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絶華達との別れ

 私が目覚めると庭が騒がしかった。


「ふぁーあ、もう、朝っぱらからうるさいわね」


「凪さぁん」


 布団から追い出されたイデアさんが畳の上で眠っていた。


「起こすと面倒だから、ゆっくりと」


 私が足音を立てずにゆっくりとイデアさんの横を通ると、急にイデアさんが目覚めた。


「ん!!! 凪さんおはようございます!!! 貴方のイデアです!!! さぁ! さぁ! おはようのチューお願いしまーす!!!」


「しないわよ!!!」


 私は魔石の壁を貼った。


「また、壁! 凪さん、もう私と凪さんはお付き合いしているのにどうして壁を作るのですか、はっ! 照れ隠しと言うわけですね。照れている凪さんもとっても可愛いです!!!」


「照れてないし、いつから付き合っている事になってるのよ!!! イデアさんと私はと・も・だ・ち! 友達でしょ!!!」


「いえ、キスをする間柄になったと言うことは、つまり! 恋人となったと言う事になります!!! 凪さんのファーストキスを頂いのですよ。それは、もう! 凪さんが否定したとしても、私と凪さんは恋人同士と言うことなのです!!! だから、おはようチューお願いしまぁーーーす!!!」


「やめんか!!!」


 私が朝っぱらからイデアさんと戦っていると、藍介が朝食の準備ができたと知らせにやってきた。


「主人様、朝食の時間ですよ。って!? イデアさん何やってるんですか!!! これ以上、主人様を困らせるのでしたら例のアレはイデアさんは参加不可ということで」


「そんな、藍介さんこれは、おはようの挨拶なので凪さんを私は困らせていません!」


「藍介、例のアレって何?」


「主人様には申し訳ないのですが、これに関しては男だけの秘密。女性である主人様にはお伝えできません」


「へぇー。まぁ、仲良くなるのはいいけどさ、身支度済ませるから先行ってて」


「かしこまりました。ほら、イデアさんも私と一緒に部屋から出ますよ」


「私は凪さんの着替えのお手伝いをしないといけないので」


「今すぐに出てけ!!!!」


 私はイデアさんの部屋から追い出し、身支度をした。そして、庭に集まっていた絶華ちゃん達面々と、洞窟の長が勢揃いしていた。


 皆んなで大きな机を囲いながら朝食を食べていた。


「ぐすんっ、凪さんが冷たいです」


 イデアと一緒にクティスも朝食を食べていた。


「ガウガルルガ!!!(僕のほっぺにチュー奪ったな!!!)」


「クティスご飯食べるか、怒るかどっちかにしてください」


「ガウガウ! ガグルガウガ!!!(ご飯食べる! 食べ終わったら覚えておけよ!!!)」


「クティスばかりいい思いするなんて酷いですよ。私自身だと言うのに」


「ガウガグルガウルガ!(イデアが気持ち悪いことするからいけないの!)」


「はぁー。凪さぁぁーん!!! クティスが私を虐めてきます!!! 私を慰めてください!!!」


「静かに食べなさいよ!」


「うまっ! ねぇ、ねぇ、藍介君、絶華ちゃん専属の料理人にならない? お給料弾んでおくよ」


「ブボォッ!!! ブボォッ!!!」


「プギィィィイ!!!」


「ぷっきゅ。ぷきゅきゅ?」


「姫様、藍介さんからレシピを頂いたのでエンデューブに帰ってもこの料理を食べれますよ」


「盾護でかした! でも、でも、レシピを全部貰ったわけじゃないから、藍介君〜。どお〜?」


「私は主人様のおそばに居たので、お断りします」


「ちぇっ、絶華ちゃん振られちゃったー。でぇ、ネルガルとライネル、そっちはエンデューブに戻らないの?」


 ご飯を食べていたネルガルが箸を止めた。


「俺達はまだ帰らないぞ、リリアーナ様が居るエンデューブに行くなんて自殺行為だからな」


「それに、今回魔王軍がしてかした事を主人さんに償わなきゃならんし、あの成れ果てが藍介さんを狙ってやがった。だから、藍介さんを守るために俺とネルガルはここに残る」


「ふーん、まぁ、それならいいけど、絶華ちゃんはあんた達が生きているって言うのは報告しないであげるよ。それに、もしかしたら、絶華ちゃんは里帰りしないといけなくなりそう。はぁー、お兄様を見つけてないのになぁ」


