居酒屋『酒乱酒造』
「すまない!!! これからシンカさんと飲みに行く事になったのだが、服装はどんな感じがいいと思う? 髪型は? やはり、一度シャワーでも浴びておかないと」
クエスはシンカと飲みに行ける事で舞い上がり、部下の天使に聞いていた。
「仕事帰りに飲みに行くのでしたら、そのままの姿でいいと思います。あとは、前みたいに頭の中が真っ白にならないようにこの」
男の天使は『異性にモテるテクニック100選! これで、モテモテ神になっちゃおう!』と表紙に書かれた本を取り出した。
「これを読んで、実行するのです。あの有名なエーロース様が自身の経験をもとに作られた至高の本! さぁ! 仕事は私達に任せて、クエス様はシンカ様を落とすテクニックを磨いてください!」
「ナータージュいつもありがとうな」
「いえいえ、クエス様頑張ってくださいね! 応援してます!」
クエスは自室に帰ると『異性にモテるテクニック100選! これで、モテモテ神になっちゃおう!』を読み始めた。
そして、クエスは20時丁度にエントランスに向かい、シンカと合流した。
「シンカさん! お待たせしてすみません」
「いえ、私も今来たので全く待ってませんよ。それじゃあ、私の行きつけのお店にいきましょうか」
「はい!」
2人はシンカが良く利用している居酒屋『酒乱酒造』という店に入った。
2人を迎えてくれたのは酒乱酒造の店主だった。
「おう! らっしゃい! って! シンカちゃんじゃないか!!!
「米さんおひさー」
シンカは店主に手を振った。
「久しぶりだな、えっ!? シンカちゃんが男を連れている!? 麦!!! 麦!!! シンカちゃんが男を連れてるぞ!!!」
店主が麦という人物を呼んだ。すると、店の奥から割烹着を着た女性が現れた。
「急になんだい? あー、シンカちゃんお久しぶり、えー!!!!!! シンカちゃんが男を連れてる!? ちょっと、あんた! 今日は赤飯だよ!!!」
「どうして赤飯なのよ」
「どうしてもなにも、祝い事には赤飯だよ!」
「私が男の人を連れていたら、どうして祝い事になるのよ!!! もう! 個室空いてる?」
「ちょっと、あたいか個室片付けてくるから待ってておくれ」
麦は個室が満室になっていたが、ある常連を個室から追い出してシンカを個室に通した。
「追い出すなんて可哀想じゃない?」
「追い出したんじゃなくて、譲ってもらったのよ。さぁ! この部屋を使いな!」
「ありがとう。それじゃ、生2杯よろしく」
「あいよ!」
シンカとクエスは個室で腰を下ろした。
「シンカさんはこのお店の亭主さんと仲が良いのですね」
「まぁ、下積み時代によく通ってて、2人には仕事の愚痴を聞いてもらってたから」
「そうなのですね」
「あ、生頼んじゃったけど飲める?」
「大丈夫です」
麦はお通しと生2杯を届けた。
「それじゃあ! かんぱーい!!!」
「乾杯!」
2人は生ビールが入ったグラスを合わせて、グビグビとビールを飲んだ。
「ぷはぁっ!!!! さいこう!!!!」
「美味しいですね!」
「麦さんが作ってるからね。ここのビール飲んじゃうと、缶ビールが薄く感じるのよね」
「唐揚げ美味しそう。シンカさん頼んでいいですか?」
「えぇ、私は枝豆追加で!」
クエスは枝豆と唐揚げを頼んだ。
「ここの料理はとっても美味しいのよ。この枝豆も塩加減が最高で永遠に食べられちゃうぐらい美味しいのよ! 唐揚げとおすすめよ!」
「熱っ、うま!」
2人は食事を進め、お腹を満たした。
「それで、シンカさん。魔石精霊(仮)の名前は決まるのですか?」
「あいつ、えぇ、私は彼に推し人形って名前を提示し続けているわ。こうしてクエスさんと食事をしている間もあいつには通知がいっているわ」
「ずっと気になっていたのですが、魔石精霊とシンカさんはどんな関係なのですか?」
「あいつとの関係? そうね、愚痴話したり、趣味の話をしたり、友達って感じかな? でも、仲良くなったとしてもあいつは名前を妥協しないのよね」
クエスはビールを4杯飲んでいて、彼は酔っ払っていた。
「彼が羨ましい。シンカさんと沢山お話しできて、俺なんか、やっと」
「ん? クエスさんどうしたの?」
「いえ!? 何でもないです!」
その後、2人は他愛のない話をしたり、仕事の話をして、社長であるゼスの愚痴を話していた。そして、シンカは酒を飲み進め、普段よりも多く酒を飲み、ビールを15杯も飲んでいた。
「シンカさん飲み過ぎですよ!」
クエスは酔いが覚め、シンカの体を支えていた。
「この、ぐらい、だいじょぶれす!!!」
「ありゃ完璧できあがっちゃってるね」
「麦、この状態じゃシンカちゃん家に帰れるか心配だな」
「そうね、それなら、連れの貴方、これシンカちゃんの家の住所」
麦はシンカの家の住所が書かれた紙をクエスに渡した。
「え!? その、どうしてシンカさんの住所知っているんですか!!!」
「そりゃあ、シンカちゃんが酔い潰れた時はいつもあたしが彼女を運んでたからね」
「シンカさんはこんなになるまで飲まないと考えていたので驚きました」
「こんだけ飲むのはいいことがあったか、悪いことがあったの2択だね。まぁ、シンカちゃんを頼むよ。あとは、シンカちゃんが嫌がったら手を出さないこと、分かったわね」
「手を出す?」
クエスは麦の言った事を考え、シンカを見つめたら、麦が言った意味が分かり顔を真っ赤にした。
「そ、そ、そんな、俺はシンカさんが嫌がることは絶対にしません!!! でも、彼女が望むならいつでも」
「おやおや、やっぱりそうかい! シンカちゃんがこんないい男に思われて幸せもんだね!!!」
「麦、その辺にしてやんなさい。それじゃ、クエスさん、シンカちゃんをお願いします」
「はい!」
クエスはシンカをおんぶをして、彼女の家に向かった。
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