騒がしい夜
「ふぁーあ。眠いわぁ」
私は白桜と一緒に居間で寛いでいた。
「主人様、もうそろそろ寝ましょうよ」
「うーん、まだクティスが帰ってきてないからなぁ。帰ってきたら寝るから白桜は寝なさい」
「えー、それなら、あたしも主人様と一緒に起きる!」
「子供はもう寝ないと。仕方ないわねぇ、布団まで運んであげるわ」
私は立ち上がり、白桜を手に乗せて白桜の部屋に行き、布団をかけてあげた。
「もう! あたしはそんなにこどもじゃぁ」
白桜は力尽きたように眠りについた。
「やっぱり、疲れてるんじゃない。おやすみ白桜、いい夢を見てね」
私は白桜の部屋を後にすると居間へ戻った。
「そういえば、紫水と灰土が庭にいないわね? うーん? まぁ、いいっか。眠いからお茶でも飲もうかな」
お茶を飲みながらゆっくり寛いでいると、いつの間にか深夜1時になっていた。
「流石に遅すぎない? もしかして、何かあったんじゃ!? いや、私が心配しなくてもクティスなら大丈夫よね」
そして、1時間が過ぎ、眠気が限界に達し私は布団を敷いて眠る事にした。
「もう、無理、眠いわぁ。学生時代は夜更かしとか余裕だったけど、30代になって夜更かしする体力が無くなってきたのよね。老って恐ろしいわ」
私は布団に入り眠ろうとすると、クティスが走ってきた。
「なぎさぁぁぁあんんんんん!!! ほっぺにチューおねがいしまぁーーーーす!!!」
私は眠過ぎて適当に返事をして、クティス? のほっぺにキスをしてあげた。
「なぁぎぃっさぁんのキィッス!!!! あぁぁぁあ!!! あぁぁああ!!!! なんて素晴らしい!!」
あれ? クティスにしてはうるさいような?
「はいはい、私は眠いからもう寝るわね」
「そんなぁ。私は頑張って走ったと言うのに、そんなに冷たい態度するんですか」
「じゃあ、一緒に寝る?」
「え!? いいんですか!!!」
「嫌ならいいわよ。それじゃあ、おやすみなさい」
「いえいえ! 喜んで一緒に寝ます!!!」
クティス? が布団に潜り込んできた。
クティスなんか、変なテンションじゃない? それに、話し方がイデアさんのような‥‥。って!? 耳ない!? 尻尾ない!? 右目に仮面ついてる!!! それって、イデアさんじゃない!!!!
「クティスじゃなくて、貴方イデアさんですよね?」
「いえ、私はクティスですよ」
「話し方がイデアさんなんですが」
「ぼ、僕はクティスだよ!」
「ふーん」
私は彼の顔を覗き込んだ。
「凪にそんなに見つめられると照れるなぁ」
「そうよね。イデアさんじゃないのよね。私ね、イデアさんにとっても大事な話をしたかったんだけど、あぁーあ。イデアさんはまだ目覚めていないのね。イデアさんにとっても良い話だと思うのになぁ。明日帰っちゃうから話したかったけど、目覚めていないなら、話せなそうね」
「その、大事な話ってどんな話なの?」
「それはね、クティスには内緒かな、イデアさんと2人きりになった時に話したいのよね」
「凪待って! 今すぐにイデアを起こしてみるよ!」
「イデアさん起きれるのかしら?」
「凪さん!!! 貴方のイデアです!!!」
「やっぱり、イデアさん目覚めてたのね!!! 魔王軍の後処理しなさいよ!!!」
私はイデアさんから布団を剥ぎ取った。
「凪さん!? 大事な話とはまさか」
「そうよ、そのまさかよ! 貴方に話したい大切な話ってこれしかないでしょうが!!!」
「そんな、凪さん、私を騙すなんて酷いですよ!!!」
「酷くないわよ! イデアさんだって、クティスの真似して私を騙そうとしていたじゃない!」
「渾身の演技が見抜かれていた!? 凪さんはそんなに私の事が‥‥。はぁぁああ!!! 凪さん大好きです! 今すぐに結婚しましょう!!!」
飛びかかってきたイデアさんから自分の身を守るために私は魔石の壁を作り出した。
「ぐへえっ! 凪さん、どうして、壁を」
「急に飛びかかってきたからでしょ!!! そもそも、なんでそんなにテンション高いのよ!!!」
「それは、あぁああああ!!!! 思い出すだけで凪さんへの愛が高まってきますぅううう!!!」
「うわぁ。本当に何があったのよ」
「これは、男の秘密なので例え凪さんであっても明かすことはできません」
「へぇー。男の秘密ねぇ。藍介達が夜集まって何かしているって他の子達から話を聞いた事があるんだけど、それかしらね」
「さぁー。私には分かりません」
「私疲れてるからもう寝るわね。話はまた明日という事で、おやすみなさい」
私は布団の周りに壁を作って眠りについた。
「そんな! 生殺しではないですか!!! 凪さん! 凪さん!!! 私はもっと凪さんと触れ合いたいのです!!!!」
イデアの叫び虚しく、凪は深い眠りについたのでした。
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