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追悼式

 ゴウライは緑癒の力で一命は取り留めたものの、一夜明けたが目覚めていなかった。


 私達は犠牲になった虫と魔王軍の兵士達の追悼式を行うことにした。


 式には魔王軍のクティスと絶華ちゃんと盾護、ネルガルとライネルが参加した。


 追悼式は紅姫と蝋梅妃が協力し一夜で森の中に会場を完成さてた。


 喪服を着た絶華と盾護は戦死した者達へ贈る花束をそれぞれ手に握っていた。


「ラックル様無事に帰れたかしら?」


「ラックル様は運だけは良いですから無事だと思いますよ」


「ぷっぎゅう!」


「でも、凪さんって凄いわね。戦死した魔王軍兵士と一緒に弔ってくれるなんて、絶華ちゃん驚いたわ」


「えぇ、ここからだと遺体を持って帰れませんからね。それに、追悼碑まで準備してくださるなんて、有り難い限りです」


「ほんとそれ、今回の件で鬼鏡ききょう国のメンツは丸潰れだし、魔王様にも泥を塗って早く目覚めて欲しい!!!」


 追悼式は滞りなく終わり、昼食会を開いた。


「凪! 凪! これとっても美味しいよ!!! 一緒に食べよ!!!」


 人型のクティスは料理が乗ったお皿を持って私の側にきた。


「藍介の唐揚げは美味しいのよ」


「うん! 凪もあーん」


 クティスはフォークに刺さった唐揚げを私の口に持ってきた。


「あーん。あつっ、唐揚げうまっ!」


「凪、凪もっと、もっと一緒に食べよ」


「はいはい」


 私はクティスの相手をすることにした。


「ぐぬぬぬぬ、主人様にベタベタと。今回のMVPなのは分かりますが、ぐぬぬぬぬぬ」


「藍介様、黒いオーラが出てますよ」


「おや、失礼。灰土さんは唐揚げは食べれないのですね」


「えぇ、俺は前まで土を食べていたのですが、土だと魔力が少なくて今じゃ魔石を主食にしてます」


 すると、藍介と灰土の会話に緑癒が入った。


「灰土さん、その細い口でどうやって魔石を食べているのですか?」


「俺は鉱石であればある程度加工する事ができ、魔石を液状にして飲んでいるんですよ。緑癒様、ゴウライの容体はどうしでしたか?」


「クティスさんにやられた足と腕は治しませんでしたが、命に別状はありませんよ。そもそも、僕は彼を治したくなかったですよ!」


「まぁまぁ、成れ果ては魔王軍とは関係ありませんでしたし、今回もリリアーナが関係している可能性が出ましたからね」


「藍介様、リリアーナ様、いや、リリアーナはどうして俺達の命を狙っているのですか? リリアーナなら、俺達と関わりたくないと思っていると考えているのですが、うーん。何がしたかったのか分からない」


 私はクティスに抱きつかれながら藍介達の会話に参加した。


「リリアーナの事は分からないけど、成れ果て達は藍介を狙っていたわよ」

 

「藍介様をですか?」


「うん、森の中で藍介と2人で戦っていた時に一旦二手に別れるってなって藍介と少しだけ離れたんだけど、成れ果て達は私じゃなくて藍介を追いかけ始めたのよ」


「そうなのですよ! もう、あれは怖かったです」


「藍介さん何かやったんじゃないですか」


「何かやったって、私は何もやってませんよ。そもそも、殆ど洞窟で暮らしているので、外の世界の方に恨まれる事なんてできませんよ」


「それも、そうだよな。うーん、じゃあどうして藍介様が狙われたんだ?」


「藍介の珍しいスキルが関係してるんじゃない」


 クティスは私の顔を舐めようとしたのでクティスの顔を手で押さえた。


 私の顔を舐めようとするな!!! どうして、藍介が狙われたんだろう? クティスの言う珍しいスキル。珍しい。ん? それって、世界の図書館って事なのかな? それなら、リリアーナが私達を狙う動機になるかもしれないわよね? でも、洞窟から去る時に藍介を連れて行く事も出来たはずよ。それなのに、藍介を連れて行かなかった。うーん、世界の図書館はとっても便利なスキルよ。私も藍介から本借りるもの、去った後、藍介のスキルが欲しくなって攻撃してきたって事なのかしら?


「凪、急に黙ってどうしたの?」


「クティス、ごめんなさい、ちょっとさっきの話を整理していたのよ」


「謎が深まりますね」


「それなら、絶華ちゃんがクソ女に聞いてみようか? あと、このお肉料理とっても美味しいわ!」


「ブボォッン!」


「ブギィッ!」


「藍介さん後でで良いので、肉料理のレシピ教えてもらえませんか?」


「盾護さん、分かりました。後でレシピ書いておきますね」


「藍介さんありがとうございます」


 頭に草爛を乗せた花茶とライネルが来た。


「ぷっぎゅっん!」


「ぷっぎゅん! ほら、ライネルお兄ちゃんも!」


「まじかよ! ぷっぎゅん」


 花茶は草爛と意気投合し草爛の真似をしていた。そして、ライネルはその被害者だった。


「くそぉ、恥ずかしい」


「ぷっきゅきゅきゅ」


 恥ずかしがるライネルを見て草爛は笑っていた。そして、花茶は笑っている草爛の真似をした。


「ぷっきゅきゅ! ほらライネルお兄ちゃんも!」


「もう、辞めさせてくれ」


「ぶっはぁっ! ライネルが恥ずかしかってる!!!」


「なかなか、見れない光景ですね」


「ひゃっほーーーい!!!」


  ライネルと花茶の後ろでは、陸上サーフィンを楽しむネルガルと紫水、銀次、金色丸がいた。


「ネルガル、はしゃぎすぎじゃない? 追悼式の時はめっちゃくちゃ泣いてたのに。切り替えはやっ」


「切り替えが早いのは良い事だと思うわよ」


「それに、しても早すぎぃ」


 それにしても、もう、疲れたわ。戦いが終わって、ほんと眠らずに追悼式の準備だったり、もう、そろそろ、ゆっくりしたいわね。でも、何か大事な事忘れているような気がするのよね? うーん、なんだっけなぁ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 笑って見送ってあげましょう。悲しむだけが良いことではないから。 ……ハシャギスギルのもよくないですけど。 [一言] 知らないうちに追悼式が終わったら、その様子を事細かに話されたら。 ……お…
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