「姫様」


「お兄さんってどんな感じの鬼なの?」


「うーん、鬼にしては弱くて、全部人任せにする引きこもりのクズかな」


「姫様の言う通り、あの引きこもりが家出なんてできないと思ってましたからね」


「ブボォッン!」


「ブギィ」


「ぷっきゅきゅきゅっ」


 そして、朝食を食べ終え、絶華ちゃん達はゴウライを連れて帰ることになった。


「やだぁ!!!! 戻ったら仕事に殺させる!!!」


「ブボォッンブボォッン!!!」


「ガウガ!(帰るよ!)」


 家の柱にしがみつくイデアに炎燃とクティスがイデアを引き剥がそうとしていた。

 

「いやだ!!! 折角、凪さんと両思いになれたと言うのに、せめて、ひと月はラブラブカップル生活がしたい!!!」


「絶華ちゃん、イデア様のこんな姿初めて見た」


 2匹に見かねた盾護は助けに入った。


「イデア様、行きますよ!!!」


「盾護さん、なかなか強くなりましたね。ですが、私は負けません!!! これも、凪さんへの愛の力です!」


 急に藍介が私だけに思念を送った。


『主人様、こうなったら主人様の色仕掛けでイデアさんに言う事を聴かせましょう!』


『色仕掛け!? そんなことしたら一生柱から離れなくなるわよ!』


『いえ、色仕掛けと言っても簡単ですよ。私が言う事をそのままイデアさんに伝えてください』


『これで、面倒なことになったら藍介が責任取りなさいよ』


『はい! イデアさんの対処法なら私に任せてください! 絶対に仕事に行きたがるようにしますから。それでは、ゴニョゴニョゴニョ』


『ふむ、ふむ、分かったわよ。言うわ』


 私は藍介に言われた事をそのまんまイデアさんに話した。


「イデアさん、私、仕事しない人は嫌いなんです。折角、恋人になったのに、無職の人なんかと恋人なんて絶対に嫌だわ!!!」


 すると、イデアさんは顔を上げた。


「え、そんなぁ。凪さん、私は仕事を辞めるとはまだ一言も言ってません。なので、私は無職ではないです! それに、無職になったとしても、私には一生遊んで暮らせる程の貯蓄があります!」


「それに、他人に迷惑かける人嫌いなの」


「迷惑なんてかけていませんとも! かけてないですよね絶華ちゃん、盾護さん!」


「絶賛、迷惑中!!!」


「早く、イデア様帰りますよぉぉおおおお!!!」


「それなら、今回の後処理をきちんとしてきたら、お仕事お疲れ様という事で、私とデートしませんか」


「デート」


 イデアさんは柱から手を離すと、引っ張っていた盾護、クティス、炎燃が後ろに転がっていった。


「凪さんが、私にデートを申し込んだという事ですよね?」


「まぁ、そうなるわよね」


「ふっ、凪さんはやはり、私の事が、分かりました! 今すぐに仕事を終わらせてきます!!! ほら! 絶華ちゃん、盾護さん! 帰りますよ!!! クティスはゴウライさんを運んでください」


 イデアの駄々こねを見ていたネルガルとライネルは驚いていた。


「デートの力すげぇな」


「紫水、またイデア様にデート持っていかれたな」


「うるさいな〜。獣君がいない間に〜、俺は沢山主人様と〜、デ〜トするつもりだから大丈夫〜」


「ほら! みなさん! 行きますよ!!! なぎさぁぁん!!! デート楽しみにしてます!!!」


「はいはい、それじゃあ気を付けて帰ってね!」


「イデア様がすみません。それじゃっ、絶華ちゃん達も帰りますか!」


「ブボォッ!!!」


「ブギィッ!」


「ぷっきゅん!」


「はい! 姫様、凪様、藍介さん、それに皆さん、本当にありがとうございました」


 そして、イデアさんと絶華ちゃん達は魔族の国へ帰った。


「やっと、休めるわね!!! 色々疲れたから、偽ダンジョンの罠作りは1月後というわけで! みんな!!! 思いっきり休みなさい!!!」


「流石に、一月は休みすぎでは?」 


 私はお昼寝ではなく、朝寝をした。ご飯食べてすぐ寝ると太るっていうけど、寝足りないから別にいいわよね!!! 今日は沢山寝るぞぉぉお!!! 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 順調にダメ男と化していますね……ワンちゃんの苦悩が偲ばれます(コレってワンちゃんにこそご褒美が必要では) [気になる点] 新しいキャラが出て来る?またご主人様に引っ掛かるのかな?
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