わせながら、ゆっくりと彼女の下着のホックに触れた。そして、ホックを外そうとしたが、緊張のせいでうまく外れずにいた。
「あれ? おかしいな、こうだよな? あれ? 外れない」
「苦しいから早くとって」
「は、はい! 今すぐに! あれ? おかしいな」
悪戦すること10分後、クエスはシンカの下着のホックを外す事に成功した。
「やっと外れた!!!」
「ありがとう。おやすみなさい」
シンカは苦しかった原因を外す事に成功して、ベッドに向かい。シンカは何事もなかったように、掛け布団にくるまり眠り始めた。
「え、シンカさん。ね、ね、ねちゃってる!!!」
クエスはシンカの下着を手に持ちその場で立ち尽くしていた。そして、自身の手にシンカの下着を持ってる事に気付き、下着を手から離してしまった。
床に落ちた下着をみて、クエスの頭の中は煩悩に溢れて、それを少しだけ残っていた理性が必死に押さえつけようとしていた。
「シンカさんの今日の下着は、黒、いや、見ちゃいけない!!!」
近くにあったクッションで下着を隠した。
「ふぅ、これで、安心」
シンカは掛け布団を蹴飛ばして、彼女の肌を見たクエスはすぐにシンカの掛け布団をかけ直した。
「シンカさん裸、だめだ!!!!!!!!! もう、俺はもう無理!!!!」
クエスはトイレに駆け込み、必死に煩悩と戦っていた。
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