懐かしさと悲しみ
私は眠っていた。
すると、藍介が私に思念を送ってきた。
「主人様、主人様、あの、今日はお側で眠ってもよろしいですか」
「ん? んんん?」
私は目を開けると、そこには藍介は体を震わせながら、小さな枕を持って立っていた。
「藍介? んんん、ふぁーああ。いいわよ。ほら、布団敷いて寝なさい」
「ありがとうございます」
藍介は私の隣に布団を敷くと眠りについた。
そして、朝。
「主人様! 主人様! 朝ですよ! 起きてください!」
いつも通り私は藍介に起こされた。
「あと、1時間」
「1時間は寝過ぎです! ほら、起きてください」
「それじゃあ、あと、5分」
「あと5分ですね。5分後また起こしに来ますからね」
ピッタリ5分後藍介に起こされた、私は朝食を食べ、ドラゴンの呪いを調べるために藍介から本を借りて読んでいた。
「ドラゴンに呪われた者は永遠に死ぬ苦しみを受けると」
藍介と紫水は2人で話していた。
「ねぇ〜、ねぇ〜、藍介〜。いつになったら人間になれる方法見つかるの〜」
「そんなこと言われても、私は必死に探しているんですからね!」
『う〜ん、あと〜、もうそろそろ〜、主人様の2年目パーティーどうする〜? 前は〜、主人様に〜、プレゼント貰ったじゃん〜。貰ってばっかりは嫌だから主人様にプレゼントしたいんだよね〜』
『プレゼントですか、それも良いですね! 私はこけーしぃでも作りましょうかね』
『こけ〜しぃ? 何それ〜?』
『教えませーん』
『え〜、藍介のけち〜。はぁ〜あ。ダイヤモンド取りに行こうとしたらさ〜、灰土に邪魔されちゃってダイヤモンドゲットできなかったんだ〜』
『灰土さんはまたダイヤモンドを渡すのですか?』
『多分そう〜。くそぉ〜。俺だって〜、もっといい物見つけなきゃな〜。あ〜! そうだ〜! ねぇ〜、藍介〜。幻影魔法使える〜?』
『えぇ、使えますよ』
『幻影魔法を使って〜、俺の姿を人間に変えられない〜?』
『それはいい案ですね!!!』
『でしょ〜! じゃあ〜、魔法よろしく〜』
『いえ、紫水の人間の姿は想像つかないので、私に! 幻影魔法を使い、人間の姿になるとしましょう!』
『ちょっと〜、俺の案なのに〜、ずるいよ〜』
「幻影儚夢」
藍介が魔法を発動すると、藍介の体から煙が噴き出た。
「ちょっと! 藍介!? 爆発じゃなくてとうとう、煙まで出ちゃったの!?」
私は慌てて藍介の元へ駆け寄ると、煙の中から男性が現れた。
彼の髪は藍色、垂れ目で顔立ちは整っていて、優しそうなお兄ちゃんといった印象を持たせる雰囲気を放っていた。そして、私は今まで会ってきた人達の中で断トツで好きなタイプの顔だった。
そして、私は彼に一目惚れをしてしまった。
「なっ!? えっ!? 貴方誰!? えっ!? 藍介!?」
すると、どタイプの男性から藍介の声が聞こえた。
「主人様、どうでしょう! 私が人間ならこのような姿になると思うのですよ! かっこいいですかね?」
私は初めて見た顔なのに懐かしいと感じた。そして、何故か、涙が溢れてきた。
「え、なんで、涙が、出るの」
私はその場に座り込んだ。
「藍介〜!!! 主人様の事泣かせたな〜!!! 俺が〜、藍介の事〜、水責めにするから〜、主人様泣かないで〜」
「そんな、私は何もしてませんよ! 主人様大丈夫ですか?」
男は身を屈ませて私の顔を覗いてきた。
「どうしてなんだろう、わからない。分からないよ。急に、懐かしなって思ったら、涙が、止まらないの」
藍介は幻影魔法を解除して、人間からゴキブリの姿に戻った。
「主人様、泣かないでください。主人様が悲しむと、私も悲しくなります」
藍介は私の手を触った。
「ありがとう、少し落ち着いたわ」
「主人様」
「よし〜! 水責め決定〜!!!」
紫水は藍介を水の球体に拘束した。
「あぶぁはぁはあぁばばぁぁあ!!!!」
「ふぅ〜。主人様を泣かせた奴は俺が退治しといたよ〜」
「紫水、藍介の事許してあげてよ」
「嫌だ〜。俺の事を人間の姿にしてくれなかった罰もあるしね〜」
「それって、どう言う事なのかしらね?」
「いや〜、その〜、ね! あっ! ネルガルに〜、サーフィン誘われてたんだった〜! 遊びに行ってくるね〜!!!」
水の球体の中に藍介を残したまま、紫水はその場から逃げるようにしてネルガルの元へ向かった。
「逃げたわね」
私は水の球体に手を突っ込んで藍介を救出した。
「藍介、大丈夫?」
「あ、あ、主人様、ありがとうございます」
その後、私は藍介と一緒にドラゴンについて調べ一日が終わった。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。