青雷冒険に出る。それと、頑張った白桜
オロオロしている紅姫と白桜が私の元へやってきた。
「あのぉ、主人様、青雷はどこに行ったのですか?」
「青雷? あっ!!!!! そういえば、ラックルっていう人を拘束しに行ったきり帰って来てないわ!!! どうしよう、もしかしてラックルと一緒に魔族の国へ行っちゃったんじゃ!!!」
「えぇえーーーー!!!!! どうしましょう、主人様、どうしましょう!!!」
「この中で足が速いのは、クティス! 今すぐにラックルって言う人の所に向かって青雷を連れ戻して!」
「青雷君なら強いから大丈夫だよ。それに、青雷君にはラックル君を無事にエンデューブに届けて欲しいんだ」
「青雷には荷が重いわよ!!! そもそも、青雷は子供なのよ!!!」
「主人様、俺が青雷君を連れ戻しに行って来ます!」
灰土は羽ばたこうとしたら、クティスが灰土を止めた。
「凪と紅姫には申し訳ないけど、ラックル君の側にいたら青雷君は無事だし、彼は冒険に出たかっただからちょっとだけ外の世界を体験してみるのもいいんじゃない?」
「でも、青雷は」
「青雷君、いつもイデアに外の世界の話を沢山聞いてたし、魔王軍で働いてみたいとかも言ってたんだよ。それなら、それを叶えてあげるのもいいんじゃない?」
「でも、こんな別れ方はダメよ。魔族の国に行くなら通信機ぐらいは持ってて欲しいし、リリアーナがいる所へ1人で行かせるのは危ないわ」
「それも、そうだけど青雷君は今の冒険を楽しんでると思うよ」
「分かったわ。それなら、これを今すぐに青雷に届けてもらえないかしら。報酬は頬に一回キスでどう?」
「やる!!! いってくるね!!!」
私はクティスに丸い魔石の通信機を渡した。
「紅姫、私の不注意よ。本当にごめんなさい」
「いえ、主人様のせいではございません。それに、青雷が冒険に出たかっていたのは知ってましたから、ついにその時が来たと考えればいいだけのことです」
「ふん! 私に行ってきますも言わずに行くなんて最低な弟よ! それに、灰土様!!! 貴方のせいで主人様の家の瓦がほとんど飛んでいっちゃって直すの大変だったのよ!!!」
そう、白桜は私達が戦っている時、私の家にいた。そして、灰土が羽化をして蝶になった際、虫籠を破壊し、家の瓦を吹き飛ばした。白桜は洞窟へ逃げ込んだ虫達を励まし、彼らと共に吹き飛んだ瓦を集め、家の屋根を補修してくれていたのであった。
「白桜、本当にすまなまい」
「すまないじゃないわよ!!! あたしが部屋で機織りしてたら急に大きな音がして、外に出てみれば、瓦が飛んでるわ、虫籠が破壊されてるわ。その後、他の人達が沢山くるわで大変だったんだからね!!! DJさんが指揮してくれたから、暴動にはならなかったけど、こっちはこっちで大変だったのよ!!!」
「白桜、大変だったのね。ありがとう」
「主人様。あたし頑張ったのよ!」
「えらいえらい」
私は怒っている白桜を宥めて、灰土は白桜とDJと瓦集めをしてくれた虫達に謝っていた。
「よし! もう、私疲れたから今日はここまで! 色々あって混乱している子たちもいるかもしれないけど、悲しんでたって何も始まらない。昨日あった出来事を忘れずに明日の未来に向けて前へ進むわよ!!! 解散!!! みんなゆっくり休んでね!!!」
昼食会も終わり、私はクティスが帰ってくるまでは起きてよう。それで、青雷と連絡して、ラックルっていう人に青雷をお願いしなきゃ。そしたら、やっと休めるわ!!!
そして、昼食会が終わった3時間後に青雷から連絡が来た。
丸い魔石から青雷とラックルの姿が映し出された。
「主人様!!! 僕ね! ラックル君と友達になって、イデアおじちゃんにラックル君を守って欲しいってお願いされたから魔族の国まで護衛することになったの!!! 外の世界すごいよ!!! んー、今は草しか見えてないけど、それでも、とぉーっても広いんだよ!!!」
「あのぉ。僕は、魔王軍最高幹部八翼の七翼のラックルと申します。青雷君を勝手に連れていっちゃってごめんなさい」
「私は魔蟲の洞窟の主人、凪よ。それと、彼女が青雷の母親の紅姫と、姉の白桜よ」
「初めまして、魔蟲の洞窟の3層目の長をやってます紅姫と言います。私の息子が迷惑をかけてしまって申し訳ございません」
「いえいえ、こちらこそ、僕が連れてきちゃったのが悪いので頭を下げてください」
「ねぇ! 青雷! 主人様とお母様を心配させたんだから、主人様に謝りなさいよ!!!」
「うん、主人様、母様心配かけてごめんなさい。でも、僕! ラックル君と一緒に冒険できてとっても楽しいんだ!」
「楽しいのはよく分かったわ。ラックルさん、青雷をよろしくお願いしますね。あと、冒険はいいけど必ず1日に一回は連絡する事、青雷分かったかしら」
「うん! 分かった!」
「よし、それじゃあ冒険を楽しんできなさい! 冒険話沢山聞かせてよね」
「うん!!! 沢山冒険してくるね!!! それじゃあ主人様、母様、ねぇちゃん明日連絡するね! じゃあね!」
「えぇ、怪我しないようにね」
「ふん、あんたがどうなってもあたしはもう知らないんだから」
青雷との連絡が切れた。白桜は強がってはいるが、内心弟が心配の様子だった。
そして、クティスが夜遅くに帰ってきて、藍介達の夜の集まりに参加するのであった。
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