女神シンカ大歓喜!!!
俺様は黄結姫に運ばれ妻である凪の家に着いた。
「白桜ちゃんこの魔石はパーティーで渡すプレゼントなのにもう主人様に渡しちゃうのですか?」
黄結姫が白桜に話しかけていた。
「黄結姫様、こんな大きい魔石をパーティーまで何処に隠すのですか? こんなに大きいんじゃ何処に隠してもすぐに見つかってしまいます。だから、先手を打って渡しちゃうんです!」
「白桜のいうことも理解できますね。まぁ、個人で渡すプレゼントは秘密にしておいて、これは早めの全員からのプレゼントにしても良いですね」
花茶の背中にいた藍介が頷いていた。
「花茶も主人様に渡すのさんせーい!!!」
「意義なし〜」
「邪魔ですから早めに渡しちゃいましょう!」
「緑癒様、邪魔は言い過ぎだと思います。だが、この魔石。唯ならぬ気配を放っているんだよな? どういうことなんだろうか?」
「灰土〜、俺は〜、唯ならぬ気配なんて感じないし〜、ただの馬鹿でかい魔石だよ〜」
「そうか、俺の気のせいなのか」
「そうですよ。もし、この魔石が生物だとしたら、僕の目に種族名が表示されると思うので、灰土さんの気のせいですよ」
「そうかぁ」
灰土は俺様の存在を感知するなんて凄いやつだな! 俺様はここにいるぞー! ずっとお前達をみていたぞぉ!
「それじゃあ、主人様を連れてきます!」
白桜は凪を庭へ連れてきた。
「見て欲しいものってなによ。って!? えー!!!! も、も、もしかして、5層目にあった魔石持ってきちゃったの!?」
「主人様に贈る相応しい物は美しく大きな物では無いといけないと思ってあたし達全員(藍介様と緑癒様は応援するだけで、邪魔だったけど)の力を出し合って取ってきたの!」
「それは、嬉しいけど、これは大きすぎよ!!!」
「主人様、どうか、私達の気持ちを受け取ってください」
「花茶一杯引っ張ったんだよ!!!」
「私も、全力で引っ張りました!」
「私も頑張りましたわ」
「俺も〜、思いっきり引っ張ったよ〜。褒めて〜、褒めて〜」
「俺も地面を掘りました」
「僕は応援頑張りましたよ!」
「嬉しいのよ。本当に嬉しいの、でも、この魔石何処に置こう」
「ねぇ、ねぇ、主人様! 推し人形よりもこの魔石の方が美しいと思うの!」
「白桜、急にどうしたの?」
「推し人形とあたし達が取ってきた魔石ならあたし達が持ってきた魔石の方が主人様にとって嬉しいよね!」
「ん? 白桜? 何を言いたいのかな?」
「推し人形なんか壊してこの魔石を愛でて欲しいの!」
「えー!!!! えっ? ん? えっ? 白桜、どういうこと?」
「主人様はあたし達の贈り物より、推し人形の方が大切なの?」
おや、白桜。もしや、俺様がいる事を知って凪の元へ連れてきてくれたのか!!! なんて、良い子なんだ!!! 推し人形は何度か見たことあるが、あんな魔石よりも、俺様の方が美しく、凛々しく、なんて言っても魔力量が桁違い!!! フッ! 凪は俺様を選ぶに決まってるじゃないか!!!
「いや、その、どうしてそうなるの!?」
その後、凪は悩みに悩み、そして、ある一つの案に辿り着いたのだ。
「どっちも選ぶということで、推し人形にこの魔石を入れることにするわ!!!」
「はぇ!? そんな事主人様できるの!?」
「だって、これも凄く大きいけど魔石でしょ。それなら、形を変えることは造作でもないわ!」
そして、凪は推し人形を庭へ持ってくると、俺様の側に置き、凪は俺様の体に触れた。
凪待ってくれ!!! 俺様をそんな小さな人形に押し込める気なのか!!!
凪は俺様の体を液体に変えると推し人形に俺様を流し入れた。俺様の全ての体を推し人形に封じ込めた凪は、満足げな顔をしていた。
「ふぅ! 時間かかったけどできたわね! プレゼントありがとう、これから大切に使わせてもらうわね」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ。ライバルが消えなかった」
「くぅぅ。あたしよりも主人様の方が上手だった」
「ちぇっ、無くなると思ったのにな」
3人は推し人形を消す機会を失い悔しがっていた。
こうして、俺様は凪の家に暮らすことになったんだが、人形の中はとても窮屈なんだ。でも、凪が俺様に色々な服を着せてくれるのは嬉しいな。かっこいい服を着た俺様を見て嬉しがる凪を見ると、窮屈だが、まぁ、妻が喜んでくれるのは嬉しいことだ!
天界で仕事中の女神シンカは、普段なら魔石精霊から連絡をくる時間なのに連絡が来ない事を不思議がっていた。
「あれ? あいつから連絡来ないわね? 仕方ない、ちょっと下界を覗いて見ましょうか。どれどれ? あれ!? いない!? あいつが消えちゃった!?」
シンカは丸い水晶を使い、魔石精霊がいた魔蟲の洞窟の5層目を確認していた。
「うそっ!? えっ!? どうやって消えたのよ!!」
シンカは血眼になって魔石精霊の行方を探した。
2時間の捜索の末、魔蟲の洞窟の主人の家にある。人形の中に魔石精霊を見つけた。
「いた!!!! って、あいつ、人形になってる!? うそっ、あいつ何やったのよ! 今年1番、いや、あいつと関わってきた中で1番面白いことになってるじゃない!!!」
そして、シンカはあることに気付いてしまった。
「推し人形? あの人形の名前ってことよね? ん? 名前、名前よ!!! あいつが名前決められなくて私がめっちゃ苦労してたけど、人形本来の名前、そう推し人形って名前が概念として定着していたとしたら、あいつの名前を強制的に決められるじゃない!!! 名前がなくて存在を把握されなかったから概念としての名前をつけれないと考えていたけど、これなら、いける!いけるわ!!!!」
シンカは長年に渡る、魔石精霊とのやり取りを思い出していた。
「ふっ、ふっ、ふっ。これで、やっと、あいつにやり返せるわ!!! 私の仕事を散々邪魔してきたんだから
こっちもやり返してもいいわよね! やばい! めちゃくちゃ楽しくなってきた!」
シンカの部下である天使達は上司のシンカが今までに見たことのないぐらい大喜びしている姿を見て、とうとう、仕事のし過ぎて頭がおかしくなってしまったんじゃないかと皆考えていた。
シンカは名無しの魔石精霊に仕返しを始めた。
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