藍介の悪夢 前編
昨日は日記のおかげで最高の夢を見る事が出来ました。主人様と私は、運命で結ばれている。もう、この後はお惚気話ですかね! もしや、主人様と私の子供ができたりして!!! 今日の夜も楽しみ! 今日の仕事は早めに切り上げ、沢山眠る事にしましょう!!!
私は普段の仕事を早めに片付け、いつもより早く寝ました。
「どれどれ、次は主人様との結婚式ですかね」
私は精神を世界の図書館に行き、本を開きました。そして、私は空の上で浮かんでいました。
愛之助の住む家に夜遅くに梛子さんが訪ねていました。
「これはもしや! 交尾をするのでしょうか!!! いや、そこは前世の私のプライバシーを尊重しなくては、でも、何かあるかもしれないので、少しだけ、少しだけですよ、少しだけ見てみますか!」
私は家の中に入り込みました。すると、何やら、空気が重く、梛子さんが泣いていました。
「梛子さん、どうして泣いているの!?」
「それが、お母様とお父様が澤川様に縁談を断りに行ったら、破談することは許さないと言われてまともに話ができなかったみたいなの。それに、澤川様が私が嫁に行かないなら家を取り壊すと脅してきたのよ」
「そんな、横暴な!」
「私、澤川様の所なんかに行きたくない! 私は愛之助さんと一緒にいたい! でも、私にはどうするかもできないの。だから、最後に、私の初めてを愛之助さんに捧げたいの」
「梛子さん、私に何も力がないせいで、貴方を守れない私が憎い。どうすれば、どうすれば」
「お願い。愛之助さん、私を抱いて」
梛子さんは慌てふためく愛之助の唇を奪い、その後、二人は初めて愛し合った。
「梛子さん、私は貴方を諦めるなんてできない。何か、方法はないだろうか」
「愛之助さん、ごめんなさい。お侍様を怒らすのは危険だわ。私のことは忘れて、他の人と幸せに」
「そんな事私はできない! 梛子さんじゃなきゃ私は幸せになれないんだ」
「愛之助さん」
次の日に愛之助は梛子さんと共に梛子さんの家に向かった。
「愛之助さん! 梛子! 旅支度を済ませておいたわ」
「お母様、急に何を言い出すの」
「武士の誇りも無いような男に私の娘を嫁がせる気は無いわ! さぁ、私達の事は心配せず、遠くへお逃げなさい」
「遠くへ。わかりました。梛子、行きますよ」
「行くってどこによ!」
「遠くへです」
「待って、お花ちゃんはどうするの!」
梛子さんのお母様の後ろからお花が現れた。
「梛子お姉ちゃん、私はもうおばさんに話聞きてるよ」
「お花!」
「お兄ちゃん!」
「すまない、お花を1人に」
「私は黒丸さんがいるから大丈夫! 梛子お姉ちゃん、私ね、ずっとお兄ちゃんのお嫁さんは梛子お姉ちゃんがいいなぁって考えていたの。それなのに、邪魔なお侍さんが現れて、私ね澤川様の噂を黒丸さんと集めたんだけど、澤川様はクズよ! クズ!そんな奴に梛子お姉ちゃんをお嫁になんて行かせたくないわ!!!」
「あぁ、儂が悪かった。あんな奴だとは知らずに縁談を受けてしまった。梛子、愛之助さん、本当にすまない」
「お花ちゃん、お父様」
「さぁ、澤川様の目の届かぬ所まで逃げるんだ。儂達なら気にするな。儂も年老いたとしても刀は振るえる」
「私達、清元の力を思い知らせましょう」
「お父様、お母様、お花ちゃんありがとう。行ってきます」
「お花、黒丸さんを困らすんじゃないぞ」
「分かってるって、さぁ、早く、逃げて」
愛之助と梛子は足早にその場から立ち去り、町を出て、遠くへ、遠くへ旅をした。
「まさか、駆け落ちという事になるとは、2人は家族に恵まれていたという事ですね。お花ちゃんとの別れのシーン、つい、うるっときちゃいましたよ」
そして、愛之助と梛子は町から山5つ離れた小さな村に定住した。そして、梛子のお腹には新たな命が誕生していた。
愛之助は手先の器用さを使い、万屋を営んだ。
「徒歩で山を5つも越えるとは愛がなせる技という事でしょうか。いつの間にかお腹に赤ちゃんがいたのは驚きましたか。これで、ハッピーエンドという事ですね!」
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