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藍介の夢 前編

 例のあの本を入手してから、10日経ちました。やはり、図書館で読んでいた方が安心ですね。


 本を取り出して5日が経った日に、花茶に見られそうになり慌てて隠したりと大変でした。この本は絶対に誰にも見せません! 私だけの大切な本なのです!


「よし! 次の頁をめくりますか!」


 顔を手で覆いながら、ゆっくりと次のページをめくった。


「キャっ! ん? なっ!? 下着姿!!! うわぁぁあわぁぁあわ」


「なんて、破廉恥な!」


 藍介は何度もチラチラと下着姿の凪の写真を見つめていた。


「この写真集を作ってくれた方、本当にありがとうございます。これは、私の家宝にさせていただきます」


「今日は、もう1ページめくっちゃいますか! ぐふふぅぅふ。紫水と緑癒は悔しがりますね。この記憶は絶対に追体験無しということで」


 そして、次のページをめくると、見たことのない部屋のベッドで下着姿で爆睡している凪の写真だった。



「えーと、主人様は一体どこで寝ているのですかね?」


「でも、これは、これでとっても素敵ですぅぅ!!!」


「ふぅ、このページも最高ですね! まだ時間がありそうですし、次のページも」


 藍介が次のぺーじをめくった瞬間、本が光り輝き、その光は藍介を包み込んだ。


「うわぁぁわぁぁあああ!!!」


 藍介は目を覚ますと、藍介は空に浮いていた。そして、目の前には見たことのない景色が現れた。


「なっ!? えっ!? ここはどこなのですか!!!」


 日本の江戸時代を連想させる家屋が立ち並び、そこに住む人達は皆、和服を着ていた。


「うーん、なんか、見たことあるような、ないような? でも、どうして、懐かしいと感じてしまうのでしょうか?」


 藍介はその場で考えていると、急に体が動き出し、一軒の家の前で止まった。


「びっくりした。急に動かないでくださいよ!」


 すると、1人の紺色の服を着た男が花柄の服を着た女性に詰められていた。


「お兄ちゃん!!! いつになったら結婚するのよ!」


「おはな、そんなこと言われても、私じゃあ、彼女には釣り合わないんだ」


「だけど、梛子なぎこさんお兄ちゃんのこと待っているのよ! 男みせなさいよ!!!」


 お兄ちゃんと呼ばれている男は何やら木材を使って何かを作っていた。


「男をみせろと言われても、私はこれを作るしか能がないし、ほら、カラクリ人形こけーしぃ! 今回は凄いんだぞ、なんと! 歯車を使って自動で動くんだ!」


 カタカタカタとこけしが前に動き始めた。


「お兄ちゃん凄い!!! どうやったの!!! はっ! そうじゃなくて、いつになったら梛子さんに告白するのよ!!!」


「お花、もうそろそろ、黒丸さんが迎えに来る時間じゃないか。そんなに、怒ってばっかりだと折角お嫁に行くのに鬼嫁と言われてしまうぞ」


「お兄ちゃんのバカ!!!」


 そして、お花さんは体格の良い男の人と何処かへ行ってしまいました。


「ふぅ、お花が嫁にいけて良かった。私は、カラクリでも作るか」


 ふぅむ。これは、あの古い日記の中に入ってしまったというところでしょうかね? それにしても、あのこけし、見覚えがあるような? ん? なぜ、見たこともない場所を懐かしいと思い、お花さんを見た時も、心がぐっと熱くなったのは何故ですかね?


愛之助あいのすけさん! おはよう」


 すると、日記の中だというのに主人様の声が聞こえたのです。


「なっ、なっ、梛子さん!!! おはようございます」


 梛子と呼ばれた方はまさかの主人様に瓜二つ!!! 違うとしたら、彼女の方が主人様より身長が若干高いですね。って!? どうして、主人様に似た方が出てくるのですか!!!


 愛之助と呼ばれた男は、慌てて彼女の前に駆け寄った。


「梛子さん! もし、良かったら!」


「愛之助さんなに?」


「あの、良かったら」


「で、なに?」


「そのぉ」


「その先を言ってよ!」


「私と一緒に!」


「一緒に?」


「一緒にカラクリ作りませんか!!!」


「そっちかーい!!! あっ、ごめんなさいね。カラクリ作りね。良いわよ。愛之助さんの作るカラクリとっても面白いもの」


「梛子さん! 今日は、こけーしぃでも作りましょう!!!」


「こけーしぃって何よ。ほんと、愛之助さんといると楽しいわ!」


 2人は良いムードでこけーしぃを作っていました。


 主人様に似ている梛子さん、もしや、これは、私の前世の記憶なのではないでしょうか!!! それが本当なら、私と主人様が出会ったのは運命!!! 主人様に一目惚れしたのも頷けます! でも、前世だとしたら、梛子さんと前世の私が無事に結ばれるか、確認しないと!!!

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